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教材や講座の材料がないので、川越市の保護林に行ってみた。ハラタケ形のきのこは全くなかった。そこで、近くのスーパーマーケットを漁ってみた。栽培食用きのこが10品目ほど並んでいた。少なくともシスチジアなどがあってカサ表皮も特徴的なきのこでないと面白くない。 そこで、夕食のおかずを兼ねてエノキタケの仲間を3品目買ってきた(a)。商品名は「野生種えのき」「信州えのき」「とらちゃん」となっている。少し前までは「信州えのき」のようなもやし形のものばかりだったが、最近はいろいろのタイプが並ぶようになっている。 |
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「野生種えのき」と「とらちゃん」には縁にも側にもシスチジアがあり、粘りのあるカサ表皮に胞子が多数付着していた。一方、「信州えのき」にはシスチジアはなく、カサ表皮にもどこにも胞子はなかった。3品目ともこの種に特徴的なカサ表皮の構造はよく似ている(g〜l)。 振り返ってみると、今年になってからきのこを顕微鏡で覗いたのは、今日が初日だった。久しぶりにカバーグラスを4枚ほど使った。スライドグラスはまだ元旦にクジャクゴケの観察をしたときのままだったので、今日になって2枚目を使い始めた。 |
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歳はとりたくない。ちょとしたことで簡単に骨折するとは。共同運営者の一人が階段で転けた。しばし外出がままならなくなってしまい、きのこ観察に出られない。かつても怪我や病気をしたときはチャンスだった。何のチャンス? そう、日頃なかなかできない菌類の基礎的な勉強をすることができる。天の恵みかも知れないのだ。(I. A.) そっそんなぁ! ああ天災! (Y. A.) | ||
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長い乾燥の時期を過ぎ雨や雪も降ったので、ウッドチップから何かでているかもしれないと思って、久しぶりにさいたま市の見沼自然公園に行ってみた。とても穏やかで豊富な陽射しの中、池の畔では水鳥が日向ぼっこや毛づくろいをしていた。新たに粉砕されてできあがったばかりのウッドチップがうずたかく積まれていた。ウッドチップ生のきのこは全くなかった。落ち枝にはタマキクラゲやヒメキクラゲがついていた。スギの枝も多数落ちていた。 |
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スギの雄花はまだ十分熟してはいないが、未成熟の花粉をまき散らしながら落ちていた。花粉に特徴的なパピラもまだできあがっていないものが多かった。マスコミの報道どおり、今年はスギが早い時期から多量の雄花をつけている。 | |||||||
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名著の誉れ高い久しいギリシア語の教科書を古書店で探したがどこにもない。神保町の西洋古典学専門の古書店でも、最近1年ほど入荷がないという。ネット上で探しても、絶版品切れとなっている。かろうじてひとつだけ見つけたが定価3,675円に対して28,000円の値がついている。これはとても手が出ない。でもどうしても読んでみたい。 そこで昨日、埼玉県立図書館の蔵書をWEB上から検索したところ、久喜図書館に1冊あり、貸し出し中ではないことも分かった。ただちに、受取先を浦和図書館にして予約した。今日月曜日は休館日、また久喜図書館は春期特別整理期間のため14〜18日まで休館だ。取り寄せ済みの連絡が入るのは19日以降だろうと思っていた。 驚いたことに、今日の昼過ぎに図書館からメールで連絡があった。既に取り寄せ済みで明日にでも貸し出せるという。かつての常識では4〜7日ほど待たされたので、あまりの迅速さに驚いた。これに気をよくして、菌類関係の絶版文献を検索してみた。やはり予測どおりほとんどない。しかし、国会図書館や大学図書館には結構ある。県立図書館を通じてこれらの蔵書を閲覧する手続きも昔に比べて格段に楽になっていた。年金生活者にはとてもありがたい。 [補] 国会図書館の資料は個人で借りることはできない。図書館同士の間で貸し借りができるだけ。だから届いた資料は、あくまでも借受図書館内での閲覧に限られる。コピーも禁止されている。これは従来と変わらない。 |
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過去の「雑記」でエノキタケのミクロの姿(2010.2.13)を確認してから観察をはじめた。ヒダ切片がなかなか薄く切れないし、ステリグマをつけた担子器がみつからない。子実体があまりに泥にまみれていたので洗ってしまったからだろうか。胞子は短時間で多量に落下したのに、ステリグマ付きの担子器が少なかった。縁、側シスチジアはどちらも少なく形も同じようだ。 |
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ひだ観察にいいかげん疲れて、気分転換にカサ表皮を観察しはじめた。やや乾燥気味の子実体から採取したので切片は作りやすかった。長い槍状の菌糸がまっすぐにいっぱい伸びている。厚膜で茶褐色のものもあるが、無色の細い菌糸が柵状にみえる。その先端部分に胞子が層状に積もっている。菌糸の間を埋めているのはどうも無色透明のゼラチン質のようだ。 菌糸組織のクランプはカサ肉、柄、ヒダ実質にもある。ヒダ組織をみていて妙な球状のものに気づいた。はじめはクランプなのかな? 菌糸が伸びはじめたものかなと思った。どうも菌糸が酵母状に分裂したようである。 (Y. A.) |
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例年だとこの時期、ハンノキの菌核菌が最盛期を迎えるが(雑記2009.2.6)、今年はまだ見ていない。近くの緑化センターではウメとロウバイが咲き誇っている。ツバキの樹下をじっと見つめてもきのこの姿がない。落ち葉をかき分けるとようやくツバキキンカクチャワンタケがでてきた。それにしても、発生数が少ないし全体に小さい(c, d)。ヤブツバキの切り株からはエノキタケがでていた(a, b)。ちょうど3年前の1月と同じだ(同2008.1.8)。 |
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三脚を使わずに暗いツバキ樹下でシャッターを切ったが、やはりしっかりとボケていた(c, d)。 | |||||
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昨年の高知県.いの町木の根遊歩道で採取した3例目のウスタケの仲間である。ウスタケ1(雑記2011.1.1.11)、ウスタケ2(同2011.1.13)と違い子実体が大きい。顕微鏡観察での違いをかなり期待して切片作りをはじめた。 胞子は3例のなかで一番小さく、表面模様の疣〜うねが浅く不明瞭である。担子器の大きさの違いはさほどではなかった。しかし、この3種のウスタケのなかで一番子実層をばらすのに苦労した。実体鏡で子実層をほぐす作業をしたがなかなかほぐすことも出来ず、カバーグラスの上からの押しつぶし法もしつっこくやったがうまくいかなかった。担子器の基部をはっきり見ることができないため、計測は数個しかできなかった。この組織が強靭なのであろう。 しつっこく担子器ばらしに時間を費やしたが、これではいつまでも高知で採取した他のキノコに申し訳ないのであきらめた。 (Y. A.) |
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このところずっと、連れ合いは昨年10月に四国で採取したきのこをいじくり回している。すっかり乾燥してコチコチになったきのこばかり。KOHを使ったり、アンモニアを使ったりしながら、悪戦苦闘しているらしいが、プレパラート作りはなかなか思い通りにいかないようだ。今朝もまた暖房のない部屋でたくさん着込んで顕微鏡に向かっている。 (I. A.) | |||||||
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