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雑木林にウラムラサキが広範囲に発生していた。いずれもまだ若い菌らしく比較的小さくてきのこ全体が紫色をしていた(a)。さらに成長するとヒダの部分を残して、カサ表面や柄の色は退色して褐色になる。小さな若い菌でも一人前に大量の胞子を飛ばす。30分ほどでたっぷり胞子紋が落ちた。それを水道水(b)とメルツァー試薬(c)で封入した。ヒダの断面を切っても、シスチジアなどはない。ただ子実層托実質が並列型であることを確認するだけだ。倍率を上げると、担子器(e)やらクランプをもった菌糸(f)が見える。 ウラムラサキという名は裏紫であり、ヒダの色に基づいてつけられた和名だろうが、今朝みたきのこはスベテムラサキ(全て紫)だった。 |
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相変わらずネット環境が不安定で、昨日も早朝から午前中はほとんどつながらなかった。わずかにつながっても数分で切断されてしまう。そのつど、ルーターの電源を10分間ほど切ってから、改めてウインドウズを再起動させないとつながらない。それでもネットにつながる確率は五分五分だ。結果として「雑記」のアップも午後になったり夕方になったり・・・ | |||||||
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川越市の保護林で初めてキショウゲンジに出会った(a)。これまで十年間ほどここで観察を続けてきたが、これまでは全く出会ったことがなかった。見つけたのは大小たった二本だけだったが、念のために観察してみた。胞子はKOHで封入すると赤みが増す(b, c)。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみた。何となく透明な縁シスチジアらしきものが見える(d)。ヒダの断面を切ってみたが、縁シスチジアの姿は明瞭には捉えられなかった(f)。なお、側シスチジアは無い(e)。
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子実層には担子器が綺麗に並んでいる(g)。フロキシンで染めてKOHでバラしてみた。やや短い棍棒形の縁シスチジアに加えて、ヘラ状の縁シスチジアもある(h)。カサ表面には細かい繊維状の菌糸が随所に付着している。カサの上表皮を切り出してみた(i, j, k)。いくつかの楕円形の細胞が連なり、これが柵状に並んでいる。その表面には、随所に糸状の菌糸がある(l)。キショウゲンジを観察したのは二年ぶりのことだった(雑記2009.9.29)。 | |||||||||||||
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都内の社寺林、川崎市の緑地、筑波の広葉樹林などなど、今の時期あちこちでウラムラサキシメジがよく出ている。そうどこにでも頻繁に出るきのこではない。今年はウラムラサキシメジのあたり年なのかもしれない。他に類似のきのこもなく、ヒダの色を見れば簡単に見分けることができるとされている。だからいちいち顕微鏡で覗く好き者は少ない。 ところが、このきのこの胞子はちょっと特異な姿をしている(b〜f)。図鑑などには「十字形」あるいは「類三稜形」などと記されたものが多い。ヒダは紫色でも胞子紋をとってみると白色だ。紫色の原因はヒダの子実層にある紫色の色素を帯びたシスチジアだ。成熟のピークを過ぎるとシスチジアの色素も褐色になる。そのころにはヒダの色も褐色となる。 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると縁シスチジアがみえる(g)。写真は省略したが、合焦位置を変えると紫色の側シスチジアが無数にあることもわかる。ヒダ断面を切ってみても、低倍率ではわかりにくいが(h)、倍率を上げると紫色のシスチジアが多数あることがわかる(i)。縁シスチジア(j)も側シスチジア(k)も姿はあまり変わらないが、どちらかというと側シスチジアには面白い形をしたものが多い。担子器の基部にはたいていクランプがある(l)。 |
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きのこのプレパラートを作る場合、水で封入したときには元の色が残っていても、KOHで封入すると脱色されてしまい透明になってしまうものが多い。でも、このきのこの場合は、KOHで封入してももとの鮮やかな紫色はそのまま残っている(i, j)。フロキシンを加えても紫色の痕跡は明瞭にわかる(k)。胞子だけでも一度は覗いておいて損のないきのこだと思う。 | |||||||||||||
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昨日つくば市にある国立科学博物館実験植物園に行ってきた。植物園では、今月15日(土)から23日(日)まできのこ展が行われている。きのこ展は昨年に引き続き盛況で、興味深い催しがいろいろ行われていた。園内で採取された野生きのこも多数展示されている。 園内のモミ林で大きな菌輪を作って多数発生しているアセタケがあった(a)。カサ頂部はやや尖り、柄の基部は膨らんでいる(b)。基部の膨らみは、泥をどけると更にわかりやすくなった(c)。ヒダは上生からやや離生で柄は中実(d)。ヒダには子ヒダ、孫ひだがあるが(e)、一部のきのこではそれらがあちこちで分枝したり癒合していた(f, g)。 30倍ルーペでヒダの先端をみると、縁シスチジアが多数あることが分かる(h)。ヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみても縁シスチジアの存在はよくわかる(j)。なぜか胞子紋はあまり落ちなかったが、胞子はこぶ状(i)。 |
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ヒダの断面を切り出してみると、側にも縁と同じような姿形の厚膜のシスチジアがある(k, l)。押しつぶしてシスチジアと担子器を見た(m, n)。多くの担子器は基部にクランプをもつ。カサ表皮の中間部では菌糸がほぼ並行に走る(o)。柄の上部には多数のシスチジアがある(p, q, r)。ヒダのシスチジアと同じような姿形のものもあるが、多くはやや薄膜でのう状をしている。 シロニセトマヤタケとしてよさそうだ。久しぶりにアセタケ類を覗いて楽しんだ。 |
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auのAndroid系スマートフォンにはWiMAXにもテザリングにも対応している機種があるので、当然iPhone4sでも対応するものとばかり思っていた。しかしauのiPhone4sではソフトバンク同様に非対応で、これらへの対応はiPhone5以降までお預けらしい。そうとわかるとなんだか急にiPhone4sに対する魅力が薄れてきた(雑記2011.10.8)。 WiMAXはエリアが都市中心で郊外や山間部では使えない。また、docomoと違ってauではテザリングの追加料金がない。ただテザリング機能を使うとバッテリーの持ちが極度に悪化して2〜3時間程度しか持たない。しかし、身近に充電できる環境があればさほど問題とはならない。車のシガーソケットなどから充電すればよい。ふだん外出はほとんど車だから、出先でiPod touchや(同2011.5.29)、ノートパソコンを気楽にネットに繋げることは魅力的だ(同2011.7.30)。 今使っているauケータイは不具合があるとはいえ致命的な障害ではない。年末までには新たに発売されるAndroid系スマートフォンが出そろうらしい。完全に壊れるまで現在のケータイを使うか、iPhone4sにするかAndroidにするか再考することにした。 |
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近郊の竹林に大きな円盤状の真っ黒なゴム様の異物が転がっていた。円盤は径約7cmと約10cmほどの二つあった。近づいてよく見るとクロチャワンタケの仲間のようだ。表面は盛り上がり(a)、裏面は中央に短い柄があった(b)。柄の先は腐朽竹らしいものにつながっていた。充分に成熟しているらしく、持ち上げると煙霧のように胞子を噴出した。 自宅で円盤を切ってみると、ゼラチン状の塊がある(c)。拡大してみると、子実層の下にもゼラチン状の層がある(d)。この時点まではまだ「このきのこは何だろう?」と思っていた。 完結的に噴出する胞子霧をカバーグラスに付着させて顕微鏡でみた(e)。コットンブルーに浸すと胞子表面の粒点状のイボが明瞭になった。コットンブルーで染色するには、ふつう一晩放置するか、ライターなどであぶって熱を加える。しかし、今朝はそういった処置をしていないので色が淡い(f)。サフラニンで封入すると胞子表面の微細なイボはより明確になった(g)。 |
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胞子を見た瞬間に「なぁ〜んだ、オオゴムタケだ」と思った。平べったい円盤状のゴム板のような姿は、典型的なものからは遠い。この仲間は非アミロイドなので、メルツァー液で封入しても子嚢先端は青くならない(h, i)。対物40倍レンズでも子嚢先端の蓋はわかる(i)。しかし、対物100倍レンズでみると、蓋の様子がさらによく分かる(j〜l)。センボンキツネノサカズキの子嚢とはちがい、蓋はほぼ子嚢先端の中央にある(雑記2011.10.13)。 | |||||||||||||
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昨日午前中に狭山丘陵の緑地帯を歩いてみた。このところしばらくどこに行ってもきのこがほとんどなかったので、おそらくきのこの姿はほとんどないだろうと思って、メモ用のコンパクトデジカメしかもって行かなかった。ところが1時間ほどの間に12〜14種ほどのきのこにであった。 ヌメリスギタケモドキによく似たきのこ(a, b)、ナラタケ類(c, d)、モエギタケ属の大きな株(e, f)、センボンイチメガサ(g)、サマツモドキ(i, j)、フクロツルタケ(j)、ヒビワレシロハツ(k)、サケツバタケ(l)、ツルタケ、サクラタケ、など。しかし、いたるところで出会ったのがニガクリタケで、カサ径10cm超の子実体もあった。ハナビラニカワタケもよく出ていた。 |
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昨日のY. A.によるセンボンキツネノサカズキについて(雑記2011.10.12)、少し補足しておくことにした。子嚢菌の常で、姿は大きくても成熟しているとは限らない。画像(a)の子実体の大部分は未成熟だった(e)。乾燥すると柄が細くなるが全体のサイズはそれほど変わらない(a, b)。 子嚢盤(d)を縦方向(e, g, i)と横方向(f, h)に切って薄片を作ってみた。髄質は、縦切りにすると若い菌では伸長菌組織 textura porrecta に(e, g)、成菌では絡み合い菌組織 t. intricataに(i)、横切りにすると円形菌組織 t. globulosa ないし多角菌組織 t. angularis のように見える(f, h)。図鑑やモノグラフでは、縦切りにしたときの菌組織が記されているので注意が肝心だ。 |
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このきのこもベニチャワンタケ科のきのこゆえ、子嚢盤は強靱で、子嚢はやや厚膜で非アミロイド(j)。子嚢の蓋は子嚢の径に比して小さな円形で、先端からややずれた位置にあり(k, l)、じっとみているととても愛嬌がある。なお、子嚢はフロキシンで染まらないが、側糸はよく染まる。 | |||||||||||||
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今まで幾度となく見てきたきのこなのだが顕微鏡観察をしたことがないことに気付いた。切片を作ろうとしても生状態ではぐずぐずにくずれてしまい子実層の構造がわからない。 子実層托外皮を覆っている長い菌糸も邪魔をする。この菌糸を観察しようとしてもあまりに長く、絡み合っていて毛の全体をとらえるのが難しい。先端は鈍頭、厚壁で長いものは1cmを超し、隔壁あり、子実層托外皮から生じている。柄を含めて全体を白い毛が絡み合いながら覆っている。結局少し放置し乾燥気味にして切片を作った。これでなんとか子実層の構造がわかる切片を作ることができた。 |
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子嚢の蓋は先端ではない。このタイプの子嚢を観察するのは私にとっては初めてである。側糸の観察には苦労した。KOHでばらしたのだがなかなかばらけてくれない。分枝も多く、基部近くでは癒合をしているようでそのため側糸が束になっているようにみえた。 (Y. A.) | |||||||||||
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一昨日早朝に家を出て、二日間福島県の山を歩いてきた。センボンキツネノサカズキの発生が芳しくない。発生数は非常に少なく、一見綺麗な姿をしていても(a, b)、材をひっくり返すとたいていは柄が泥まみれだ(c)。他でも浜通りの山では、きのこの姿はほとんど見られなかった。 |
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9日の昼前に高湯温泉側から磐梯吾妻スカイラインに入ったが、通行料金無料化のため、すさまじい大渋滞となり800m進むのに30分かかった(d)。急な坂道をジワジワと進むため、延々とローギアの半クラッチを強いられた。マニュアル車には地獄の坂道上りだった。1時間半ほど渋滞の車列を耐えたが、途中でこらえきれなくなってUターンし、大きく迂回して宿に向かった。 翌日早朝に今度は土湯温泉側から入ると、車は非常に少なく快適に走ることができた(e, f)。途中の遊歩道から山道に入ると、センニンタケがあちこちにみられたが、いずれもみな時機を失して崩れていた。他にはきのこの姿はほとん見られなかった。 |
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