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キノコやコケの薄切りをするのにカミソリは欠かせない。カミソリの善し悪しによって、楽に切れることもあれば、こんなはずではなかった、ということにもなる。ふだん使っているカミソリは、フェザー安全剃刀株式会社の「炭素鋼 刃厚0.1mm 品番FA-10」だ(a, b)。 これには10枚の刃が入っているので、二つに割って20回使うことができる。炭素鋼のため、二つに割っても端にバリがでない。ステンレス製品はバリが出るしすぐに切れなくなる。日常的に消費量が多いので、5〜6年前頃から、100枚入りの商品を購入している(c)。 両刃剃刀を二つに割るときは、必ず紙に包み込まれた状態のまま二つに割ってから、紙を開いて刃を取り出す(d)。刃を包装から取り出して裸の状態で割ると怪我をしやすい。 |
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簡易ミクロトームを使うときには、厚手の刃が便利だ。これも両刃剃刀と同じフェザーの製品を使っている(e)。やはり日常的には100枚入りを購入して使っている(f)。余計な包装がなく、蓋を開けると刃がびっしり入っている。 | |||||||
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今年もウラベニガサに出会った(a)。昨年キノコの顕微鏡観察、記載表への記録を始めてからシスチジアの美しさ、りっぱさに感動したキノコだった。最近ひだの縁をカットして縁シスチジアの有無の観察を始めたばかりだ。ひだ実質構造をみるため実体鏡下で薄切り切片の切り出しにひたすらこだわっていた。しかし縁シスチジアが少ないと見逃すため指導で方針転換した。不慣れのためひだの厚さを忘れて撮影していた(c)。縁と側シスチジアが紛らわしく撮影されている。やりなおして押しつぶしたら成功!(d)。しかし押しすぎるのもだめ、なかなか加減というものは難しいものである。 |
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ひだ構造を見るための切片作りはもっと難しい。薄切り作業時にどうしても枚数を切りすぎて重なってしまったりするが今回はここまでであきらめた(e)。ウラベニガサ仲間のひだ切片作りは特に難しいが、ひだにこだわりすぎて、かさ表皮(f)の観察は忘れたり、記載表がおろそかになってしまったりである。写真撮影に夢中になり記載を忘れたりの反省の日々である。 (Y. A.) | |||||||
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今の時期あちこちでベニヒダタケがでている。これを使って切片作成の練習をした。胞子はさておいて(b)、はじめにカサとヒダ数枚をまとめてバッサリやってみた(c)。次いでヒダを一枚スライドグラスに寝かせて慎重にカミソリをあてた。これが結構難しい。 せっかくうまく薄く切れても、封入するときにしくじってエアの混入を起こしやすい(d)。よくやる失敗で、こうなるとお手上げである。再度切り直しからのやり直しだ(e)。それにしても、ヒダ実質の逆散開型を明瞭に捉えるのは難しい(f, g)。(雑記2009.5.18、同2005.8.4、同2004.5.19) 縁シスチジア(h)、側シスチジア(i)、担子器(j)は、フロキシンで染めたヒダをKOHで封入して押し潰せばよいので、確認するのは簡単だ。切片作成のポイントはカサ表皮の切り出しだ(k, l)。この部分はうまくやらないと、ゴチャゴチャになって、はっきり捉えにくくなる。 |
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このところの視力の急激な低下、指先の感覚のさらなる鈍化、腰の不安定などから、実体鏡やピスを操作できない日が増えた。ここ数日、目と指先の機能維持のため、切片作りの練習をしたが、まだしばらくは何とかなりそうだ。問題は、技能ではなく集中力のようだ。 | |||||||||||||
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一昨日から昨日にかけて、国立科学博物館主催の平成22年度自然観察会「富士山でコケと地衣を楽しむ」に参加して、富士山で楽しんできた。往路の中央自動車道からも富士山が整った姿を見せていた。今年は例年に比較してとても雪が多い。二日間とも山の上は好天で、絶好の観察日和だった。日陰に入るとひどく寒いが、日向に出ると暑いほどだった。 初日に、船津林道を走っていて、珍しい担子地衣(mushroom lichen)に出会うことができた。キノコは Omphalina のようだ(b)。運良く、子実体をつけていた。子実体のカサ径は5〜6mm。 |
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地衣類の大半は子嚢菌と藻類の共生体で、担子菌と藻類との共生体は極めて少なく、おおむね三通りの異なったタイプがある。一つ目は、腐朽材に出るシラウオタケのようなタイプ。二つ目は、藍藻類と共生する硬質菌。こられは比較的高頻度で見ることができる。第三のタイプはハラタケ形のキノコを作るもので、これは比較的珍しくキノコを作る期間も極めて短い。 キノコ屋さんは「おや、キノコだ」と思い、柄基部に広がる地衣を見ない。地衣屋さんは「なんだ、キノコだ」と思い、見逃してしまう。だから、キノコと地衣の両者を知らないと採取は困難となる。したがって、子実体をつけた担子地衣の採取例や標本は少ない。 今朝は、遊歩道の両側に大きく広がったウスイロミヤマハナゴケ(c, d)、マキバエイランタイ(e) [以上地衣類]、ハリスギゴケの雄株(f)を掲載した。 |
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フミヅキタケがあちこちで見られるようになってきた。狭山湖畔の緑地には幼菌から成菌まで一通りそろっている(a, c)。材の樹皮の下でひしゃげた姿をしたものもあった(b)。胞子には明瞭な発芽孔がある(d)。封入液を多めにして胞子を泳がせると発芽孔が上に向く(e)。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると、のう状の縁シスチジアが見える(f)。 これから先が切片作りの練習。まずヒダ切片を切り出して縁を染料で染めてみた(g)。縁にも側にもシスチジアがある。倍率を上げて縁シスチジアに合焦したら側シスチジアがボケた(h)。一枚の画像で両シスチジアを撮影しようと思ったら、もう少し薄く切らねばならない。しかし、観察のためや同定のためであれば、なにも薄く切る必要など全くない。 |
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あらためてコンゴーレッドで組織を染めてKOHで封入して軽く押し潰した。縁シスチジア(i)、側シスチジア(j)の姿が明瞭に捉えられる。担子器の基部にクランプはない(k)。切片作りが大切なのはカサ表皮の観察だ。フミヅキタケのカサでは、薄膜で類球形の細胞が集積している(l)。カサ肉や柄の組織にはクランプがある。切り出し練習はここまで。 今日はこれから富士山合宿。科博主催のコケと地衣の観察会に参加するので、早朝出発することになる。集合時刻の昼前までは、キノコも観察できるかもしれない。 |
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東京都の水瓶の一つ多摩湖界隈はすっかり新緑で色づいている。今朝の自然公園にはいたるところにマツオウジが出ていた(a, b)。遠目にも白く目立つのですぐにわかる。道ばたの落ち葉や腐朽材からはフミヅキタケらしききのこが多数でてきた(c, d)。やや湿った材にはウラベニガサやベニヒダタケも出ている(e, f)。
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日本菌学会関東支部のワークショップの日程と内容が決まったようだ。テーマは「菌類の分子系統学を学ぶ超入門編」で、講師は国立科学博物館の保坂健太郎博士。場所は筑波大学菅平高原実験センター。分子系統学の講義(菌類の話題中心)や分子系統解析実習となっている。 申込先は 〒305-8572つくば市天王台1-1-1 筑波大学生命環境科学研究科生物圏資源科学専攻 山岡裕一さんへ Tel/Fax: 029-853-6708 E-mail: yyamaoka@sakura.cc.tsukuba.ac.jp 申し込み締切り 6月2日(必着) |
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岡山遠征中に出会った子嚢菌です。テンガイカブリタケ(d〜f)には今年はもう出会えないかなと思っていたのですが、コケフォーレ初日に一人で行動し始めてすぐの出会いでした。沢沿いの道路をへだてた瓦礫の斜面です。桜のはなびらがちらほら落ちているだけで近くに桜の木はみえません。2個体しか見当たらず、さがそうとしましたが斜面は急で登ろうとしてもすぐにずり落ちてしまうのであきらめました。 クロチャワンタケ(a〜c)と思える個体は高梁市の自然公園内、ヒノキ、コナラ混じりの林のコケから発生していました。未成熟のため帰宅後追培養し観察したのですがやはり胞子は充分成熟しませんでした。 |
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兵庫のNさんが送って下さった大谷博士のクロチャワンタケ他2種の比較表を改めてみて検鏡のやりなおしです。托外皮層の厚さ(c)、組織、外側何層?、内側と・・・外皮層はどこからどこまでか? 外皮層外側は真っ黒で組織がどうなっているのかわかりません。やっとでほぐしてみると、どうも多角形細胞からなっていて黒色が著しいだけのようです。きちんと見て記録し撮影する作業は大変だ! (Y. A) | |||||||
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ようやく自宅の車フォレスターの冬季用タイヤをノーマルタイヤに交換した。保管してあったノーマルタイヤを台車に積んで駐車場まで運び、車のトランクに乗せて車屋さんに行き、そこでタイヤ交換をしてもらい、エア調整・ホイールバランス調整をしてもらった。 たったこれだけのことだが、腰痛という慢性持病を持った身には負担の大きい重労働なのだ。だからタイヤを運搬作業には一大決心が必要となる。4, 5年ほど前までは、ジャッキを使って自分で駐車場でタイヤ交換をして、自転車用空気入れでエア調整をしていた。 屈んでタイヤを持ち上げたり、降ろしたりするのが非常に辛くなって久しい。タイヤ交換をした日は、そのあと細かな作業は一切できなくなってしまった。実体鏡の前に座って作業をすることができない。顕微鏡を覗いても微動ノブでピント合わせがうまくできない。こういった作業は腰がまともに働くことが前提になっていることを痛感させられる。ああ、嘆かわしい。(I. A.) 日光から持ち帰ったシャグマアミガサタケは、ちょっとみたところよく成熟しているように見えたのに、まだほとんど胞子ができあがっていない。子実層を切ってみたところ、子嚢に胞子の姿はなく側糸ばかりだった。しばらく追培養(?)してみよう。(Y. A.) |
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