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北方菌類フォーラム『石狩砂丘と砂浜のきのこ』予約受付中 |
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新潟県南魚沼市のキャンプ場でコケの間から淡色の小さなきのこが出ていた(a, b)。紙袋に入れたまま1週間冷蔵庫に放置しておいたらすっかり乾燥していた(c, d)。 もはや胞子紋は落ちないので、ヒダを一枚切り出して(g)、周辺に多数群れている胞子をみた(e, f)。胞子には疣があって明瞭な胞子盤がある。縁シスチジアはなく(h)、側シスチジアが疎らにある(i, j)。担子器にはベーサル・クランプがある(k)。カサ表皮は不明瞭だ(l)。Galerina(ケコガサタケ属)のようだが、例によって保育社図鑑掲載の種には該当するものはない。 |
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すっかり乾燥標本と化しているので、ヒダの薄切りは非常に楽だった(g)。このままでは分かりにくいが、フロキシンをカバーグラスの縁から注ぎ込むと、低倍率でも側シスチジアが明瞭に捉えられた。それにしても、いたるところに川砂を多量に孕んでいて、カミソリの刃がすぐにダメになり、ミクロレベルの砂粒の結晶が観察の邪魔をした。 解体作業が終わって建物が3つなくなったが、あらためて庭を見回してみると予想外に広くなった。今年はまだしも、来年からはここにも雑草が茂るだろう。そうなると、草刈りをせねばならない場所がさらに増えることになる。なまくらになったチップソー三枚をダイヤモンドグラインダーで研いだ。切れ味を確認してみると確かにスパッとよく刈れ、研いだだけのことはあった。 |
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新潟県南魚沼市のキャンプ場でGalerina(ケコガサタケ属)とLaccaria(キツネタケ属)が入り交じるようにして群生していた(6/24)。Galerinaは標本が数本と少な過ぎたので、胞子とシスチジアだけ確認して処分した。Laccariaのうちカサ径5〜8mmの子実体は多くが釣り鐘型をしていたが(a)、持ち帰って4〜5日冷蔵庫に放置しておいたところ、いずれも大きく開いていた(d)。 胞子は非アミロイド(e, f)。エタノールで封入するとやたらに油球が目立った(g)。ヒダ切片は楽に切り出せたが、シスチジアはなく単調な姿をしている(h)。カサ表皮は短い菌糸が平行気味に重なり(i)、組織のいたるところにクランプを確認できる(j)。担子器には四つの小柄がある(k, l)。保育社図鑑の検索表からはキツネタケ(L. laccata)に落ちる。 |
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それにしてもヒダを押し潰して対物40倍レンズで検鏡すると、担子小柄がいずれも二つしかないかのように見えた。ところが、対物レンズを油浸100倍にして合焦位置を変えながら確認してみると、ほとんどの担子器に四つの小柄がみられた。図鑑の検索表によれば、小柄が二つだとキツネタケモドキということになる。 | |||||||||||||
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NPO法人 北方菌類フォーラムから『石狩砂丘と砂浜のきのこ』が9月上旬から頒布されることになり、予約受付が開始された。高い評価を得た竹橋誠司・星野保・糟谷大河共著『北海道産ハラタケ類の分類学的研究』(2010年)に続くもので、内容は期待を裏切らない優れたものだろう。予約はFaxまたはe-mailで竹橋誠司氏に申し込まれたい。
予約連絡先:竹橋誠司氏 Fax:011-685-2153 e-mail:BXG05024@nifty.com (@マークを半角文字で置き換えてください) [解体作業覚え] 昨日で2週間にわたった建物の解体作業が完了した。車も本来の位置に戻せることになった。まだ重機と産廃トラック2台が庭に残っているが、これも金曜日中には撤去されるという。更地になった土地はすぐには安定しない。しばらくは土埃と泥濘に悩まされそうだ。 |
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連日の騒音と振動にうんざりして、昨日は解体工事開始前に家を出た。いわき市とその近隣の観察ポイントを6〜7ヵ所回って夕方帰宅した。出会ったきのこはウラベニガサ、モリノカレバタケ、マツオウジ、ケコガサタケ、アミタケ、ヒメカバイロタケ、ニガクリタケ、ナカグロモリノカサ、クロチチタケ等。いずれもあまり状態がよくないので撮影はしなかった。せっかく出会った虫草は、しくじってギロチンしてしまった(a)。概してどこもきのこの姿は非常に少なかった。
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帰宅すると基礎を撤去した所が二ヵ所更地になっていた。二階建て跡(b)も納屋跡(c)もすっかり平らになっていたが、そこを歩いてみると足元がジワーっと沈んだ。今日から土蔵跡の基礎撤去作業にかかるらしく、重機の位置が変わっていた(d, e)。玄関の真ん前に重機や産廃トラックがいない光景は10日ぶりのことだろうか(f)。庭にはあちこちに解体道具、足場資材、分別袋入り瓦礫などが散乱しているが、これらも土曜日頃には片付くことだろう。 | |||||||
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近くの公園に御禁制品のPsilocybe(シビレタケ属)と思われるきのこが出ていた。持ち帰ることはできないので、現地で白い紙の上に載せて撮影した。その後、車搭載の簡易顕微鏡で簡単な観察をしてから、発生していた元の場所に放置した。まともな記録は取らなかった。 ヒダの縁を見ると小さな縁シスチジアがありそうだ(g)。しかしヒダ切片を作ってもシスチジアの様子ははっきりしなかった(h)。ヒダの側にもやはり小さなシスチジアがある(i)。シスチジアと担子器はほぼ同じ大きさだ(j)。かさ表皮は比較的短い菌糸が平行ないし匍匐気味に走っている(k)。菌糸にはクランプがある。いずれにせよ標本を伴わない観察記録にはほとんど価値がない。 |
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[解体作業覚え] 地震で壊れた建物の解体作業もだいぶ先が見えてきた。昨日からは基礎部分の撤去も始まった。2週間ほど前と比較すると(m)、土蔵(n)、納屋(o)、西側二階建て部分(p)がなくなり母屋だけになった(q)。すべての作業が終了するのはまだ1週間ほど先だという。 |
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重機のキャタピラと産廃トラックのタイヤで、庭の花や畑は広範囲に踏みつけられ、すっかりデコボコになってしまった。業者はその日の作業を終えると、機器類を放置して帰る。玄関前に産廃車が、勝手口前に重機が、立ちふさがる光景はあまり気分のよいものではない。 | |||||||||||||
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土曜日(6/23)早朝出発して一般道を350kmほど走ると昼前に岩原スキー場のある塩沢インター近くに到着した。午後は、今秋の日本菌学会菌類観察会(新潟フォーレ)の観察コースとして予定されているブナ純林などを歩いてみた。林床のすっきりした雄大なブナ林に入ったのは久しぶりだった。きのこの発生はまだ少なかったが、秋には多くのきのこ発生が期待できそうだ。翌24日は長岡で研修会に参加(a〜c)。参加者は熱心にプレパラートを作成し観察していた。
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昨夜遅く帰宅すると、解体中の西側二階建て部分の建物はすっかり消えていた(d, e)。建物の基礎部分の処理作業がまだ残っているが、主だった作業はおおかた完了したようだ。庭にはまだ重機やら産廃トラックがそのままになり、あちこちに足場パイプ、鉄板などが置かれている。建造物が三つ取り壊されて道路からの景観もずいぶん変わった(f)。今月中にはすべて完了することだろう。日常性の復帰までにはもうしばらくの辛抱だ。 | |||||||
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スケッチをしながら「なんだかこの色とかさの鱗片にどこかで出会ったような・・・」と思っていた(a, b)。急いで胞子紋の一部を水で封入して顕微鏡でのぞいてみた。大小の胞子があり、コンタミンとは考えにくいので師匠に確認してもらった。やはり異型胞子でネッタイベニヒガサの仲間であろうということになった。 たっぷり降り積もった胞子紋をそのまま水で封入したため観察に苦労してしまった。エアーがたっぷり入り倍率が低いと油球との区別がつきにくく、胞子の大きさの違いも影響して焦点をあわせるのに時間がかかった(c, d)。胞子が落ちやすい状態だったので1時間ほどで十分な胞子紋がとれ、大小の胞子をはっきりと捉えられるのではと思いフロキシンで染色してみた。のぞきながら思わずにんまり、まるで桜?桃?の花びらが散ったようで感激してしまった(e, f)。ただし、フロキシンで表面が染まるためか油球は観察できなくなった。 |
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所詮大きさの違うものを一緒に美しく写そうとしてもできないことである。大小の胞子、担子器の撮影と計測に通常の2倍の手間がかかるがやめられない。キノコの外形からはわからない異型胞子、担子器(g,h)に魅せられてしまっているのだ。今シーズンもヌメリガサ科(旧分類)はできるだけ多く観察しようと思っている。 (Y. A.) いまam3:00、もうじき新潟県の魚沼に向けて出発。明日は長岡市での集りに参加するので、帰宅は夜遅くなりそうだ。一般道を走り国道252号線から魚沼に出たかったのだが、このルートは昨年の集中豪雨による道路崩壊等のためいまだに「全面通行止め」。四角形の三辺を走るようで気に入らないが、会津あたりから高速道路を利用せざるを得ない。 (I. A.)
[解体作業覚え] |
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8月の夏休み中に行われる日本菌学会による集会が興味深いので紹介しておこう。意外と早く定員に達してしまうので、早めに申し込んでおきたい。 ひとつは8月6日(月)につくば市の国立科学博物館筑波実験植物園で行われる「中高生のための菌類研究体験講座」(定員15名)。内容は、フィールドでカビ・きのこ・酵母の観察、顕微鏡観察、標本作製、分離培養、DNA抽出用サンプルの調整などを体験する。菌類および菌類研究に興味ある中学・高校生(または大学生)が対象だ。応募者多数の場合、参加者は抽選とし中高生を優先する。申込締切は7月20日(必着)。 いまひとつは8月20日(月)と21日(火)に東京 玉川大学で行われる研修会「教科書にはない菌類のヒミツ」で、初日は講演会(20日; 定員100名)、二日目は様々な菌根や根粒細菌の観察実習(21日; 定員20名)。定員になり次第締め切られる。生物や理科の先生方に教育現場で生徒たちに菌類ならびに他の微生物の重要な役割について、いかに紹介し、いかに教えるか、興味を持ってもらうかについてのヒントを提供することが目的だ。申込締切は7月31日。
いずれも詳細は以下を参照されたい。今日の時点ではいずれもまだ空きがあるという。
[解体作業覚え] |
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家の中できのこの観察やスケッチをすることもままならないので、午前中いわき市田人のブナ林を歩いてきた。きのこの姿はまだほとんどないが、ツキヨタケが既にかなりボロボロになって多数でていたり、立ち枯れのブナにびっしりとヒラタケがついたりしていた。台風四号の大雨のため、国道や県道のいたるところで大きな土砂崩れが起こっていた。 |
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[解体作業覚え] 昨日は納屋の解体にともなう瓦礫の分別作業も一段落して(a)、午後から母屋に続く二階建て部分の解体準備作業が始まった(b)。雨戸、サッシ、内装などを取り外し(c)、一階部分の瓦を剥ぎ(f)、母屋との切断作業が行われた(d, e)。土蔵や納屋は母屋とは別棟だったが、二階建て部分は母屋と繋がっている。騒音と振動はこれまでとは桁が違う。まるで震度1〜2の直下型地震が頻繁に発生しているかの様だ。顕微鏡を使った観察は早朝と夜しかできない。 |
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今日8日目は、重機を使って二階建て部分の本格的解体が始まる。騒音と振動はさらに激しいことだろう。母屋からの出入りには非常に気を遣う。勝手口にも玄関にも、目の前には重機や産廃トラック。ビールなど重い物やかさばるものを持ち帰ると大変だ。玄関から30mほどの位置に駐めた車から、足場の悪い場所を通り、トラックや重機のすぐ脇をすり抜け、勝手口まで運ばねばならない。解体作業が一段落するまでは何とも落ち着かない日々が続きそうだ。 | |||||||
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