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日( )
2011年10月31日(月)
 
ドクササコには出会えず
 
 昨日新潟県でドクササコを探したが、結局出会うことはできなかった。どこにでもよく見られたのはニガクリタケだった(a, b)。杉林ではケコガサタケ属のきのこがよく見られた(c, d)。公園の芝ではヌメリガサ科のきのこ数種類を見ることができた(e, f)。一眼レフの出番はなかった。
 十日町から長岡の周辺は、10月末なのにやけに気温が高く、ほとんど半袖ポロシャツのままで行動できた。蚊やブヨがやたらに多く、刺された後半日ほど腫れが続いて困った。
 
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 pm5:00前に長岡市を出て関越道に乗った。天候は芳しくなくともやはり紅葉シーズンなのか、首都圏に近づくと激しい渋滞が始まった。少し動いては停止の繰り返しに耐えきれず、花園インターで一般道に降りた。道路は渋滞もなくすんなりと帰宅できた。

2011年10月30日()
 
これから新潟へ
 
 まだ真っ暗だが、今朝はこれから仲間三人で新潟へ向かうことになった。一昨日、兵庫産と新潟産のドクササコが届いた。このきのこには長いこと出会っていない(雑記2005.10.24)。これらを見ていたら、再びドクササコに逢いたくなった。うまく出会えるかどうかは分からないが、長岡市まで行く前にドクササコの出そうな森林を歩いてみることにした。

 ギリシア語ゼミの準備が結構シビアになってきた。そこで最近は野外を歩くときでも、古典ギリシア語のテキストと大辞典を持ち歩くようになった。とはいっても紙の本ではなく、iPod touchに格納したPDFファイルだ。しかし小さなiPod touchの画面での読書や学習には、やや辛いものがある。かといってノートPCは大きすぎる。軽量で6〜7インチほどの画面が欲しくなってきた。


2011年10月29日()
 
やっと出会えたオトメノカサ属
 
 最近はヌメリガサ科のきのこに出会うとついつい手がでてしまう。このキノコは日光市の芝生に発生していたものである。若い時は純白、時間とともに褐色を帯びるようである。かさには軽く粘性がある。柄に粘性はなく、中空。持ち帰ったきのこにはどれもひだに脈絡はみられなかった。
 胞子紋は白、非アミロイド、クランプなし。子実層托実質は錯綜型、かさ上表皮は匍匐菌被。担子器は2胞子性のものばかりであった。ひだ切片からではシスチジアはないように見えたが、KOHでばらしてみるとまるでシスチジアと思えるものがある。何回か切片を作り直し、ばらしながら観察してみた。擬担子器、未成熟な担子器、担子柄が脱落したもの、あるいは長い担子器がKOHで変形したものであるかもしれない。
 こういうときは身近に師匠がいるのですぐに判断を仰げるのが便利である。しかし、自分の意見もなしに聞くと恐ろしいことになるのだ。
 
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 最近の分類ではCamarophyllus オトメノカサ属からHygrocybe アカヤマタケ属となり、コオトメノカサはオトメノカサの変種とされているようである。 (Y. A.)

2011年10月28日(金)
 
キシメジ科の不明菌
 
 10日前の10月18日に川越市の雑木林で採取したキシメジ科らしきキノコを覗いてみた(a, b, c)。採取した日のうちに胞子紋だけはとっておいた。今朝袋から出して縦に切ってみると、柄は中実で、ヒダは直生〜垂生、ヒダの縁は微かな鉅歯状〜波状になっている(d, e)。
 胞子はほぼ球形で、4〜6μm、平滑で非アミロイド(f, g)。ヒダ断面を切ってみたがシスチジアはないように見えた。ところが、ヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみると、シスチジアなのか、担子小柄の先なのか、はっきりしないが何かゴチャゴチャしたものが見える(h)。
 そこでフロキシンで染めKOHで封入してバラしてみた。シスチジアにもみえる組織がある(i, j)。担子器の基部にはクランプがある(k)。カサ肉にも柄にも子実層にもクランプがある。カサ表皮は菌糸が並行に走っている(l)。きのこ自体に特徴的なニオイなどはない。
 
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 シメジ属のキノコらしいが、種名にまではたどり着けなかった。それにしても10日間も放置しておいたのに、キノコが腐敗したり変質しないことに驚いた。今日も午前中から昼過ぎまで、ネット環境がひどく不調で、おまけにパソコンの挙動までが変だった。

2011年10月27日(木)
 
山ではきのこ納め
 
 昨日、福島県南部の紅葉真っ盛りの山を歩いた(a)。木枯らし第一号の襲来とかで風は非常に強く、みぞれ交じりの霧雨が降り続き、日中でも気温2〜4度と寒かった。
 ウスキブナノミタケは例年と比較して黄色みが弱く、発生数も少ない(b)。キツブ、クロゲ、ヤワなど、色々なナラタケが幼菌から老菌まであちこちで見られた(c, d)。山桜の倒木から大きなムキタケが出ていた(e, f)。足下にはチャナメツムタケが多数みられた(g, h)。
 昼過ぎに山を下り、一般道をどこまでも南下して日光市の自然公園まで来ると、空は青空となり気温も上がり始めた。維持が大変なのか、公園のトイレが建物ごと撤去されていた。モミは多数あるのにアカモミタケは少なく(i, j)、独特の柄をもったベニタケ類(k, l)が多数出ていた。
 
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 道路脇の出店に並んでいたきのこといえば、ナラタケ、シモフリシメジ、クリタケばかりだった。聞けば、今年はホンシメジは不作で、店にはほとんど並ばなかったという。シモフリシメジがメインの商品となれば山のきのこはおしまいだと話していた。夕食はきのこ鍋となった。

2011年10月26日(水)
 
フウセンタケは難しい
 
 川越市の保護林で、18日にフウセンタケの仲間がよく目立った(a, b)。この仲間の識別は難しいのに、間違って採取してしまった。たいていシスチジアもなければ、これといった決定的な決め手に欠ける。採取したときは全体が何となく紫色だったが(a, b)、一週間経過すると退色して褐色になった(c)。しかし、切断するとカサ肉のあたりから紫色に変わった(c, d)。
 ヒダの断面を切ってみたが、シスチジアはない(g, h, i)。担子器の基部にはたいていクランプがある(j)。カサ表皮の細い菌糸の表面には褐色の粒点のようなものが多数ついている(l)。カサ表皮は水で封入してもよくわからない(k)。子実体にはどこの菌糸にもクランプがある。
 
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 顕微鏡はフウセンタケ属の観察には無力であることをいつも感じる。また、手元にフウセンタケ属のモノグラフもない。保育社図鑑やスイスの菌類図鑑だけで種名にまでたどり着けるケースは滅多にない。結局このきのこも種名の見当すらつかなかった。

2011年10月25日(火)
 
カバイロタケ (3)
 
 昨年11月末に観察しているが、再々カバイロタケを覗いた(雑記2010.11.30)。カサの縁には皮膜の名残が多数ついている(a, c)。ヒダの縁をルーペでみると、いかにも、束生する縁シスチジアが無数にあると感じさせる(c, d, f)。ヒダの縁をみても、断面の先端を見ても(j, k)、シスチジアが束生している(l)。今朝は胞子を色々なマウント液で封入して遊んだ(g, h, i)。
 
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 久しく顕微鏡を掃除していないので、レンズやプリズムがかなり汚れてきているようだ。光源の位置調整も必要かもしれない。観念して近々面倒な掃除をせねばなるまい。

2011年10月24日(月)
 
再びナカグロモリノカサ
 
 8月に引き続いてナカグロモリノカサを解剖してしまった(雑記2011.8.5)。昨日現地ではヒダが内被膜にすっかり被われていたのだが、持ち帰って袋を開いてみると、すでに皮膜は柄の周囲だけに、つまりツバとなって、ヒダは既に暗褐色となっていた(b)。
 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると、薄膜でのう状の縁シスチジアがあることがわかる(c)。ヒダを切り出したところゴミが付着したままだったが(d)、縁シスチジアの確認には支障がない(e)。フロキシンで染めて封入液をKOHで置き換えて軽く圧を加えると、縁シスチジアの構造がはっきりした(f)。担子器の基部にクランプは無い(g)。
 
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 カサ表皮の様子は水で封入するとわかりにくいが(h)、KOHで封入するとわかりやすくなる(i, j)。胞子はKOHで封入すると(l)、水で封入したときと比較して(k)、緑色味が加わった。カサ肉やカサ表皮、柄など、各部位で探してみたが、クランプはどこにもなかった。
 それにしても、この仲間のきのこは、ヒダが褐色になったら切り出しが極度に難しくなる。

2011年10月22日()
 
無力な顕微鏡
 
 旧分類でキシメジ属やシメジ属とされるきのこは、いずれも胞子は小さく、シスチジアなどはない。ミクロレベルではさしたる特徴もなく、ヒダ実質やカサ表皮もよく似ている。菌糸にクランプがあるかないかくらいしか顕微鏡観察は役に立たない。したがって、重要なのは発生環境と子実体の肉眼的観察のみとなり、同定にも主観的要素が忍び込みやすい。
 そんなキシメジ属のきのこを川越市の保護林から持ち帰ってしまった(a〜c)。きのこを縦断した直後はカサ肉や柄の内部は白色だったが(h)、20分ほど経過すると黄色みを帯びた(i)。菌糸にはクランプがある(k)。ヒダ実質も見たが有用情報は得られず、ゴミ取りもしなかった(l)。
 
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 保育社図鑑から種名を推定すると、ミネシメジということになる。ミネシメジは変異の幅がとても大きくて、研究者によっては複数種に分かれると考える人もいるようだ。きのこの和名「みね(峰)」からは山のきのこに思えるが、平地の雑木林にもしばしば出るようだ。

2011年10月21日(金)
 
ワカフサタケ属のきのこ
 
 川越市の雑木林にワカフサタケ属のきのこが多数出ていた(a, b)。発生環境はいずれも遊歩道脇や立木のすぐ脇で、人がしばしば立ち小便をしたり、犬猫が小便をする場所だ。
 複数個所から数本ずつ採取して、念のためにそれぞれ別の紙袋に容れて持ち帰った。調べてみた結果はいずれも同一種のワカフサタケ属菌と思えた。一日放置して自宅で撮影すると、薄暗い現地で見た色とは異なっていた(c, d)。ヒダの縁が巻き込んだサンプルもあった(e)。カサにはわずかな粘性があり、乾燥しても付着した破片類は落ちない(a, f)。ヒダは上生のようだ(g)。
 
(a)
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 胞子は10.5〜13.0×5.3〜6.5mmで、Q比(長径/短径)は2.0前後だ(h)。ヒダをスライドグラスに載せて縁をみてから(i)、適当にめくら切りでヒダ断面を切り出した(j)。側シスチジアはなく、縁シスチジアが無数にある(i〜k)。縁シスチジアは棒状で先端がわずかに膨らみ、中には基部近くが軽く膨らむものもある(l, m)。担子器の基部にはたいていクランプがある(n)。
 カサ表皮には楕円形やら台形あるいは偽柔組織のような形の細胞層があり、そこから細い菌糸が伸びている(o, p)。柄上部の表面にも細い糸くず状の菌糸が随所に見られる(r)。ヒダ実質やカサ肉、カサ表皮、柄の組織にも、いたるところにクランプがある。なお、胞子紋は汚褐色で、とりわけ特異なニオイなどはない。

 現地ではアシナガヌメリだろうと思っていたが、柄の基部には地中に深く伸びる偽根がない。またカサ表面の粘性も非常に弱い。アシナガヌメリにしては、縁シスチジアもやけに長い。アシナガヌメリでよいのかもしれないが、オオワカフサタケの可能性も否定できない。
 KOHで封入した柄表皮の画像(q)が非常に見にくい。また、シスチジア(k, l, m)や担子器(n)などの画像も見にくい。今日は柄表皮にしろ、シスチジアや担子器などに、あえてフロキシンで染めた画像を掲載しなかった。やはり押しつぶし法でシスチジアや担子器を観察する場合には、フロキシンやコンゴーレッドなどを適切に用いるのが賢明なのだろう。


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