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先日の富士山1合目付近の唐松林で採取したものである(a,b)。キシメジ科の仲間と思って顕微鏡観察をはじめた。胞子紋は胞子が少ないせいか白色に見えた。胞子のヨード反応(+)、表面に微細な疣状突起と胞子盤あり、発芽孔はない(c,d)。傘上表皮は細い菌糸が匍匐状になっている(e)。菌糸にクランプはない。子実層托実質は並列型。縁、側シスチジアは多数あり、嚢状、便腹型。先端にガラス様結晶が付着しているものが多数あ(f,g)る。担子器は4胞子性(h)。本郷図鑑の検索表をたどってみるとキシメジ科ではなく、フウセンタケ科まではたどることができた。この先はよくわからず連れ合いに手伝ってもらい、ケコガサタケ亜属ヒメアジロガサ節近くであろうということになった。スイスの菌類図鑑で検索したがこの仲間でシスチジアの先端に付着物のあるものは掲載されていなかった。本当にフウセンタケ科?
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たった一本しかないものを撮影し、採取し、観察記録をとってしまったのが大失敗であった。結局個体数の少なさが観察の不十分さを招き同定にも障害となっているという反省である。オケラの毎日が続いていたので、つい手がでてしまった・・・・。 ミヤマシャクヤクの花を初めて見(i,j)た。友人のYさんに名前を教えてもらった。シャクヤクの葉と花に似ているが野生があると思っていなかったのである。この林から出てきたら不審な軽トラックが止まっていた。我々が立ち去るのを待っていたかのように二人組が林に入っていった。ミヤマシャクヤクの人気を友人から聞いて、盗掘のためだったんだなーと納得した。しかし清楚な美しい花で「立てば芍薬」の言葉どうりの花であった。(Y. A.)
[補足とコメント] |
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AppleのiPod touchが届いたので、先に購入してあった古典ギリシア語とラテン語の両辞書を導入した(a)。文字入力は慣れないとちょっと辛いが(b)、文字は美しくサイズも自由に変えられるので、紛らわしいアクセント記号もよくわかる(c, d)。単語を引くのは紙の辞書の方が楽だが、それを読むとなると、紙の辞書よりも遙かにわかりやすく目も疲れない。 それとは別にiDicという辞書ツールを導入し、古典ギリシア語とラテン語の大形辞書を4点読み込んだ。iDicはAppleStoreで数百円の辞書ツールだが、ギリシア・ラテンの辞書ファイルは無料だ。115円のGreek-English Lexicon(d)や450円のLatin Dictionary(e)に比較すると、ギリシア文字はあまり美しくはないが、辞書としては十分使える(e, f)。 |
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インターネットを利用できるパソコン環境では、Perseus Projectの辞書(ラテン語、ギリシア語)が詳細で便利だ(g, h, i)。ネット環境がなくても研究社『羅和辞典』は使えるが、語彙数が少ない上に解説が簡略過ぎる(j)。そこで、こちらもEBWinという辞書ソフトにラテン語・ギリシア語の辞書を8点ほど導入した(k, l)。この辞書はPerseusに比べると文字の美しさは劣悪だが、語彙数と解説内容は十分なものがある。最大の魅力は、ネット環境なしでもどこでも使えること、非力なノートパソコンでもストレスなく使えることだ(雑記2010.12.7)。 | |||||||||||||
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早朝の林の中は薄暗く、クロハツ仲間の黒っぽい姿を現地で撮影したものは全滅であった(a)。切片が切りやすいので顕微鏡観察に時間はさほどとられなかった。 胞子はメルツァー液で封入すると40倍レンズでいぼ様突起と不明瞭な網目が見え(b)、油浸レンズでは網目模様が鮮明となる(c)。かさ上表皮の構造も比較的切片が作りやすかった(d)。柄の構造は球細胞と細い菌糸の織りなす層の縦構造がいつみても整然としている(e)。 縁シスチジアは豊富にあるがひだ切片からは側シスチジアはないようにみえた(f,g,h)。縁シスチジアと混同しないようにひだの縁を切除してからひだ切片を作り、KOH、フロキシンで封入して組織をばらしてみた。 数は少ないが側シスチジアとしか思えない組織を見てしまった(i)。縁シスチジアの形状が青木図版の「クロハツ」に似通っているが側シスチジアは記録されていない。スイスの菌類図鑑の「Russla nigricans」には側シスチジアが記録されているが縁シスチジアの形状があまりに違う。 |
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過去の「今日の雑記」をみていてもシスチジアの形状はそのとき採取したものによって違いがかなりあるようだ(雑記2010.6.25、同2008.7.18、同2006.6.24)。子実体断面の色の変化からするとクロハツに近いように思える(j,k)。 (Y. A.) | ||||||||||||
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早朝川越市の自然林を歩いてみた。思いがけずいろいろなきのこが出ていた。常連のきのこばかりだが、今年に入って最も多くの種類を見ることができた。 フミヅキタケはウッドチップを敷いた遊歩道に多数でていた(a, b)。落ち葉に埋もれるようにクロハツが出ていた(c, d)。落ち葉の中からは、カワリハツに似通ったものなど(e, f)、ベニタケ属が何種類か見られた。腐朽材からはチシオタケ(g, h)、ウラベニガサ(i, j)、ベニヒダタケ(k, l)が見られた。他にも、マツオウジ、イタチタケ、キクラゲ、シロキクラゲ、タマキクラゲ、ヒメキクラゲなどがよく出ていた。 |
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久しぶりに多くの種類のきのこに出会えた朝だった。あと一ヶ月もすれば更に多くのきのこが顔を出すことだろう。 | |||||||||||||
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インターネット上には Perseus Project があるので、ラテン語やギリシア語の辞書には困らない。出先やインターネット環境がない場でも、ラテン語なら「菌学ラテン語と命名法 CD版」や研究社「羅和辞典CD版」が使える(a, b)。ところがギリシア語にはこういった電子辞書はないので、やむなく大形で重い辞書を持って行くしかない(d, e)。変化の激しいギリシア語では、ポケット版辞書は名詞の確認には使えても、文を読むにはほとんど用をなさない。 いわゆる電子辞書の追加コンテンツにラテン語や古典ギリシア語はない。今はCASIOのEX-wordに「菌学ラテン語と命名法CD版」を読み込んで使っているが、何とも使い勝手が悪い(雑記2011.5.14)。これまたギリシア語に関しては文字を表示することもできない。 |
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Apple iPad/iPhone/iPod touch専用のアプリケーションにラテン語辞典やギリシャ語辞典があることを知った。電子化されているのは両者とも定評ある大辞典(ギリシア語はLiddell & Scott 1924、ラテン語はLewis and Short 1879)で、文字は美しく価格も嘘のように安い(c, f)。とりあえず辞書をiTuneショップから購入した。両辞書の容量は計36 [修正] 辞書のファイルサイズは計36GBではなく36MBだった。単位の読み間違い。したがって、iPod touchは最少容量の8GBで十分と言うことになる。 |
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富士山で立ち枯れたブナからケコガサタケ属らしきキノコがでていた(a)。カサの中央部は軽く突出し、湿っている時はヒダに条線があるが、乾燥すると消える(c)。柄の上部には膜質のツバがあり、ツバから下の表面には白色の繊維がある。ヒダの付き方は上生から直生でわずかに垂生気味のヒダもある(b, d, e)。小ヒダ、孫ヒダが整然と並んでいる(f)。
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胞子はアーモンド型で胞子盤があり、表面は微細なイボで被われる(g)。ヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみると縁シスチジアが散在している(h)。しかし、ヒダの断面を切り出して(i)、先端をみても縁シスチジアは見あたらない(j)。縁シスチジアを避けて切り出してしまったらしい。倍率を上げると胞子をつけた担子器が見える(k)。ヒダ実質は並列型でクランプがある(l)。 ヒダの縁付近から小片をつまみ出してフロキシンで染め、KOHで封入して軽く押しつぶした(m)。縁シスチジアは細めのフラスコ型で(n)、担子器の基部にはクランプをもったものが多い(o)。最後にカサを表皮からカサ肉まで切り出してみた(p)。水で封入してもKOHで封入してもあまり見やすいとは言い難いが、細い菌糸が並行に走っている(q, r)。 |
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コガサタケ属 Galerina のきのこに間違いなさそうだ。たぶんヒメアジロガサモドキなのだろう、なお、側シスチジアは見あたらなかった(雑記2009.5.29)。 | |||||||||||||
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昨日富士山に行ってみた。例年だとシャグマアミガサタケ、オオシャグマタケ、フクロシトネタケなどのが大形子嚢菌が多数見られるのだが、今年は全く様子が違っていた。これらの子嚢菌類はまったくなく、キチャワンタケばかりが到る処に大量発生していた。 どのきのこにも鮮やかさはなく、近づいてみると白緑色の粉末が多数付着している(a, b, f)。周辺のコケや草の若葉も同じように白い粉を帯びている(c)。道の法面も粉ですっかり色が変わっている(d, e)。標高1,100〜1,400mのあたりではどこも同じような状態で、まるでスギ花粉が飛び交っているのかのようだった。数分間歩いているだけで眼鏡も微粉で濁ってしまう。 |
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ルーペでみるとキチャワンタケに付着している花粉はかなり大きい。念のために顕微鏡で覗いてみた(g, h)。シラビソの花粉と思われる。風が強かったこともあり、車のフロントガラスはたちまちのうちに曇りガラス状となった。標高1,700mあたりでは花粉の飛散はなかった。 | |||||||||
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