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今年はササクレシロオニタケによく出会う(a, b)。このきのこはカサが開くとき、内被膜の縁が柄の表皮を短冊状に引きはがす(d)。柄が伸長すると再び、内被膜が更に上部の柄表皮を再び引きはがす。これが何度か繰り返されてようやくカサが開く。一方、部分的に表皮を引きはがされた柄は結果としてササクレとなって残る。内被膜の縁には外被膜の名残と引きはがされた柄表皮とが交錯して、何とも奇妙なツバを作る(a, g)。カサ表皮の円錐状のイボも特徴的だ。
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胞子はアミロイド(g, h)。ヒダの横断面は散開型だが若い菌でははっきりしない(j, k)。マージナルセルはまるでシスチジアのようにヒダ先端に深く食い込んでいる。バラしてみるとのう状のシスチジアを思わせる。ツバの組織のうち綿状の部分の細胞と同じ形をしている。 | |||||||||||||
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「顕微鏡下の素顔」にある「ニワタケ」は、2001年に長野県で採取したものだ。そこに「シスチジア」と記されているのは「偽担子器」の誤りだろう。それ以降も何度か出会いその都度顕微鏡で確認してきたが、検鏡写真はほとんど撮らなかった。当時は単眼顕微鏡の接眼レンズにNikonのCoolpix 950を装着して撮影していた(雑記2002.8.10)。 今朝は久しぶりに現行システムで、先日採取したニワタケの検鏡写真を撮ってみた。三眼部にアダプターを取り付けてオリンパスのE-410で撮影している。ヒダの断面作りには久しぶりにボルトナットミクロトームを用いた(同2011.3.11、同2008.11.2)。 |
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ニワタケの柄に密生する毛は長いものでは2mmに達する(b)。胞子は偽アミロイド(d)。ヒダの実質は散開型(e, f)。菌糸にはクランプがある(j)。これらは保育社図鑑にもあるとおりだ。担子器や偽担子器の基部にはクランプをもったものが多い(g〜i)。カサの上表皮は意外にも透明な細胞層があり、その下に色素顆粒をもった組織がある(k, l)。 | |||||||||||||
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昨日長野・山梨両県の県境付近の山を歩いた。かつてマツタケ山として栄えたこともある登山道の脇には、コナラ・クヌギに混じって老いたアカマツが多い。例年はさほど目立たなかったが、昨日は歩く先々でニワタケがやたらに目立った(a〜e)。多くがマツの立ち枯れの周辺、腐朽したマツの枝、松毬などから出ていた。採集品は帰宅後直ちに乾燥標本にしたが、乾燥するとマツボックリがなおさらよく目立つようになった(f)。
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目的のイグチ類には出会えなかったが、ササクレシロオニタケやカブラテングタケをはじめ白色〜褐色系の大型テングタケ属がやたらに多く発生していた。また、ニンギョウタケが遠目にもよく目立つので群落を追って急斜面を下ってみた。群生地は標高差約50m、斜面長90m、幅10mに及んだ。群れの数約40、子実体の数は300をくだらなかった。 帰路には渋滞する中央高速道路を避けて、山梨県勝沼から柳沢峠を越える青梅街道を選んだ。青梅街道を通るのは実に久しぶりだったが、道路があまりにもよくなっていることに驚いた。予想の半分ほどの時間で奥多摩湖に達した。奥多摩からの帰路も順調だった。 午前中に富士山に寄ったが、たまたま入った斜面がそうだったのか、きのこの発生は思いの外悪かったので、早々に引き上げた。スバルライン各所の駐車場の混雑に悩まされた。 |
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富士山の精進口登山道でブナの倒木と思われるものに群生していた。このきのこは以前から顕微鏡下で観察したいと思っていたが、そう思う時はなかなか出合えないものである。 ずーっと昔、現在鳥取大学にいるAさんが「同じ所に発生していて、ぜんぜん違うものが3種類も混じっていて困るのよね」という言葉が印象的なきのこでもあった。もともと盤菌類が好きなせいもあるのだが、写真をみるだけで顕微鏡観察の記録は読んでいなかった。 |
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顕微鏡観察をとりあえず終わらせ、本郷図鑑、スイスの菌類図鑑をみてびっくり!アラゲゴベニチャワンンタケの胞子に網目はなかったのだ。Aさんの言葉を思い出し、採取してきたものの形態の確認と剛毛が短めの個体の胞子確認をしてみた。 とりあえず今回の採取品はすべて同一種と思われた。 (Y. A.) |
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カブラテングタケは地表に現れた姿だけをみているとキウロコテングタケと間違えそうだ。基部の腐葉土をどけると、まるで電球のような形の基部が現れる。電球の頂端部からは菌糸の束がでている。ヒダの黄色が何とも印象的だ(b)。北杜市で採取したものは臭いは弱かった。 持ち帰ったものは直ちに乾燥してしまった(c, d)。乾いてもツバは白くヒダは黄褐色をしている。胞子(e)はアミロイド(f)。ヒダを切り出してみた(g)。実質部の逆散開型もなんとなく分かる(h)。 |
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ツバの縁に付着するマージナルセル(ヒダの縁細胞)はヒダ切片(i)からはわかりにくい。ヒダを一枚スライドグラスに伏せて縁をみた(j)。この後フロキシンで染め、封入液をKOHに置き換えて押しつぶすと明瞭になった(k)。カサ表皮には茶色に染まった菌糸が匍匐している(l)。 | |||||||||||||
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古い分類でオニイグチ科におかれていたイグチの仲間の胞子はいずれも興味深い姿をみせてくれる。先日山梨県北杜市で採取した三種のきのこ、セイタカイグチ、クレナイセイタカイグチ(ヒゴノセイタカイグチ)、ベニイグチの胞子を覗いて遊んだ。 セイタカイグチはあえて以前撮影した画像を(a, b)、クレナイセイタカイグチは持ち帰った標本が腐敗してしまったので2006年の画像だ(c, d)。ベニイグチは今回撮影した画像(e, f)。いずれも胞子表面(a, c, e)、胞子輪郭部(b, d, f)に合焦したもの。 |
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同定や確認が目的のときは、胞子を油浸100倍レンズで覗いても、撮影したりスケッチすることはあまりしない。しかし撮影して画像として残しておくと、後日比較したり確認することができて便利だ。プレパラートは処分しても画像は残しておくのがよさそうだ。 | |||||||
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8月20日の午後、雨の中傘をさして歩いた北杜市の低山ではシロオニタケ、ササクレシロオニタケ、カブラテングタケが大きな菌輪を作っていた。特に目立ったのはカブラテングタケだった。イグチ類もセイタカイグチ、クレナイセイタカイグチ、ベニイグチ、ニガイグチモドキ、クロアワタケをはじめ、8〜10種類ほどが多数見られた。ニンギョウタケもあちこちで3〜10個の群れをなした子実体が広範囲に見られた。なぜかイッポンシメジの仲間はとても少なかった。
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21日は入笠山の標高1900m付近を歩いたが、雨が強かったこともあってミズゴケ(Sphagnum)とサルオガセ(Usnea)の仲間を観察したのみで、きのこは何も観察しなかった。もっともきのこの発生はあまり芳しくなかったようだ。二晩にわたる宴会で少々疲れた。 | |||||||||||||
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先週の土曜日早朝に出発して、富士山の山梨県側(20日am)、北杜市白州の低山(20日pm)、入笠山(21日)と歩いて今日(8/22)帰宅した。3日間ずっと雨だったのでカメラの出番はなかった。ほとんど傘をさしながらコンパクトデジカメでごく一部のきのこをメモした。 富士山ではブナからツキヨタケ(a〜d)、ムカシオオミダレタケ(e, f)、ヌメリツバタケモドキ(g)がよく出ていた。針葉樹林帯にきのこは少なかったが、ショウゲンジ(h, i)、バライロウラベニイロガワリ(j, k)、テングタケの仲間(l)などがみられた。成菌の多くがカビにおかされていた。 |
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興味深いことに、北杜市白州町の山では白色〜褐色系のテングタケ類、クレナイセイタカイグチ(ヒゴノセイタカイグチ)、セイタカイグチ、ニガイグチモドキなどのイグチ類を主体に多くのきのこが豊富にみられた。テングタケ類では、径8〜10mほどの菌輪が何ヵ所にもみられた。 | |||||||||||||
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一昨日と昨日、富士山静岡県側と伊豆函南付近を歩いてみた。連日の高温多湿のせいか、地表は適度に湿り気があったが、肝心のきのこは非常に少ない。ふだんならよく見られるイグチ類やテングタケ類は少数しかみられず、多くがカビにおかされていた。
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富士山では色々なタイプのイボカサ仲間やチチタケ類がいくつもみられた。ニカワハリタケ、サンコタケなどもでていたが、大型のきのこはほとんどがナメクジとカビで、すっかり崩れたものばかりだった。持ち帰った標本はほとんどない。とにかくいずこも暑かった。 | |||||||
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昨日と一昨日は、きのこの試薬作りを手伝うため車でご出勤(!?)。 あまりの猛暑のため途中の雑木林などを覗く気にもなれなかった。もっともきのこの発生も悪いようだ。
大学は夏休みのためゼミも休講。頭の中も休みになってしまわないよう「オイディプス王」を少しづつ対訳書と和訳で読み進めている(a〜c)。あわせてピュタゴラス学派の幾何学の課題にギリシア語で解答する(d)。幾何学は平易でも条件文による作文が難しい。 |
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基礎学習には、手元の教科書ではなく図書館から借りたラテン語とギリシア語の教科書を使うことにした(e)。これは独特の教授法で知られる著者の手になるもので既に絶版となっている。 2週間という貸出期間内に読了するのは難しいので、何度か借り直すことになる。「ラテン語入門」の本文中に貸出票が残っていた(f)。同一人が何度も借りている。「ギリシア語入門」の継続貸出を希望したところ、他に貸出予約者がいて叶わなかった。図書館の話では予約希望者は先日返却した人だという。きっと2週間前に継続貸出がままならなかったのだろう。 |
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