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いつの間にか2012年も今日でおしまい。右も左も分からぬままに、林道を手当たり次第に走り回った年だった。津波被害と原発事故で手一杯で、物理的にも経済的にも林道補修にまで手が回らないのだろう。突然道が消失、通過直後に路肩が崩落、倒木で突然通行止、崖の崩壊、バリケードで封鎖、などなど福島県内の林道はスリルと危険に満ちていた。 今年はダメだったが、来年に期待がもてそうなのがルリハツタケとカベンタケ。これまで自力でルリハツタケを見つけたことはなかった。10月30日に家のすぐ近くの石森山でルリハツタケに出会ったが、ナメクジにカサの半分ほど食われていた(雑記2012.10.31)。 カベンタケは10年ほど前に軽井沢で出会って以来、その後一度も出会っていない。今日までカベンタケかもしれないと持ち帰ったきのこはことごとく子嚢菌のNeolecta属だった。今秋、土湯の道の駅で出会ったカベンタケは、担子器はできていたが胞子ができていなかった。 両者とも発生場所がわかったので来年はきっと出会うことができるだろう。今日は車で岳温泉まで行って、打ち立ての [年越し蕎麦] を受け取ることになっている。 朝明るくなって庭に出て驚きかつ呆れかえった。庭の大半がトラクターで田起こしをしたかのように変貌している。大きく広がっていた芝生は全滅した。先に8頭のイノシシが出没したことがあったが(雑記2012.10.19)、そのときの被害の数倍の荒らされ方だ。 |
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今年の締めくくりにいわき市の新舞子公園で出会ったケシボウズタケ属の観察をした。これまでさんざんあちこちの浜や石灰岩地帯でケシボウズタケ属の探索をしてきたにもかかわらず一回もまともに観察記録を残したことがなかった。ケシボウズタケ属に関してはなんだか特別すぎて、もっと自分が成長してからという思いがあったようだ。 やってみればなんということはない、普通に記載していけばいいだけである。しかし柄の木質化でキノコの断面を作るのが大変、おまけに大量の砂粒と胞子がじゃまして目的の部分の見えにくいこと! 時間がなく今回は内外皮の組織の顕微鏡観察は断念した。これで来年からは出会うたびに気楽に記録ができる。菌懇会のAさんが作成したケシボウズタケ属の資料に改めて感謝である。以前の自分とは違い読まれた資料も喜んでいるようである。 |
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きのこの観察に特別のことはない、気楽に緻密に観察し記録を続けていけばいいのだ! それが現在の私のキノコの楽しみである。 (Y. A.) | |||||||
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10月頃からフロキシンで染めると、時折ひどい混濁状態になったり、ゴミが多数目立つようになっていた。当初は、誤ってスライドグラス上の埃や試料の一部を吸い込んでしまったのだろうと思っていた。ところが12月になるとこの状態が日常化してしまった(a〜f)。 ふだんフロキシンは5cc入りの容器から使っている。今年の2月に粉末を水道水に溶かした液を100ccほど作った(つもりだった)。必要に応じてそこから5ccの目薬瓶に移していた。最近どうもフロキシンにゴミが混じると思っていたら、親瓶の液が濁っていた。 現在住んでいる借家は、昔この集落で唯一の鉱泉宿だったという。そのなごりで、風呂場の蛇口ばかりではなく、室内の蛇口のいくつかは水道水ではなく鉱泉水が出る。引越当初、そのことを知らずに、フロキシンやサフラニンを鉱泉の水で溶かしてしまったようだ。 |
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東京の水道水のpHは平均7.6(6.7〜8.3)だそうだが、自宅の鉱泉はふだんpH6.2〜6.7で軽いヌメリがある。その水で作った100cc容器のフロキシンはpH9と弱アルカリ性になっていた。顆粒状のKOHが液化するほど夏の湿度が高かった。何か関連があるのかもしれない。 | |||||||
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海辺の防風林で凍り付いた小さなきのこを採取した(a, b)。新しいカバーグラスに胞子紋をとると、思いの外小さな胞子でアミロイドだった(c)。シスチジアの有無などを確認しようとヒダを切り出して、いつものように、ここ数日使い回していたカバーグラスをかぶせた。 対物4倍レンズで覗き込むと、何とも汚らしい(d)。油浸オイルが拭き除かれていないようだ。このカバーグラスは、消毒用アルコールをティッシュペーパーに浸して拭き取っては、再び使っていたものだ。そこでカバーグラスの汚れをアルコールでていねいに拭き取って、新たに切り出したヒダ切片にかぶせた。やはり、汚れは取れていない(e)。そこで、三度目の正直と、新しいカバーグラスを使って、フロキシンで染めた。ところが、フロキシンが混濁していた(f)。いい加減うんざりして、スライドグラスもきのこも棄ててしまった。 |
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汚れたスライドグラスやカバーグラスでは、正確な観察は難しい。一度使用したスライドグラスは中性洗剤などで洗い、油をつけたカバーグラスは処分するのが原則だ。またKOHやフロキシンの容器の先端を試料に注ぐ時には、不要なものを吸い込まないよう注意が必要だ。 | |||||||
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ゆえあって先に海浜の防風林で採種したNeolecta(ヒメカンムリタケ属)(a, b)の乾燥標本(c)を再確認した。わずかに暖めたKOHに浸したのち、メルツァーで封入してみた。低倍率でちょっと見たところ子嚢膜は青変せず、托が青変しているかのように見える(e)。ちなみに、常温のKOHで前処理してからメルツァーで封入しても何の変化もない(d)。 ついで、KOHで封入しブクブクと泡立つまで過熱してから、メルツァーで封入すると子実層が強く青変した。子実下層もやや青変しているが、托はほとんど染まっていない(f)。これを軽く押し潰して倍率を上げてみた。まるで膨潤した頭部をもつ側糸が多数あるかのように見える(g, h)。 きちんとした薄切りをせず前処理も何もせずに水道水で封入した。倍率をあげても胞子はわかるが、子嚢先端の様子などはよくわからない(i)。 頭部の一片をKOHに浸して、泡が出るまで十分過熱したのち、メルツァー試薬を注いでも全体は青変せず、断面の縁だけが青変した(j)。青変した部分を切り出してみた。組織の内部まではメルツァーが浸透していないので、子実層だけが青変している(k)。それを軽く押し潰して子嚢先端をみると、頂孔がぼんやりと確認できた(l)。 |
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KOHに浸したあとメルツァー液で封入する前には、必ず水洗いをしてから乾燥させて処理した。水洗いを省くとアルカリと酸による中和反応で結晶塩ができ、これが観察に著しい障害となる。また、水洗いのあと表面を乾燥させないとアミロイド反応は弱くなる。 | |||||||||||||
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昨日午前中いわき市新舞子浜の防風林を歩いた。気温が低く風も強かったので、砂地はすっかり凍っていた。これまで何度か歩いてはいたが、気づかなかった新たな場所で、ナガエノホコリタケが10数本発生していた(a〜d)。発生からまださほど日数が経過していないとみえて、柄の表面の赤褐色のササクレも新鮮だった。ほかにも、数種類の腹菌類が見られた(e, f)。
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防風林ではなく堤防から外側の浜辺には、かつてウネミケシボウズタケがでていたのだが、昨年3月11日の大津波以降は、まだ発生の確認は取れていない。 | |||||||
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年末恒例「今日の雑記」の占有容量と主要分野の構成比を計算した(雑記2011.12.29)。12月24日現在、「こけ雑記」をも含めた全占有量は2.9GB、ファイル数は102,363となっている。例によってHTMLファイルのサイズは小さいので、圧倒的に画像ファイルの占有率が高い。 昨年まではビデオ画像は意識的に使わなかったが、今年は何度か動画を掲載したので、その分ファイルサイズが大きくなっている。また、この一年間こけ(蘚苔類)については封印してきたので、「こけ雑記」は総ファイル数も構成内容もまったく変わっていない。
それぞれの開始日と今朝までのアクセスカウンター値を、例年通り書き出した。今年2月からはきのこの観察拠点が福島県いわき市に移ったが、この一年は十分な観察はできなかった。
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一昨日と昨夜は久しぶりに雨がよく降った。乾燥標本と化していたきのこに変化が見られた(雑記2012.12.21)。エノキタケが新鮮な状態に戻っていたが(b)、一端凍結した部分は元には戻らなかった(a)。アラゲキクラゲ(c)、ヒメキクラゲ(d, e)も新鮮な状態を見せている。凍りきったハナビラニカワタケ(f)はすでに崩れはじめていた。硬質菌にはいずれもほとんど変化はない。
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昨日の朝、部屋の中は6〜7度。灯油ストーブをたいてもたいして暖かくならないので、本を抱えて暖かい総合図書館に逃げ込んだ。館内は18度以上あり、気持ちよさそうに眠っている学生もチラホラ。先日のしくじりに懲りて、タイマーを1時間50分に設定した。時間になると駐車場を出てすぐに入り直した。おかげで4時間弱を快適な環境の中で過ごすことができた。 イノシシが南西側の一角をひどく掘り返していた。このところしばらく目立った被害がなかったので、ほっとしていたいた矢先の出来事だった。 |
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先日の説明会をうけて、地デジ共同アンテナ設立に参加するか否かを問う回覧が回ってきた。確かにテレビの映りは格段に悪いが、あまり積極的にテレビを見ることはない。早い話がテレビはなくても困らない。先日はあまり考えていなかったが、ニュースをはじめ地震や原発事故などの緊急情報ならFM放送とインターネットから得ることができる。今朝もニュースを見ていたら、途中からモザイクが次々に現れてきたので、FM放送に切り替えた。 16日の雑記では「共同アンテナの維持管理をする組合設立には参加するしかないだろう」と記したが、共同アンテナには参加しないことにした。「テレビ写りはかなり悪い」が「共同アンテナには不参加」と意思表示した。それにしてもNHKの受信料には腹が立つ。 ドーキンス『利己的な遺伝子』を読んでみて、改めてダーウィン『種の起源』を再びていねいに読み直したいと思った。ファーブル『昆虫記』は第二巻で一時中断して、ダーウィンに集中しよう。そういえば、最近は古典ばかりで新刊はほとんど読んでいないなぁ。 |
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このところ朝の室内温度は4〜6度。暖房機の設定温度は12度にしている。10度を超えれば結構暖かいが、すきま風のためやはり寒い。かといって設定温度を上げるとたちまち灯油がカラになる。そこで、少しでも経費を削減しようと、浅はかな考えを起こした。どのみち毎日に3〜5時間は読書時間なのだから、暖房のきいた公共図書館で過ごしたら一石二鳥だと考えた。 いわき市の総合図書館は駅前のビルの中にある。図書館まではおよそ11km、車で15〜20分。駐車料金は100円/30分だが、図書館利用者は最初の2時間まではサービス(無料)となる。そこで、2時間近く経過したら一度車を外に出して、再び入り直そうと姑息なことを考えた。 昨日もくろみを実行に移すべく、リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』と森昭彦『ファーブルが観た夢』の2冊を借り出して読書室に入った。前者は2007年に翻訳が出版されるとすぐに読んで非常に衝撃的だったが、多くの疑問も湧いてきた記憶がある。そこで機会があれば改め読み直したいと思っていた。後者は大杉栄の獄中での読書を契機に、再びファーブル昆虫記を最初から読み出していたので、それに関連して関心を持った。 『ファーブル』を読み終わったとき、まだ駐車場のサービス時間が20分ほど残っていた。そこで『利己的』に手をつけてしまった。これが失敗の始まりだった。面白くて途中で本を閉じるのが惜しくなり、やがてすっかりドーキンスの世界に入り込んでしまった。ふと窓の外を見ると薄暗い。駐車券を見ると入館から3時間半が経過していた。駐車料金400円! 暖房の設定温度を18度にしてストーブをじゃんじゃん焚いたって400円はかからない! 明日からは自宅で読書だ。 |
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自宅の庭は何もかもすっかり枯れ果てて殺風景になった。緑色を見せているのは一部の常緑の庭木ばかり。その一方で、弱り切った樹(a)や立ち枯れ、倒木などではエノキタケ(b, c)やアラゲキクラゲ(d, e)、ヒメキクラゲ(f)などがそのまんま乾燥標本と化している。 七〜八種ほど見られる硬質菌はいずれもカラカラに乾ききって、コフキサルノコシカケ以外は胞子もほとんど見られない。菌糸型の確認をしようと軽くほぐしたら、骨格菌糸や結合菌糸がバラバラに断片化してしまった。これまたよく乾燥しているようだ。 |
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このところゴミ出しに難儀している。ゴミの仮置き場は東に600〜700mほど離れた場所にある。自転車にゴミを積んで運ぶのだが、往きは北西の風が背中を押してくれるので、1〜2分もかからない。ところが、復路は強い風に逆らって自転車を漕ぐのでなかなか前に進まない。5〜6分ほどかかる。分速100〜140メートル、これじゃ歩いた方がよほど速い。 | |||||||
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