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しつこく今朝もMycenaの続き。ヒダ実質は並列型(a)。担子器の基部にはクランプを持つものと持たないものがあるが、基部をうまく撮影できなかった(b, c)。柄の基部の白毛状の菌糸は、隔壁の少ない長い菌糸からなり(d, e)、一部には微突起を持つ菌糸もある(f)。
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ここ数日、アカマツとコナラの腐朽木から束生するMycenaをじっくり観察してみたが、結果はスイスの菌類図鑑にあるM. stipataや青木実氏の観察結果などとよく符合する。ということは、昨年3月の雑記で取り上げたMycena も、ともにアクニオイタケとしてもよさそうだ。 今日はこれから千葉へ。先月から「お試し参加」している地衣類上級講座の最終回だ。先週採集した標本をもって行くことにする。4月からは新年度の講座が始まる。 |
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今朝も昨日に続いて Mycena の続きだ。今朝は主にカサ上表皮と柄上部の表面をみた。Mycena の仲間を観察するにあたっては、シスチジアばかりではなく、カサの上表皮と柄上部の菌糸構造が重要視されている。また、カサ上表皮には興味深い形をしたものがとても多い。 カサの横断面をみると、カサを形作る菌糸は上・中・下の3層からなっている。上表皮は細い菌糸が非常に薄い層をなし、その直下の菌糸はやや太く平行に走り、さらに下には茶褐色の菌糸があり、偽柔組織からなるカサ肉の菌糸に連なる(a, b)。観察すべきは上表皮だ。 |
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カサ上表皮には、不規則に多数の小突起を持った細い菌糸が平行気味に走り(c〜g)、菌糸にはクランプもある(h)。水だけで封入するとコントラストが弱く、目が疲れる。また、撮影は非常に困難を極める。ここでは、フロキシンとコンゴーレッドを混ぜて使用した(d〜h)。1〜2枚の画像でその全体像を表現するのは難しいので多数の画像を羅列した(c〜h)。 柄上部表面の菌糸(フロキシン使用)もカサ上表皮の菌糸に似通った姿をしていて(j, k)、特にその先端部が特徴的だ(l)。柄上部表面のシスチジアも面白い姿をしている(i)。 |
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昨日のMycenaの続き。胞子はアミロイド(a)。ヒダを寝かせて縁をみると縁シスチジアがある。そこで、ヒダの横断面を切り出してみた(b)。複数個体から、親ヒダと小ヒダをそれぞれ複数選んで、ヒダ断面をみたが、それらのどれにも側シスチジアは見られなかった。
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どのヒダ断面にも縁シスチジアは見られた。水(c)、フロキシン(d)、サフラニン(e)で周辺部を染めて遊んだ。縁シスチジアには棍棒形やら便腹形、先端が分岐した異形のものなどがある(f)。ここまで見る限りは、青木実氏のアクニオイタケ観察結果とほぼ一致する。このきのこで最も興味深いのは、カサ上表皮と柄上部の表皮などの菌糸壁の形だ。しかも低倍率では顕微鏡でその姿を明瞭に捉えるのがとても難しい。 昨日は家庭のテレビ受像器をデジタルに換えた。従来のアナログ21インチからデジタル32インチへの変更に伴って、タコ足配線を大幅にすっきりさせた。21と32という数値だけ見ると、さぞかし広い画面になったかのように思える。ところが、縦横比の違いによる差のため、天地サイズに関してはあまり変わらなかった。日常テレビはあまり見ないが、暗い夜中に出立することが多いので、データ放送の交通情報や天気情報がいつでも見られるのはありがたい。 |
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例年3〜4月頃にアカマツとコナラの腐朽材から決まって顔を出すクヌギタケ属 Mycena のきのこがある。同じものは昨年も似たような時期に観察している(雑記2009.3.24)。以前はアカマツに出るものはアクニオイタケ M. stipata で、コナラに出るものは別の類似種だろうと思っていた。しかし、この両者はともに薬品臭はほとんどなく、光学顕微鏡レベルでは全く区別できなかった。そこで、昨年の雑記でも「どうやら無名らしい」と記した経緯がある。 なお、フィールドでは無臭でも、フィルムケースに容れるなど密閉状態にして一定時間放置すると強い臭いを発することがある。ところが、このきのこは密閉状態を保った後でも、やはり薬品臭は感じない。なお、今年はコナラの腐朽材からは発生していなかった。 |
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同じマツ腐朽材には、秋にもこのキノコが発生する。それは顕著な薬品臭があり、まさに「悪(あく)臭(にお)いタケ」だ。秋に発生するものと春先のものとは、これまた顕微鏡レベルでは全く区別できない。一方、秋にコナラ腐朽材に出る類似のきのこには薬品臭はなかった。 | |||||||
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一年ぶりに、先日採取したカシタケを検鏡してみた(雑記2009.4.2)。かなりいい加減な保管をしていたため、乾燥しきったヒダには泥がつまり、カサ表面にも泥がこびりついていた。幸い胞子だけは、カバーグラスに胞子紋をとったものが残っていた(a)。 スライドグラスにヒダを寝かせて縁をみると縁シスチジアがみえる(d)。何枚かの横断面をみても(b)、縁シスチジアははっきりしないが、側シスチジアは捉えられた(c)。ヒダを3%KOHでバラしてフロキシンで染めるとシスチジアが明瞭になった(e)。カサ表皮は水で封入してもはっきりせず(f)、KOHで封入すると、脱色してしまったが菌糸の様子は明瞭になった(g)。 |
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調合から2年間ほど経過した試薬を使って(j)、呈色反応をみた。たいていはグアヤクを滴下するとたちまち緑色になるのだが、5分ほど経過してやっと変色した。フェノールの反応が出るまでにも5分ほど必要だった(h, i)。どうやら試薬を作り直さねばならないようだ。 | |||||||||||
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昨日チャムクエタケ属のきのこについて触れたので、ついでに観察結果の一部をここにメモしておくことにした。ヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみると、棍棒が波打ったような姿の縁シスチジア(g)が多数あることがわかるが(f)、ヒダ切片の先端をみてもわかりにくい(d, e)。 胞子紋は黄土色で胞子は平滑(c)。担子器の基部にはクランプがあり(h)、カサ肉にもヒダ実質にもクランプがある(i)。カサ上表皮は細い菌糸が匍匐している(j)。 |
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チャムクエタケ属 Tubaria は最近数10年所属する「科」が次々に変わっている(雑記2003年3月25日)。Singer著「The Agaricales in Modern Taxonomy 4th. ed.」(1986)や伊藤整哉著「日本菌類誌 第2巻第5号」(1959)ではCrepidotaceae(チャヒラタケ科)とされる。保育社「原色日本新菌類図鑑」(1987)や池田良幸著「石川のきのこ図鑑」(2005)でもCrepidotaceaeにおかれる。 一方「スイス菌類図鑑Vol.4」(1995)ではStrophariaceae(モエギタケ科)とされる。「Dictionary of the Fungi」第8版(1995)ではCrepidotaceaeとされていたが、第9版(2001)ではCortinariaceae(フウセンタケ科)となり、第10版(2008)ではInocybaceae(アセタケ科)と記述があらためられている。Index Fungorumで有名なCABI databases でもInocybaceaeに置かれている。 さらに安比フォーレの配付資料「新分類体系リスト」ではTubariaceae(チャムクエタケ科)となっている。Tubariaceaeという「科」が提起されたのが最近で「Dictionary of the Fungi」第10版には間に合わなかったのかもしれないが、CABI databasesでは「Tubariaceae」とはなっていない。 |
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カサ表皮の構造を観察しようと、カサ部の薄片を切り出したまではよかったが、顕微鏡の視野の中で、いずれの側がカサの上表皮なのかあるいはカサ肉側なのか戸惑ったことはないだろうか。カサ表皮が濃色でカサ肉が薄色の場合などはこういったケースは比較的少ないが、問題はカサ表皮もカサ肉も似通った色の場合だろう。
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先日沢沿いの土手でツクシンボウを採っていると、チャムクエタケ属と思われるきのこがでていた(a)。このきのこもカサ肉とカサ表皮の色がよく似ている。上表皮側を間違いなく観察するには、カサの一部を切り出す前に表面側を着色してから切り出すとよい。 具体的には、フロキシンなどの着色料を筆先に少量つけてカサ表皮を軽くなぞる(b)。その上で、一部を切り出して(c)実体鏡の下で切るなり、ピスに挟んで切る(d, e)。表皮側なのか肉側なのか自信がもてない場合でも(f)、片側が赤く着色されていれば迷うことはない(e)。 注意すべきは、微量の染色料をさっと薄塗りすることだ。さもないと上表皮ばかりではなく、カサ肉までが染まってしまう。コンゴーレッドやサフラニンでもよい。 |
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近場にちょっと出かけるには、バス・電車より自転車の方が遙かに効率がよく経済的でもある。ところが、2006年9月、2008年8月とひどい腰痛を患ってから、自転車を漕ぐと腰が激しく痛むようになった。このため、2006年秋頃から自転車にはあまり載らなくなった。特にこの1年半、自宅の自転車には全く乗ることもなく、ずっと放置状態だった。 まずはママチャリに空気を入れて、おそるおそる乗ってゆっくり漕ぎだしてみた。痛みはほとんど出ず何とかいけそうな予感。久々の快感だった。ところが盗難に遭って戻ってきた時のままだったので(雑記2009.5.30)、直ぐに動けなくなってしまった。馬蹄形の錠は破壊され、前輪ブレーキは利かず、タイヤは直ぐにペシャンコになった。もう一台のマウンテンバイクもタイヤに空気を入れると直ぐに抜ける。どちらもタイヤチューブやブレーキシューなどが劣化して駄目になっていた。再び乗れるように、なじみのバイク屋まで運んで修理してもらった。 |
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