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日( )
2009年3月31日(火)
 
顕微鏡 撮影アダプタ変更
 
 デジタル一眼レフによる顕微鏡撮影システムを変更した。Micronet 製の NY-1S を使うことにした。これまでは、当初銀塩カメラ専用の複数ボディ装着型撮影装置 HFM と専用レンズ(Nikon CF 5x)を使い、今年の1月20日からは専用直筒を使うようになった(雑記2009.1.20)。
 2007年の Nikon D100 に始まり(雑記2007.7.21)、Olympus E-330 ( or E-410) に変更して昨日まで使ってきたが(雑記2008.6.14)、撮影時の画角が不満だった。双眼部でみえる視野のうち、中央部の 40〜50% 程度の画角でしか撮影できなかった。これは、3.3倍の撮影用 CFレンズが入手できれば解決できる問題だが、探す手間が面倒になった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 新旧両システムできのこの胞子とコケの枝を撮影してみた(a〜d)。新しいシステムは画角が広いので、双眼部との違和感が少ない(a, c)。旧システムの画像(b, d)の画角を、緑色と赤色の枠で囲ってみた(a, c)。対物ミクロメータを 油浸対物100倍で撮影して、10μm 長のスケール(青線)を書き加えた。新旧両システムでは、スケールもかなり違う。

 安価な顕微鏡撮影装置として一眼レフボディを使うのはあまり賢くないのかもしれない。低振動モード(Olympus)、ミラーアップ(Canon)や手ぶれ補正などを使っても、シャッターを切るときの振動が馬鹿にならない。コンパクトカメラ P6000(Nikon) と Micronet のアダプタ NY-P6000 を用いる方がはるかにきれいな画像を得られることも分かった。


2009年3月30日(月)
 
マユハキタケの群落
 
 土曜日に千葉県南部にカシタケを主目的に出かけ、マユハキタケの群落にも立ち寄った。タブの老木や腐朽木についたきのこは、ときに大群落をなす。いったい幾つくらいの子実体を作っているのかと数えてみた。500を越えたあたりで数えるのがばかばかしくなってやめた。このような大群落を見ることができるのもあと数年くらいだろう(雑記2008.3.2)。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 材上や樹皮上のマユハキタケならば楽に撮影できる(a〜c)。しかし、狭く暗い凹部の奥や(d)、立枯樹の洞の中の大群落は(e)、撮影が難しい。この日は、マクロレンズを取り付けた小型の一眼レフを一脚につけ、これを穴の中につり下げ、絞り解放、距離はマニュアルにして、少しずつ距離を変えてリモコンで撮影した。30枚ほど撮影すると、5〜6枚にピントが合っていた(f)。

2009年3月29日()
 
カシタケの季節
 
 千葉県南部でカシタケを楽しんだ。関東地方では、カシタケは春先にスダジイ樹下に発生する。幼菌の時は白色、やがて黄色となり、深青色から紫色をへて、赤紫色や赤色となる。老菌になると退色して白っぽくなったり褐色を帯びてくる。色の変化が味わい深いきのこだ。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 カシタケは落ち葉が深く積もった場所に出ることが多く、気をつけて見ないとなかなか見つからないようだ。掲載した写真はいずれも、落ち葉をどけて撮影したものだ。昨日は二百数十個体を見たが、比較的質の良い個体を50ほど採集した。ベニタケ属の常識に反して、食味にボソボソ感はない。ひさしぶりにきのこ狩りモードだった。

2009年3月27日(金)
 
改訂版 羅和辞典
 
 水谷編『改訂版 羅和辞典』が届いた(a)。旧版の田中編『増補改訂 羅和辞典 (1966)』(b)の改訂版だ。旧版は硬い表紙で扱いにくかったが、新版は柔らかな水濡れにも強い表紙となった。項目数も若干増えているが、一つひとつの語彙がすべて見直され、かなり扱いやすくなった。
 興味深いのは付録の文法概要だ。ラテン語の名詞・形容詞は性数格に応じて語尾が変わる。格には主格(nom)、対格(acc)、属格(gen)、与格(dat)、奪格(abl)、呼格(voc)と6つあり、呼格は第一変化の名詞以外は主格と同じなので、普通は5つの格変化が表として示される。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 伝統的に教科書や文法書では、格は nom-acc-gen-dat-abl という順に並べられた(c)。40数年前に受けたラテン語の授業では、dominus-dominum-domini-domino-domino という順番に語尾変化を唱えさせられた。[主対属与奪] の順である。
 いつの頃からか、教科書や文法書における格の配置が変わってきた。現在市販のラテン語入門書や文法書における支配的な配置は、nom-gen-dat-acc-abl、つまり [主属与対奪] となっている。改訂版 羅和辞典でも、ついにこの配列を採用したようだ(d)。
 きのこや菌類で使われる専門用語にはラテン語由来の語彙が多い。また、生物の学名はラテン語で記されている。したがって、ラテン語の初歩的知識があると、きのこに対する楽しみの幅が大きく広がることになる。菌類に特化してラテン語を学ぶには、勝本著「菌学ラテン語と命名法」の右に出る書はない(e)。名著であるがすでに絶版となっている。幸いなことに日本菌学会関東支部からこの名著の「電子版」が発行されている。改訂版 羅和辞典もよい辞書だが、菌類に関する限り「菌学ラテン語と命名法 (電子版)」が現在入手できる最も良い文献だろう。ちなみに、この書における格の配列は、伝統的な nom-acc-gen-dat-abl [主対属与奪] である。

2009年3月26日(木)
 
大形盤菌のシーズン
 
 埼玉県南部や東京都内では、トガリアミガサタケが最盛期を迎えているようだ。今週初めに、文京区の大学構内でかなりの数が発生していると聞いた。さいたま市の銀杏樹下を歩いてみると、数十個体が発生していた。先週同じ場所を歩いたときにはひとつもなかった。最近4〜5日の間に発生したらしいが、既におおかたは乾燥のため、先端から萎びはじめていた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 久しぶりに子嚢盤の一部をつまみ出して顕微鏡で覗いてみた。どうやら子実層もかなり崩れている。各地でシャグマアミガサタケも最盛期を迎えはじめたようだ。来週末にはアミガサタケやキツネノワンなども出始めるかもしれない。

2009年3月25日(水)
 
休日の高速道路が嘆かわしい
 
 週末からいよいよ「地方部の高速道路は平日昼間3割引、休日は上限1000円」が始まる。全国展開に先立って先週末の連休に本四架橋と東京湾アクアラインで先行実施された。予測以上の通行量だったという。この割引制度がETC搭載車に限定されることから、全国のカー用品店ではETCが品切れ状となり、メーカーの生産が追いつかないという。
 天下の愚策「定額給付金」とからめた「景気浮揚・生活対策」というが、安直で目先のことしか考えていない政治屋の駆け引きの産物だ。高速料金が下がるのはありがたいが、「平日の昼間3割引」には距離制限(100kmまで)があるので、長距離走行ではメリットは少ない。いきおいETCさえ搭載していれば、「地方の高速が休日1000円で乗り放題!」だけが喧伝される。

 ただでさえ大渋滞のゴールデンウイークと盆暮れ。この時期の高速道路は広い範囲で「超低速道路」になることは目に見えている。そうでなくても、これからは休日の高速道路はどこも「低速混雑道路」になるだろう。モラルもルールもテクニックもお粗末な輩が、休日になると大挙して高速道路を走ることになるのだから・・・。杞憂であってほしい。


2009年3月24日(火)
 
久しぶりのきのこ観察
 
 先週土曜日に採集したクヌギタケ属を覗いて楽しんだ。ヒダの柄に対する着き方は上生(b)。ヒダを実体鏡で覗くと、先端部は意外と幅広く縁には白毛が無数についている(c)。クヌギタケ属のきのこは日常頻繁に出会うにもかかわらず、その多くがいまだに名無しのままだ。
 このきのこもどうやら無名らしい。針葉樹(マツ)の腐朽木と広葉樹(コナラ)の腐朽木に束生していた。とりあえず両者を分けて持ち帰っていたが、光学顕微鏡と試薬による反応からは、同一種であることを示唆している(DNAデータをとれば隠蔽種のはずだ、と言われそうだが・・・)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
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(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
  (d) 胞子:水封, (e) 胞子:メルツァー, (f) ヒダ切片, (g) ヒダ先端:フロキシン染, (h, i) 縁シスチジア:フロキシン染, (j) 担子器:フロキシン染, (k) カサ表皮, (l) カサ上表皮:フロキシン染

 胞子は弱いアミロイド、縁シスチジアは先細フラスコ状〜棍棒状、先が二股のものなどあるが、いずれも表面は平滑で微突起などはない。カサの表皮組織は短く太い菌糸が匍匐ないし平行に走る(k)。さらにその上には、微突起を持った細長い菌糸が平行に走る。
 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁を見たが、あまりにも厚いため暗くてシスチジアの判別は困難だった。そこで、フロキシンを加えてKOHで封入して軽く押しつぶした画像が(h)だ。カサ上表皮は透明でコントラストが弱く見にくいので、フロキシンで染めた。

2009年3月23日(月)
 
せめて人並みの記憶力が・・・
 
 今朝はあらためて、わが身の記憶力の悪さを痛感した。小学生時代からずっと人並み外れて記憶力が悪かった。かけ算の九九が覚えられず、教員からはいつも罵られていた。その後も生物とか歴史といった記憶力が必要な科目では、常に「おちこぼれ」だった。

 まわりの友人・知人らが動植物の名前を次々に覚えていくのがとても不思議だった。友人等は、1603年(江戸幕府開設)を「人群れ騒ぐ江戸の町」といった語呂合わせで暗記していたが、それすらできなかった。記憶するという能力が根本的に極度に欠如しているのだ。先天的な機能障害なのだろう。それを自覚できるようになったのは成人になってからのこと。

 昨夜、スジゴケ属だろうと思って採集した植物体を観察した。顕微鏡を覗いたとたんに、以前どこかで見たことがあるという思いを強くした。しかし、それがいつのことだったのか、さらに、この植物体の正体が何だったのかは、どうしても思い出せなかった。
 今朝になって、2年前の1月頃に同じような植物体を採集して「こけ雑記」の「たわごと」に記したことを思い出した。改めてその日の雑文を開いてみると、「シダの前葉体だった!」というタイトルで、同じ植物体の観察結果が記されていた。


2009年3月22日()
 
狭山湖脇の自然公園
 
 昨日、東京都の水源である狭山湖南側の自然公園を歩いてみた。あちこちの腐朽木からクヌギタケ属のきのこが束生して出ていた(a〜c)。カサの色は明るい褐色から暗褐色のものまであり、いずれも柄の基部は白毛状の菌糸に覆われていた(c)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 フクロシトネタケ属とおぼしき子嚢菌がみられたが、いずれも未成熟で胞子を散布するまでに成長した個体はなかった(d, e)。昨秋にでも発生したのだろうか、天然自然の中でそのまま乾燥標本となってしまったきのこにであった。ミドリスギタケ属のようだ。
 目的のきのこには出会えなかったが、ツバキ樹下には菌核菌がよくでており、落枝にはクロコブタケが、マツの立ち枯れにはまだ口を開けていないヒトクチタケの若い菌が多数ついていた。

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