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早朝になるとParasola(ヒメヒガサヒトヨタケ属)が再び庭に多数姿を見せるようになった(a〜d)。この仲間のキノコは、夜が明ける頃にはすっかりカサを大きく広げてしまい、もはやミクロの姿を観察することは難しい。そして日の出から1〜2時間もすると消えてしまう。そこでまだ暗いam4:00頃に懐中電灯で照らしながら、まだ釣り鐘型をした若い菌を採集した(e)。若い子実体ではカサの頂部の濃い茶褐色部分がより鮮明に目立つ(f)。
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実体鏡の下で頭部をバッサリと輪切りにした。数回試みてなんとか観察できそうな薄片が切れた(g)。縁シスチジアの姿はなんとも捉えにくい。また、ヒダ実質にはブラッキーシスチジアに挟まれるように担子器が配置されている(h, i)。いわゆる側シスチジアはない。カサ表皮は熱気球のような細胞が柵状に並ぶ(j, k)。カサ頂部の表皮細胞の基部は色素を帯びている(l)。 シャーレに置いた子実体は(e)、輪切りにして観察予定のものだったが、30分後にはいずれもすっかり開ききっていた。プレパラートを作って観察できるチャンスは短い。切り出し用のひとつを除いて、他の子実体は採集後直ちに乾燥機にかけたが、検鏡している間にすっかり乾燥した。 |
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従来の段ボール利用のもの(a)とは別に、主に外泊時に使うための乾燥機を作った(b, c)。大きさは段ボール利用の乾燥機よりかなり大きいが(d)、先日作成した据置型より一回り小さい。熱源はミニサイズのヒーター。素材は5.5mm厚のSDFボード。高さ17cmのヒーター(e)は熱風の吹き出し部を箱に挿入して使う(c)。車載時には携帯する顕微鏡と実体鏡の保護ケースを兼ねる。材料費はヒーター、温度計も含めて6,500円也だった。
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今日は秋の人足作業の日であり(雑記2012.3.12)、市議会議員選挙の投票日でもある。来週の日曜日は地区の運動会、月末の土日は集落のお祭り。菌学会共催のフォーレへの参加が既に決まっているので、お祭りには不参加を承諾してもらった。今月末から来月にかけては稲刈り本番となる。9月の土日は地域の行事がいくつも集中している。 | ||||||
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昨日車二台に分乗して、飯舘村北部の山間地と南相馬市南部を訪れた。全般的にきのこの発生は非常に悪いが、飯舘村では思いの外いろいろなきのこが出ていた。コウモリタケはいくつもの株が見られた(a)。アカイボカサタケはじめ(b)、イグチ類、テングタケ類、ベニタケ類、冬虫夏草(c)などを採取した。夜は数時間にわたって、DNA採取のための準備と撮影に追われた。
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飯舘村北部では、放射線量はひところよりかなり低くなってはきたが、きのこを採取した周辺では5〜6μSv/h程度だった。一方、南相馬市南部の小高地区や原町地区のはずれでは(d)、相変わらず非常に高い線量を示していた。訪問地の道路脇では地表20cmで120〜140μSv/h(e)、地表付近で280〜300μSv/h(f)という高線量を示していた。携帯用の線量計の多くは10μSv/hまでしか計測できない。このため4台の線量計のうち2台は9.9999を示したままで、計測不能だった。 | |||||||
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先日の富士山(9/1)でクロカワと見間違えそうなきのこが多数でていた。柄の表面が黒く繊維状のものはヤギタケらしいが、今ひとつは柄の表面が黒くもなく繊維状とも言い難い。カサ表皮も何となくささくれている。これらは両者ともヤギタケであり変異の範囲だという人が多かった。しかしどうもそうは思えないので、両者を分けて持ち帰ってあった。 昨夕冷蔵庫から出して比較してみた。下段のきのこはたまたま屋外では若い菌しか撮影しなかったが、採取したものにはカサを広げたものもあった。下の画像は、上段にヤギタケを、下段によく似たきのこを、対応するパーツを上下に並べた。胞子(c, c')は両者とも非アミロイド。ヒダ断面(d, d')、カサ表皮(e, e')、柄の表皮(f, f')は両者で別の構造を示している。 |
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ヤギタケを含む属であるHygrophorus(ヌメリガサ属)のヒダ実質は散開型だが(d)、下段のきのこのそれは並列型だ(d')。また、ヤギタケの菌糸にはクランプがあるが、下段のきのこにはない。さらに、下段のきのこの子実体のヒダは垂生ではない。どうやら、これはHygrophorusではなく、Humidicutis属のきのこらしい。富士山では高い頻度で見られるきのこだ。 | |||||||||||||
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先日の富士山から持ち帰ったきのこにフサクギタケがある。カサ表皮や柄上部の表皮は毛むくじゃらだ。カサや柄の表面にメルツァー試薬やKOHを振りかけるとたちまち変色するが、濃硫酸では変色しない。面白いことにアンモニア蒸気をあびるとたちまち赤紫色に変色する。 封入液が水道水(e)とKOH(f)では、胞子の縦横比が若干変化する。切り出したヒダ切片を、水以外にもKOHやメルツァー試薬などで封入してみた。シスチジアはKOHで封入すると黄褐色に変色するが、メルツァーでは色に変化はない。カサ表皮の菌糸は平行気味に匍匐し、随所で立ち上がっている。数年ぶりにフサクギタケで遊んだ(雑記2009.8.15、同2008.8.26)。 |
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月曜日からほとんど雨の降らない猛暑の日々が続いている。激しい雷雨も雨量としてはごくわずかにしかならず、長期間の乾燥ですっかり干上がった大地にとっては雀の涙のようだ。白河市周辺や那須高原北部ではタマゴタケ以外のきのこはほとんど見られなかった。 |
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昨日いわき市と北茨城市境界のブナ・ミズナラ林を歩いてみると、先週は全くきのこが見られなかった場所に、大きなイグチがいくつも出ていた。中にはかさ径20cm超のものもあった。土曜日、日曜日と久しぶりに雨が降ったことがきのこの発生を促したようだ。 夕方頃から激しい雷雨となり突然停電になった。すぐにも復旧するだろうと思ったが、夜遅くまで回復せず、ローソクの灯りでビール主体の夕食となった。きのこ標本は停電直前に胞子紋を取る処置をし、大型のイグチ類などを薄切りにして乾燥機にかけたばかりだった。いわき市に転居して初めての停電であり、これほど長時間の停電というのもあまり味わったことがなかった。 |
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今朝(am3:30)になってやっと乾燥機の電源を入れたが、すでにいくつもの標本でウジ虫の運動会が始まっていた。きのこからは異様な腐敗臭も漂って、いやな予感を感じさせる。昨日のメールを見るゆとりはなかった。今日はこれからすぐに出発せねばならない。 | |||||||||||||
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先月24日に川内村の子安川流域でナメクジに食われたヤマイグチ類を採取した(a, b, c)。弱い赤変性がある(d)。管孔部を縦断すると(f)、管孔部実質の散開型とともに縁シスチジア(g)、側シスチジア(h)がよくわかった。カサ表皮の構造が特徴的で、数珠が繋がったような組織が柵状に並ぶ(i, j)。柄の表皮にもシスチジアがある(k, l)。
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先日の富士山では多くのきのこに出会ったとはいえ、状態がよくなかったり関心の薄い分野のきのこが多かった。持ち帰ったのは、フサクギタケ、ヤギタケ近縁種、キイロイグチなど数点だけで、冷蔵庫に保管してあるが既にウジ虫が蠢いている。他には7〜8種の地衣類を持ち帰った。 | |||||||||||||
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昨日昼過ぎに富士山から戻った。土曜日午前中は天候も安定していてたっぷり歩き回ることができた。午後からときおり小雨交じりとなったが森林の中では雨具は不要だった。昨年に引き続きひとりのキャンセルもなく予定の22名全員がそろった。 例年と比較するときのこの発生は非常に悪いといわれていたが、なんだかんだとずいぶん多くのきのこに出会うことができた。いわき市ではこのところほとんどきのこの姿を見ていなかったので、久しぶりに数多くのきのことの出会いを楽しめた。 |
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昨日は朝から雨だったこともあり朝食後に解散となった。いわき市の自宅までは約370kmほどだが、慢性渋滞の首都高速を通過せねばならない。そこで早々とam8:40頃には河口湖を後にした。途中何度も激しいゲリラ豪雨に見舞われながら走行し、昼過ぎに帰宅した。すっかり干からびて見るも無惨だった庭の脇の小川に水が流れていた。 | |||||||
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