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日( )
2011年7月31日()
 
卓上製本機のこと
 
[メモ] ウィーン規約第36条改訂など
 今朝の朝日新聞の記事によると、「メルボルンで開かれた国際植物学会議が30日、規約を改定した」、さらに「報告は紙媒体だけでなく、電子出版の論文も認めることにした」とある。

 Figueiredo et al. は2010年7月に「ラテン語による記載または判別文を伴う義務」(現行規約 [ウィーン規約] 第36条)に関して様々な問題点を指摘し、次回の規約改正(2011年)においてラテン語規定を撤回する提案をしていたが、事前のメール投票では過半数以上が「ラテン語記載義務廃止」に反対だったと聞いていたので、意外でもあった。

 昨今「自炊」と称して、書籍の背を断ち切ってバラバラにしスキャナーで読み込み電子ファイル(PDF)化することが流行っているようだが、それはさておいて今日は製本の話だ。
 講座テキスト類、各種論文、書籍のコピー、キノコやコケの記録など、各種の書類の整理は昔から頭の痛いことだった。次々と増えていくので、放置しておくといつの間にか散逸してしまい、肝心の時に参照できない。そこで随時各種のファイリングや製本処理をしてきた。
 文献やモノグラフのコピーなど厚手のものが問題だった。これまでは千枚通しと革靴縫製用針を使い紙の背側を縫って糊付けしてから、厚紙の表紙をつけ製本テープで綴じていたが、これは作業に時間がかかる上に、喉まで充分に開けないなど多くの不具合があった。
 何度か簡易製本器も使ってみたが、作業が面倒な上に、製本済みの冊子を大きく開くと、背が割れて簡単にバラけてしまったりした。ここ数年、いくつもの大学の研究室などで卓上製本器「とじ太くん」をしばしば見かけた。使い勝手を聞いてみると意外と評判がよい。そこで今年の初春に本体と(a)表紙カバー各種サイズ(b)を購入した。この半年間に数十冊を製本した。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 最初に製本したのは「ギリシア語勉強中」(c, d)。これはネット上の学習サイト全体をまるごとダウンロードして両面プリントし、他サイトのHTMLファイルや自分のノートなどをまとめたもので、厚みは24mmとなった。サイトの丸ごとダウンロードには Website Explorer を用いた。この冊子を半年間、日常頻繁にかなり荒っぽい使い方をしてきた。結果は上々である。
 コピーを袋とじでファイリングしてあった川村清一『原色 日本菌類図鑑』も製本した(e, f)。これまではZファイルにとじて利用していたが、喉の部分が読みにくいばかりか、しばしばバラバラになって困惑した。一方「とじ太くん」で製本したものは乱暴に扱っても崩れない。
 表紙カバーが1枚120〜180円とやや高いが、クリアファイルやZファイル1枚100〜380円を考慮するとランニングコストは妥当といえる。自家縫製と背貼りの手作り時代のことを思えば、時間的ロスがなく初期投資の本体価格7,000円弱は決して高いとはいえない。

2011年7月30日()
 
ハンバーグにうんざり
 
 今月はじめに契約したばかりのYahoo無線LANを解約した。九州にいる間、メールチェックだけでもしたいと、何度もアクセスポイントのある地点へ向かった。確かに出先で iPod touch やノートパソコンから気楽にインターネットを利用できるのはとても便利だった。7月16日と17日は「今日の雑記」もアップした。ところがアクセスポイントの設置場所が問題だった。
 Yahoo無線LANは駅構内、新幹線車内、大型ショッピングモール、ビジネスホテル、マクドナルドなど、多くの場所で利用できるとされる。しかし現実的にはマクドナルド以外のアクセスポイントは少ない。マクドナルドは市街地にある。九州では海浜や山中を中心に動いていたので、いちいち市街地まで出てマクドナルドを探さねばならなかった。
 マクドナルドといえばハンバーグ、しかしハンバーグはもともと好みではない。ついにはハンバーグの顔を見るのもうんざりとなり、Yahoo無線LANといえばハンバーグを連想するようになってしまった。当分のあいだマクドナルドには近づきたくない。そういゃあ、一昨年車で後ろから追突された場所も、マクドナルドのすぐ前だったっけ(雑記2009.12.3)。

2011年7月29日(金)
 
やっと確認できた! アイタケ型
 
 アイタケのカサ上表皮の構造をやっと観察できた。川越で採取した子実体ではこの上表皮を確認ができなかった(a)。成熟し過ぎ? 乾燥し過ぎ? なのか何度切片を作っても駄目だった。広島で採取した個体は比較的若く、台風の雨の後の発生であった(b)。剃刀はよく切れるものを選び、ゆっくり、そおっーと引き切りして切片を作り、やっと写真を撮ることができた(c, d)。もしや乾燥品なら切り出し易いのではと思い、川越のアイタケ表皮の乾燥標本も観察した。実に切りやすく、アイタケ型も簡単に観察することが出来、拍子ぬけしてしまった(e, f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
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(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
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(i)
(i)
(j)
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(k)
(k)
(l)
(l)
 アイタケ型とはなに?
 本郷図鑑をみてもよくわからないし、掲載されている図(p.54 No.598)は自分の観察したものとは違っている。河原訳『図解きのこ鑑別法』(2010年 西村書店) で和文索引からアイタケを引くと、絨毛状表皮シスチジア ciliate dermatocystidium【表皮の型】のところで触れられていた。
 高橋春樹さんの研究学習ノート『シンガーによるハラタケ目の分類体系』(2004年1月) を開くと「Virescens-structure:短細胞被を構成する菌糸の末端に絨毛状〜細毛状または錐状〜円柱形の異形細胞(ciliate dermatocystidium)を具えた構造.ベニタケ属のアイタケ亜節、ツギハギハツ亜節、チチタケ属のクロチチタケ節にも見られる」と書かれている。具体的な姿は「きのこ雑記」(2010.7.10同2009.7.17同2008.7.25)と「青木図版」で確認することができた(i〜l)。

 昨年、クロチチタケを採取したことを思い出し、観察記録と写真がないか探してみた(g)。観察ノートにカサ表皮の記載はしていないのに、顕微鏡観察の写真撮影はしていた(h)。この時点ではかさ表皮の観察の重要性もアイタケ型であるという認識も全くなかったことがよくわかった。

Y. Asai

 [参考] クロチチタケとクロチチダマシのカサ上表皮:雑記2009.8.13同2010.8.24


2011年7月28日(木)
 
大失敗!
 
 先々週九州で採取した標本の内、地衣類標本20点はすべてカビにひどくおかされて全滅。コケ標本は40点ほどあったが、その内5〜6点はすっかりカビにやられて廃棄せざるをえなかった。他のコケ標本も大きな被害をうけた。標本番号にはいくつも欠番ができてしまった。
 現地で採集した標本類は、紙袋にいれたまま軽く乾燥させてから、採集日ごとにポリ袋にまとめていれておいた。しくじったのはそれらを夜間車に置きっぱなしにしたことだ。走行時はエアコンで涼しいが、連日の高温多湿のため夜の車内は蒸し風呂状態だったようだ。
 先日帰宅するとキノコ標本は直ちに冷蔵庫に移したが、地衣標本とコケ標本はポリ袋にいれたまま室内に3日間ほど置きっぱなしにしてしまった。いったん涼しくなったが再び高温多湿の日が続いたことで、一気にカビが大繁殖したらしい。コケには抗菌作用があるから多少のことでは黴びないと高をくくっていたのが災いした。
 一方、最終日(7/20)に保冷剤を入れたクーラーボックスで持ち帰ったキノコは、カオリツムタケとアイタケを除いて他はグズグズに崩れて観察には耐えなかった。帰宅後すぐに冷蔵庫にいれたものの、そのまま数日間放置したのが間違いだったようだ。

2011年7月27日(水)
 
久々のきのこ観察 (2)
 
 昨日冷蔵庫から取り出したきのこを顕微鏡で観察してみた。ヒダを一枚取り外してスライドグラスに寝かせて縁をみた(a)。フロキシンで染めると縁シスチジアがあることがはっきりした(b, c)。そこで、ヒダの横断面を切り出してみた(d)。側シスチジアはなさそうだ(e)。封入液を水からKOHに置き換えてみた(f)。クリソシスチジアはない。倍率を上げてヒダの先端をみた(g)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(g)
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(h)
(h)
(i)
(i)
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(k)
(k)
(l)
(l)
 フロキシンで染めて組織をばらして縁シスチジアを再確認した(h)。担子器の基部にはクランプを持つものと持たないものがある(i, j)。カサの上表皮の菌糸は、細くて表面に色素顆粒や螺旋のようなものがある。カサ肉やカサ表皮には多数のクランプがある。カオリツムタケに間違いなさそうだ。採取からすでに1週間経過するが、未だに強い臭いを発している。

2011年7月26日(火)
 
久々のきのこ観察
 
 九州・広島の旅から戻った翌日は千葉県佐倉市で観察会、その翌日は千葉県野田市で観察会、昨日は茨城県つくば市まで行かねばならず、休む間がなかった。九州で採集したコケ類、広島で採取したコケとキノコは、今朝までまだ全く手つかずの状態だった。
 広島県の山中では多数のきのこが発生し、チチタケやらテングタケ属が束生する姿に出くわした。ここでは臭いの強い束生するきのこだけを持ち帰った(a)。5日間冷蔵庫に放置したままだったが、今朝になってようやく冷蔵庫から引っ張り出してじっくり眺めてみた(b〜f)。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(f)
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(g)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダをルーペでみると縁シスチジアらしきものがある(f)。胞子紋は褐色。今朝はカバーグラスにとった胞子を、ドライ、エタノール、水、メルツァー試薬、3%KOH、濃硫酸で封入して遊んだ(g〜l)。明日はヒダやカサ表皮などを観察してみよう。きのこをいじるのは久々のことだった。

2011年7月22日(金)
 
九州から帰宅
 
 先ほどようやく旅先から戻った。全行程は3,800kmほどの旅程だった。10日ほど留守にしていたので、ドアの隙間には宅配便の不在配達メモが挟まっていた。12日昼過ぎに熊本県入りし、宮崎県、大分県などを巡って、いずれも連日の猛暑に閉口した。20日に台風の後を追うように広島県に入ると、内陸部では早朝寒いくらいだった。
 九州を巡った12〜19日頃はどこに行っても、ほとんどきのこの姿が見られなかった。18日の天草の海浜でも残年ながらきのこの姿は非常に乏しかった。一方、21日の広島県では多くのきのこが発生していて驚いた。さきほど帰宅すると埼玉県は嘘のように涼しかった。
 今回の旅行では、各地で何人ものSさんに非常にお世話になった。ありがとうございました。

2011年7月17日()
 
公衆無線LANの怪
 
 九州に出発する前に公衆無線LANの利用を確認した。ひとつは無料のFREESPOT、今ひとつは有料だが安価のYahoo無線LANだ。出発前にFREESPOTは蕨駅近くの店で、YahooLANはさいたま市のマクドナルドで、ノートパソコンとiPod touchの2機種からそれぞれネットへの接続を確認した。当然旅先でも利用できるはずだった。
 13日に宮崎県のマクドナルドでiPod touchからメール受信もSafariも利用できた。iPod touch でもノートPCでも、ブラウザを起動するとYahoo無線LANへのユーザーコードとパスワード入力画面がでる。そこでパスワードなどを入力するのだが、なぜかノートPCからだけだめだった。
 一方、16日に熊本市のビジネスホテルではiPod touchからFREESPOTを利用できなかった。ホテル側の担当者と一緒に常備マニュアルを睨めっこして試みたが、無駄だった。ただ、このホテルでは有線LANも利用できるので、雑記の更新は可能だった。

2011年7月16日()
 
五木村でケシボウズ
 
 熊本県五木村といえば五木の子守唄。川辺ダム建設に翻弄された村としてもよく知られている。九州入りして最初に宿を取ったのは五木村だった。この村には石灰岩と鍾乳洞がいくつもあり、それがこの地に宿をとった最大の理由だった。狙いは石灰岩生の蘚苔類ときのこだ。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 先日(7月13日)五木村の石灰岩地という石灰岩地の林道を走り回った。狭く急な林道が多かった。その中で九折瀬(つずらせ)の石灰露岩帯でウロコケシボウズタケを見つけた(a〜d)。今日また大分の友人と一緒に現地を再訪した。新たなウロコケシボウズタケは見つからなかった。しかし、九州では初めてのウロコケシボウズタケ産地ではないかと思う。
 九州に入ってからあちこちを探索したが、おしなべてどこもきのこの姿は非常に少ない。ごくわずかにアワタケ属やキツネタケ属、ナヨタケ属のきのこに出会った。意外だったのがハナビラタケだった。従来はカラマツ林でしかみたことがなかったが、ここではアカマツ樹下にでていた。

2011年7月11日(月)
 
今夜出発:九州行き
 
 福島県を夜中に出発した友人と途中で落ち合って、早朝長瀞まで行ってキヌガサタケを観察してきた。am5:30にはマントを広げた子実体は一つもなく、タマゴから頭部を少し伸ばし始めたものがいくつかあった。1時間ほど滞在している間にいくつかマントを広げ始めた。観察は途中で打ち切って、朝のうちに自宅まで戻った。往復で走行170kmほどだった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
 今日はこれから荷造りをして、1,400kmほど車を走らせて、明日の午前中には熊本県人吉市に到着する予定。かつて夏の休みに10日〜2週間ほど北海道や青森県によく出かけたが、まさか夏に九州に行くことになるとは思ってもいなかった。猛暑の九州は辛そうだ。
 無線LAN機能内蔵のノートパソコンとLANコードなどは持って行くが、行動範囲は主にネット環境などない山中と海辺になる。ネット環境の備わった宿とも無縁である。しばらくはインターネットとは無縁の生活になりそうだ。したがって雑記の更新も当分お休みとなる。

 この7月はギリシア語ゼミの大半を欠席することになる。開講からまだ3ヶ月目だが、既に当初参加者の半分以上が脱落していった。秋には更に脱落者がでることだろう。自分がそうならないようにするためにも旅先にも教科書・テキスト・辞書などを持参することなる。


2011年7月6日(水)
 
夏のきのこが続々と
 
 早朝埼玉県南部の保護林を歩いてみた。ベニタケ属、チチタケ属、テングタケ属、イグチ類がいろいろ出ていた。幼菌から成菌、老菌まで多数のシロオニタケが見られた(a〜f)。フクロツルタケも発生が遅れていたが、ここにきて急に多量に発生し始めた(g〜l)。
 出会ったきのこの種類は多かったが、多くのきのこが蒸れたりカビに犯されていた。また、幼菌の内から激しく虫に喰われたきのこがひどく目立った。早朝にもかかわらず、ポリ袋にヤマドリタケモドキやムラサキヤマドリタケなどを抱えたきのこ狩りの人が多かった。
 
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 帰路、24時間営業のマクドナルドで朝食をとった。実に久しぶりの外食だった。来週から10日間ほど九州に出かけるので、Yahoo!無線LANの確認が主目的だった。ノートパソコンはすぐにネットに繋がったが、iPod touchは少々手間取った。文字入力のし難さが一つの要因だった。

2011年7月4日(月)
 
チャンスを失した!
 
 車のオドメータが20万キロを超えた。この7年間、仕事や通勤などに使うことはほとんどなかったので、専らきのこ遊びで走った距離だ。今年9月には車検がやってくる。今のところ取り立てて支障はないが、車体の下回りやドアの縁などには錆が目立ってきた。この2年間は点検のたびに、あちこちに部品交換などが発生して思いがけない出費が増えていた。
 現在の車はハイオク仕様の4WD車。車検を通してあと2年乗るか、新車に買い換えるかの選択を迫られていた。2月頃までに車の買い換えを視野に入れて候補車種の検討をしていたが、3月11日の津波・原発事故のため状況がすっかり変わってしまった。
 候補車種はいずれも購入契約から納車まで1年近く待たされるという。そうとわかればあと2年このまま乗るしかない。乗り潰すつもりで昨冬からスノータイヤを装着したままだったが、このタイヤを次の冬も使うことになる。とりあえず今日はノーマルタイヤに戻そう。

2011年7月2日()
 
楽しい縁シスチジア!
 
 富山県氷見市の古いしいたけほだ場で採取したきのこである(a, b)。胞子紋は赤みを帯びた褐色、胞子は平滑、発芽孔はみられず(c)。縁シスチジアは縁に房をなして連なっている(d)。円柱状から棍棒状で無色透明、内容物のあるものもみられる(e)。側シスチジアはみられず。かさ上表皮は厚壁、茶褐色の色素をもつ球形細胞が房状に立ち上がっている(f)。担子器は4胞子性、基部のクランプは確認できなかった(g)。子実層托実質は並列型(h)。柄にもシスチジアがみられる(i)。かさ肉、上表皮、縁シスチジア基部、ひだ実質にクランプがある(j)。
 本郷図鑑の検索表からはモエギタケ科スギタケ亜科、ヒメスギタケ属 Phaeomarasmius、ヒメスギタケ P.erinaceella としてよいようだ。過去の「今日の雑記」を検索するとヒメスギタケを題材に本郷図鑑での検索の流れを克明に書いたものを見つけた(雑記2007.9.30同2007.9.29)。久しぶりに種名までたどりつくことができた。 (Y. A.)
 
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 今日はこれから岡山行き。久しぶりの新幹線だ。今日明日の二日間、岡山理科大植物園できのこ観察会。懐かしいメンバーと再会できる。帰宅は明日の夜の予定。 (I. A.)

2011年7月1日(金)
 
ヒメムキタケ属
 
 富山県氷見市の神社で採取したきのこである(a, b)。縁シスチジアは紡錘形でとてつもなく厚壁のものがある(c)。先端部に被覆物を着けたものが数多くみられる。その他、小型で先端が頭状の便腹形、とっくり形のシスチジアもある。側シスチジアには、縁シスチジアより大きい紡錘形のものが多数みられた(d)。胞子は非アミロイドで油球あり(e)。ひだ実質の菌糸は厚壁で内空のみフロキシンで染まっている(f)。子実層托実質はどうも錯綜型に見えた(g)。かさ上表皮は肉眼では白い毛に見えていたが、菌糸が束になって起立している(h)。その下層は細い菌糸でゼラチン質をともなっているようにみえた。担子柄は充分な確認ができなかったが、4胞子性のようだ(i)。
 
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(i)
(i)
 本郷図鑑の検索表ではヒメムキタケ属 Hohenbuehelia となる。クランプはいたるところにあり撮影しやすかった。とても厚い厚壁の菌糸とシスチジがはおもしろかった。ひだが薄く、幅がないため切片作成がつらく、担子器らしい姿を探すのに手間取ってしまった。 (Y. A.)

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