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昨日Hygrocybe(アカヤマタケ属)を求めて、会津地方の昭和村まで行ったが、きのこの発生はあまり芳しくなく、異形胞子・異形担子器をもったHygrocybeは1種類しか見つけられなかった。しかし、どうやらこれもネッタイベニヒガサのようだ(a, b)。 下郷村と西郷村の境付近(alt 1,000m)では広い範囲に大型のイグチが多量にでていた。オクヤマニガイグチ、オオコゲチャイグチらしいきのこが大量にカビにやられて異臭を放っていた。アイゾメクロイグチとおぼしきものは、いずれもかなり虫に食われていた(e, f)。アシベニイグチ?(g, h)は足の踏み場もないほどだった。きのこ狩りの人たちはタマゴタケ(c, d)、チチタケ、アカヤマドリ(i, j)、ウラグロニガイグチ(k)をとっていた。イグチ以外のきのこもいろいろみられ、カワリハツらしきものは特に目立ち、他にはキショウゲンジ(l)などもみられた。 |
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途中から激しい雷雨におそわれ林内は真っ暗になり、きのこの撮影は諦めた。これほど多種多量のきのこが発生している場にであったのは、今シーズンでは初めてのことだ。特にイグチ類、ベニタケ類、テングタケ類の発生はすさまじいものがあった。 | |||||||||||||
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早朝石森山に行ってみたところ、ハイカグラテングタケの幼菌とおぼしききのこが出ていた(a)。背丈10cmほど。夕方再び同じ場所に行ってみたが、あまり成長を感じられなかった(b)。それでも背丈14cmほどになっていた。翌日は遠出をしていたが、夕方寄ってみたところ、すっかり大きくなってカサを広げていた(c, d)。背丈は30cmを超えていた。この段階で採取して持ち帰った。一通りスケッチと観察を済ませた子実体は、乾燥標本にはせずに、庭の樹木の下に葬った(e, f)。近場で成長を確認しながら観察できることのありがたさが身にしみた。
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先週の金曜日に、菌学会・アマチュア共催の観察会「新潟フォーレ」に申込みをして参加費を払い込んだ。それにしてもいわき市からフォーレ主会場は遠い。川口市からより100kmほど余計に走らねばならない。今日はこれから福島県昭和村へ。同じ福島県とはいえ、昭和村や南会津はいわき市からは遠く、距離的には川口市からと変わらない。 | |||||||
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あまりにも暑い日が続くので、ついに磐梯吾妻スカイラインに逃げ出した。標高1,400〜1,650mのあたりでは気温は摂氏22〜23度だったが、日なたはとても暑く、日影に入るとほっとした。 ミズゴケからはミズゴケタケと思われるきのこが出始めていたが、まだ小さな子実体のみだった(a, b)。登山道の脇にはウスタケ(c)、ミヤマベニイグチ?(e, f)、アメリカウラベニイロガワリ(g, h)などがみられたが、概してきのこの姿は少なかった。 |
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土湯峠の周辺ではネッタイベニヒガサの大群にであった(i〜l)。束生するきのこは5〜20個ほどの子実体からなり、こういう束が両手を広げたほどの幅の間に、10〜15束ほどでていた(雑記2012.6.23、同2011.9.29、同2010.8.20、同2009.8.4)。 すぐ脇には熊の踏み跡がありありと残り、周辺には熊の毛が随所に残されていた。熊の糞もいたるところに多数みられ、すぐ近くに潜んでいることは確かだった。静かにしてじっと待ったのだが、残念ながらクマサンは姿を見せてくれなかった。 |
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県立いわき公園のコナラとサクラ主体の斜面に何種類ものアセタケが無数に出ていた。それらのうち、肉眼的に二通りに分けられるアセタケが混生していた(a, c)。カサ表面がさほどささくれていない方のアセタケ(c, d)は、なんとなくコブアセタケのように見えた。しかし、カサ表面がやたらにささくれたアセタケ(a, b)は、ちょっと違うんじゃないか、そう思われた。
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ささくれタイプ(a, b)を検鏡していくと、すでに何度も見てきたミクロの姿が次々に現れた(e〜l)。これらの特徴はコブアセタケそのものだ。ついで、コブアセタケと思われる方(c, d)を検鏡してみると、ほぼ同様の結果を得た。ちなみに、(f)はヒダを寝かせて縁をみたもの。(h)は縁シスチジア、(i)は側シスチジア。(j)はカサ表皮。(k)は柄上部の表皮、(l)は柄下部の表皮。 肉眼的にはささくれタイプ(a, b)と非ささくれタイプ(c, d)とは明瞭に区別できた。ただ、それ以外の特徴は両者にほとんど差異はなかった。それにしても、この両者が同一種とは! [参照] 雑記2012.6.18、同2010.6.24、同2008.7.9、同2005.10.18、同2004.7.21 |
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キイロアセタケはわかりやすいきのこだ。紛らわしい類似菌はなく、特徴的な姿をしていて、顕微鏡など覗かなくともフィールドでも楽に同定できる(a〜d)。先日いわき公園で採取したキイロアセタケを久しぶりに覗いた(雑記2012.7.21、同2009.7.11、同2006.7.8)。 一般にInocybe(アセタケ属)の同定には、肉眼的形態だけではなく、ヒダはもちろん、カサ表皮、カサ頂部の表皮、柄上部の表皮、柄下部の表皮など、多くの部位を観察しなくてはならない。しかし、このアセタケは単純で、ヒダのシスチジアは、縁も側もおなじような姿形をしている(f〜i)。またカサ表皮(j)、カサ頂部の表皮(k)、柄の表皮(l)にもシスチジアはない。 |
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アセタケの仲間は、世間からはあまり表だって見向きもされない。多くは見た目も小振りで地味な姿をしている。形態観察だけで種名にまでたどり着ける種は極めて少なく、さんざん調べたあげく「アセタケの仲間」で終わってしまうケースが多い。研究者も少なく、身近に未報告種がいくらでも転がっているからだろう。しかし、無理矢理種名にまでたどり着こうとせず、観察を楽しむ分にはこれほど楽しい仲間のきのこは少ない。 | |||||||||||||
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今月20日に露地でコウジタケ(a, b)を、同22日に苔むす斜面でヒメコウジタケ(g, h)を、ともに県立いわき公園のコナラ・シデ・カエデの林で採取した。すぐに観察できる環境にはなかったので、両者とも胞子紋だけとり、直ちに乾燥標本にした。今朝はその乾燥標本からの比較だ。 両者を並べると、子実体の大きさにはガリバーと小人くらいの違いがある。画像は上段にコウジタケを、下段にヒメコウジタケを配置した。胞子は大きさよりも、縦横比(Q比)が若干違う(c, i)。縁シスチジア(d, j)、側シスチジア(e, k)、カサ表皮(f, l)はともによく似通っている。コウジタケの縁シスチジアには、青木実氏の観察(『日本きのこ図版』)したような形のものはみられなかった。 |
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コウジタケの柄にはシスチジアはみられないが、ヒメコウジタケの柄には多数のシスチジアがある。典型的なコウジタケやヒメコウジタケに出会ったのは久しぶりだった。 | |||||||||||||
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早朝国道399号線経由で川内村に行ってみた。自宅からほぼ1時間の行程だ。帰村した住民はまだ少ないが、相変わらずいたるところで「除染作業」が行われていて、居住区域周辺から取り除かれた土が青色の袋に詰められて、いたるところに積み上げられていた。 いわなの郷の宿舎は、今もまだ「除染作業」関連の作業員の専用宿舎として使われている。ここではごく一部の硬質菌以外は全く出会えなかった。平伏沼への林道脇にはイグチ類が出始めていたが、テングタケ類はわずかしかみられなかった。帰路、いわき市北西部の鬼ヶ城山に寄ったが、ここでもきのこの姿はほとんど無かった。 |
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画像は、撮影したり採取したイグチ類の一部だが、ウラグロニガイグチ(a, b)以外は、種名はよくわからない。(c, d)と(e, f)は近縁ないし同一種かもしれない。青変性は非常に弱い。 また(g, h)と(i, j)はよく似ているが柄の表面の様子がちょっと違う。両者とも、カサ表面や柄表面を傷つけても青変せず、カサ肉と孔口部および管孔部には青変性があり、柄には強い赤変性がある。川辺の遊歩道脇にはキショウゲンジもたった1本だけ出ていた(k, l)。 |
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20日ほど前に阿弥陀堂の庭園でアセタケを採取した(雑記2012.7.5)。両手を広げたほどの幅に、小さな若い菌から大きな老菌までが十数本でていた(a〜e)。帰宅するとすぐに、そのうちの一つから胞子紋をとる処置をして、他のすべては紙袋にいれたまま冷蔵庫に保管した。 胞子は平滑(f)。ヒダをスライドグラスに寝かせて縁を見ると薄膜の縁シスチジアがある(g)。そこでヒダの断面を切り出した(h)。冷蔵庫の中に長時間放置したことによりかなり乾燥していたので切り出しは楽だった。縁シスチジアはあるが側シスチジアはない(i)。 カサ表皮を見ようと顕微鏡で覗いた。えっ、そ・・・そんな。カサ表皮には平滑な胞子とコブ状の胞子が混じり合って付着している(j)。どうやら複数種のアセタケ属を、同一種ばかりと思い込んで一つの紙袋に入れて持ち帰ってしまったらしい。かつて同一種と思って持ち帰ったケシボウズタケ属に複数種が混じっていた時のことを思い出した。・・・これは悪夢だ。 検鏡はいったん棚上げにして、すべての子実体の胞子をチェックして分別した。結果、三つだけコブコブ胞子(k, l)。うんざりしながらの作業でくたびれた。 |
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先日広野町の五社山で採取したMicromphale(サカズキホウライタケ属)のきのこ(a〜c)を覗いて楽しんだ。複数の子実体のカサをカバーグラスにおいて丸二日間おいたが、胞子紋は全くおちなかった。それ以外の子実体は採取当日にすべて乾燥標本にしてしまった。 この仲間は外見がMarasmius(ホウライタケ属)に非常に似ており、ともに強靱で乾燥標本を水に浸すとやがて原形に戻る。Marasmiusではカサ表皮が子実層状やらほうき状あるいは多分枝細胞からなるのに対して、Micromphaleのカサ表皮は匍匐性の糸状菌糸からなり細胞壁に沈着する色素をもつとされる。またMarasmiusではカサ表皮にゼラチン質はないが、Micromphaleではふつうゼラチン質がある。したがって、紛らわしい時は、最初にカサ表皮をみることにしている。 [参照] Marasmius: 雑記2012.5.11、同2009.6.2、同2008.7.7、同2008.5.29、同2007.5.24 |
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カサ表皮の構造からMarasmiusでないと思われる(d)。ヒダを切り出すと、縁シスチジアがあることがわかった(e, f, g)。側シスチジアはない(e)。小柄をもった担子器は見つけられなかった(h)。また子実層をよく見るとわずかに胞子がみえた(j)。ヒダ実質は非アミロイドで(i)、菌糸にはクランプがある(k)。保育者図鑑に掲載のサカズキホウライタケは柄が「角質,中空,表面は茶褐色」とあり、本標本の柄とは異なる。「サカズキホウライタケ」ではなさそうだ。 | ||||||||||||
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先月はじめ頃から生きのこの傷み方が急に激しくなってきた。胞子紋を取るためにカバーグラスに伏せておいたカサ部分が一晩でドロドロになったり、すぐにカビにおかされることが多くなった。また、二ヶ月ほど押し入れに納めてあった実体鏡を久しぶりに使ってみたところ妙に見えが悪い。よくみると対物側のレンズにカビがはえていた。 北側の部屋に置いた米袋や、押し入れにカビがうっすらと生じたり、トイレの棚にもカビが発生していた。川口の公団住宅(4F)では味わったことのない経験だった。梅雨だからと思っていたがそれだけではなかった。農村地帯の木造民家では床下の土から来る湿気は相当に強いらしい。ましてや古い民家ではとりわけだ。 田園地帯にある近場のホームセンターには季節商品専用コーナーに何列かの陳列棚があるが、今の時期は押し入れ用簀の子や除湿製品、除湿剤が何種類も所狭しと多量に並んでいた。少し前まではこういった製品は全く店頭にはみられなかった。 早速押し入れ簀の子を購入し布団類をすべて天日に干し、押し入れの中を消毒用アルコールで拭いて防湿剤を配置した。除湿器のおかげか標本室は無事だった(雑記2012.5.15)。 |
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昨日午前中、県立いわき公園を散歩した。この公園は適度な起伏や池もあり、樹種も豊富でちょうど東京の狭山緑地や神奈川の生田緑地などを思わせる。先日はほとんどきのこがなかったが、昨日はテングタケ類などが多数でていた。気まぐれにいくつか撮影した。 テングツルタケは幼菌から老菌までそろっていた(a, b)、ツルタケ(c)、カバイロツルタケ(d)、テングタケ、ドウシンタケ、オオツルタケ、ガンタケ、アカハテングタケなどを確認した。ハラタケ類もいくつかでていたが、採取したのはザラエノハラタケだけだった(e, f)。 多数の |
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家の外装工事はほぼ完了し、屋根の修理を残すだけになった。足場と廃材などの撤去がすめば、ひとまず落ち着いた環境が戻ってくる。 | |||||||||||||
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