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安比高原フォーレ 申込締切:2009年8月21日(必着)

日( )
2009年8月18日(火)
 
今日から蘚苔類学会 埼玉大会
 
  今日から3日間、日本蘚苔類学会の第38回埼玉大会に参加する(熊谷に宿泊)。最近は蘚苔類もミズゴケだけしか観察していない。この間はきのこ雑記はお休みだ。

 昨日観察したキクバナイグチとコオニイグチ、不明種のイグチについては、胞子だけしか掲載しなかった。カサ表皮やシスチジアは省略して、管孔部実質だけを追加しておこう。すべて生標本から切り出した。きのこ縦断面の緑色の線はカット部分。やはり半乾燥状態にして切り出す方が格段に楽だし、より薄くも切れる(雑記2009.8.12同2009.8.10同2009.6.22)。
 

キクバナイグチ (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
コオニイグチ (a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')
イグチ不明種 (a'')
(a'')
(b'')
(b'')
(c'')
(c'')
(e)
(e)

2009年8月17日(月)
 
千葉県大多喜城趾
 
 昨日早朝久しぶりに千葉の海に出かけてみた。新鮮なきのこは全くなく、2週間〜1ヶ月ほど前に発生したと思われるウネミケシボウズタケとケシボウズタケなどが少し見られただけだった。海浜のきのこは早々にあきらめて、さっさと内陸部の丘陵地に向かった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 どこも新鮮なきのこは少なく、かろうじてキクバナイグチ(a, b)とコオニイグチ(e, f)、ブドウニガイグチ、クリイロイグチ、タマゴタケが見られた。大多喜城趾公園には多数のキクバナイグチが出ていたが、残念ながら観察に耐えうるものは1個体だけだった。
 キクバナイグチは6時間以上かけて胞子紋を取ったのだが、カバーグラス上に落ちたのはごくわずかの胞子だけだった(c, d)。今年はどこに行ってもコオニイグチが多い。オニイグチやオニイグチモドキにはほとんど出会っていない。

2009年8月16日()
 
トガリツキミタケだと思ったのだが・・・
 
 6月26日に採集してトガリツキミタケ Hygrocybe acutoconica forma japonica として標本にしたきのこがあった(a〜d)。アカヤマタケによく似た形で、触れても傷つけても黒変することはない。保育社図鑑の検索表に準拠して同定したものだった。それによればアカヤマタケ亜節で、カサに粘性があるので、候補として残るのはトガリツキミタケとトガリダイダイタケの二つとなる。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 担子器が2胞子性だったらトガリツキミタケ、4胞子性だったらトガリダイダイタケとなる。胞子はトガリダイダイタケが一回り大きい。6月末に検鏡したとき、担子器はいずれも2胞子性のものばかりだった(g)。成熟個体がなく胞子紋はとれなかった。わずかに見られた胞子はトガリダイダイタケのサイズだが、なんといっても未成熟だ(h)。成熟した胞子はさらに大きいだろうと考えた。カサ表皮は両者ともあまり変わりない(i)。結論としてトガリツキミタケと記録した。
 最近ゆえあって、先日の標本をあらためて引っ張り出して、担子器ばかりを観察した。じっくり観察すると、80%以上は2胞子性だが、4胞子性のものがかなりある(j〜l)。結局、標本の種名のところは、先の名称に赤色の取消線を引いて、Hygrocybe sp. と修正した。

2009年8月15日()
 
ヒダ実質がアミロイド
 
 フサクギタケは富士山ではどこにでもみられるありふれたきのこだ(a, b)。しかし、端正な姿の個体にはなかなか出会えない。アミタケ同様に熱を通すと紫色になる。KOHを滴下しても濃紫色になるが(e)、硫酸をかけても色に変化はない(f)。巨大で特異なシスチジアで知られる。ヒダをルーペでみても長い円柱状のシスチジアの存在はよくわかる(c, d)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 胞子は大きく(g)、偽アミロイド(l, n)。ヒダ切片を作ってみると、縁には透明な円柱が乱立している(h)。カバーグラスの脇からフロキシンを注ぐと、さらに鮮明になった(i)。ヒダの実質がアミロイドであることも特徴的だ(j, l)。このシスチジアは下半部が厚壁なのだが(m)、メルツァー液で封入してエタノールで洗うと薄壁にみえてしまう(k, l)。
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
 担子器の基部には、たいていクランプはない。カサ表皮の組織はゴチャゴチャしてわかりにくい(p)。一度は顕微鏡で覗いておいて損のないきのこだろう。

2009年8月14日(金)
 
テングタケとイグチが花盛り
 
 昨日埼玉県南部の平地林と多摩湖畔の緑地を歩いてみた。川越などの平地林(保護林)では、きのこの数こそ多数みられるものの、幼菌から成菌まで大半がカビにおかされていた。例年だとヤグラタケが多数みられるのだが、今年はとても少ない。クロハツも大部分がカビのため白いガーゼをまとっているような状態だった。カメラの出番は全くなかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 一方、湖畔の緑地(傾斜地)では、切り株や立ち木のいたるところにナラタケモドキがでていた(a)。きのこ狩りの人たちが、両手にいっぱい収穫したナラタケモドキを何度も車に運んでいた。ナラタケモドキの他には、特に多数発生していて目立ったのはテングタケ類とイグチ類だった。
 フクロツルタケ、ツルタケ、カバイロツルタケ、テングタケ、ガンタケ、ヘビキノコモドキ(b, c)、コテングタケモドキ(f)がやたらに多かった。背丈40cmに及ぶ大きなきのこがでていた(d, e)。あまりに巨大なので戸惑ったが、どうやらキリンタケのようだ。
 イグチ類でもっとも多かったのはキニガイグチ(j, k)、アワタケ、キッコウアワタケ、ヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、キアミアシイグチ(h)、ミドリニガイグチ、コオニイグチ(i)だった。ただ、ヤマドリタケ属の大半はカビにやられたり、時期を失していた。
 道路際に大きくて柄が非常に太い新鮮なムラサキヤマドリタケが出ていた(g)。よくきのこ狩りの人たちに取られなかったものだと驚いた。また、キイロアセタケ(l)をはじめ、いろいろな種類のアセタケ類にも多数出会えた。

2009年8月13日(木)
 
クロチチタケとクロチチダマシ
 
 富士山では広い範囲にクロチチタケが見られた(a, b)。ヒダがカサと同色に縁取られたものも多い(c)。傷つけたり切断すると白色の乳がでるが、やがて乳も肉も淡褐色となる(d, e)。胞子の翼はとても大きい(f)。ヒダの縁にはシスチジアがある(g, h, j)。ヒダ切片を作らずとも、ヒダを一枚スライドグラスに寝かせてみると縁シスチジアの有無ははっきりわかる(i)。担子器(k)は特に代わり映えしない。肉眼でビロード状に見えるカサ表皮は、典型的なアイタケ型をしている(l)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 
 一方、埼玉県南部の雑木林では相変わらずクロチチダマシが多数出ている(ka〜kd)。クロチチタケと違って乳液に変色性はない。採集日に試薬検査と検鏡はしたが、撮影はしていなかった。今朝は、乾燥標本(kg)から、胞子(ke, kf)、ヒダ切片(kh, ki)、カサ表皮(kj)、柄の表皮(kk)、担子器(kl)などを撮影した。
 
(ka)
(ka)
(kb)
(kb)
(kc)
(kc)
(kd)
(kd)
(ke)
(ke)
(kf)
(kf)
(kg)
(kg)
(kh)
(kh)
(ki)
(ki)
(kj)
(kj)
(kk)
(kk)
(kl)
(kl)
 クロチチタケもクロチチダマシも、カサ表皮はともに典型的なアイタケ型。また、胞子の翼はクロチチタケの方が、クロチチダマシよりも大きく張り出している。さらに久しぶりに、「キノコのフォトアルバム」にもクロチチダマシのミクロの姿を載せた。しかし、クロチチタケは載せていないし、索引類も更新していないので「顕微鏡下の素顔」にもリストアップされていない。

2009年8月12日(水)
 
管孔部実質の切り出し
 
 ドクヤマドリは、地味な色で、大きくて風格があり、カサも柄も肉質で、いかにも優秀な食菌であるかのように見える。だからだろうか、富士山の駐車場脇には、たいてい立派なドクヤマドリが捨ててある。食菌だと思って後生大事に抱えてきたところ、駐車場でベテランから毒きのこであると指摘されて捨てたものだろう。こういった現場は何度も目撃してきた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 傷つけたり切断するとジワリと青変しやがて褐色に変わる(b, d, e)。柄の上部がわずかに網目様の模様をみせることもある。ハラタケ類のようなヒダをもったキノコでは比較的楽にヒダ実質を確認できるが、イグチの管孔部実質を確認するのは意外と難しい(雑記2009.6.22)。
 運良くきれいに切り出せればよいが(g)、これがなかなか思い通りにはいかない。せっかくうまく切れても(i)、カバーグラスをのせるときにしくじりがちだ(j)。また、乾燥標本では、KOHに落とし込むまではよいが(k)、カバーグラスをのせると必ず潰れてしまう(l)。
 作図の補助なりメモとして使うぶんには、多少崩れていようと、いっこうにかまわない、しかし、それを画像として提示するとなると、少しはきれいに撮らねばならず悩ましい。

2009年8月11日(火)
 
珍菌キツネノサカズキ
 
 富士山のシラビソ林で久しぶりにキツネノサカズキに出会った(a, b)。盤の径3cmほど。2個体しか見あたらなかった。かれこれ7〜8年ほど前になるだろうか、千葉県清澄の東大演習林で出会って以来のことだった。別に珍しい菌ではないのだろうが、意外と見つからない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 縦に切ると、厚い髄層が目立つ(c, d)。托外皮には硬い毛が生えている(d, l)。大きく裂開しているから充分成長していると思われたのだが、胞子紋はごくごくわずかしか落ちなかった。胞子表面には微疣があり、コットンブルーによく染まる(f)。フロキシンでは微疣はわかりにくい(h)。側糸は細い棒状(g)。子嚢は非アミロイド(i, j)。子実下層の菌糸は複雑に入り乱れている(k)。

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