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いわき市新舞子浜のクロマツ防風林でフウセンタケ科らしい小さなきのこが出ていた。属までは推測できなかった。カサの径は15mmほどだろうか。カサの縁は白色で、柄の基部はやや膨らんでいた(a, b)。持ち帰って三日目、紙袋から取り出してみるとカサの縁の白色は消え、カサ全体が茶褐色になっていた(c)。この姿をみてアセタケ属に間違いなさそうだと思った。 胞子紋はまったく落ちなかったのでヒダの一部を押し潰した。胞子はごくわずかしかできていなかったが確認できた(d, e)。砂粒に邪魔されてヒダ切片の切り出しは難儀したが、縁にも側にも同じような形のシスチジアがある(f)。シスチジアは厚壁で先端にクリスタル状の結晶がつく(g, h)。 担子器の小柄(sterigma)は二つで、ベーサルクランプがある(i)。カサ表皮は平行気味に菌糸が走り(j)、柄の表面にも多様なシスチジアがある(k, l)。このミクロのすがたはどこかで見たことがある。そうだ、スナジアセタケのミクロの姿によく似ている。おそらくその幼菌なのだろう。 |
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久しぶりに四ツ倉の海浜を歩いてみた(a)。昨年の津波で砂がゴッソリとえぐり取られた浜も、いつの間にかハマニンニクやコウボウムギ、ハマボウフウなどがよく茂るようになっている。昨年はみられなかったが、スナヤマチャワンタケがちらほら出てきた(b, c)。 砂まみれのチャワンを三つほど持ち帰った。子実層から1mm角ほどの小片をピンセットでつまんだ。スライドグラスにメルツァー液を滴下して、そこに落としこんだ。砂を取り除きカバーグラスをかけて軽く押し潰した(d)。あちこちで子嚢の蓋がパカパカ開いていた(e)。 |
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浜にはスッポンタケやケシボウズの仲間はまったくみられなかったが、必ず浜辺のどこかで生き延びていることだろう。 | ||||||
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昨日は強い冬型の気圧配置のため、会津や福島市は雪。いわき市も風がとても強く寒い一日だった。朝、小名浜港に停泊中の帆船海王丸を見にマリーナまで行った(a, b)。帰路、新舞子浜を歩いてみた。ちょうど一週間ぶりだ(雑記2012.11.21)。 先週見た場所とは全く異なった砂地で再びナガエノホコリタケに出会った(c, d)。結構広い範囲に分布しているのかもしれない。その近くにはショウロも出ていた(e, f)。ニセマツカサシメジ(g, h)やマツカサキノコモドキは思っていたほどには成長していなかった。 |
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防風林では、すでにクギタケやササタケの姿はなく、アセタケ属や所属のよくわからない小さなきのこがいくつか見られた。今am4:30、外気温0度、室内6度。寒い朝だ。 | |||||||||
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今月20日にいわき市の新舞子浜で採取したMelanoleuca(ザラミノシメジ属)のきのこ(a〜c)を覗いてみた。室内の気温も湿度も低いので、紙袋に入れたまま室内に放置しておいたが、やはりかなり乾燥していた。胞子には胞子盤があり、表面の微細なイボはアミロイド(d, e)。 ヒダの断面を切り出したがシスチジアの有無、形などが不明瞭なので、フロキシンで染めてみると、縁にも側にも同じような形のシスチジアがある(g, h, i)。このシスチジア、存在頻度が低いのか、ヒダの切り出し位置によってはほとんど見られない。シスチジアの先端にはクリスタル状の結晶構造があるが(h)、KOHで封入するとたちまち溶けてしまった(i)。担子器にはベーサルクランプはなく、菌糸組織にもクランプはない。カサ表皮は絡み合った菌糸からなっている(k, l)。 |
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オオザラミノシメジのようだ。それにしもこの属の学名Melanoleucaは何ともへんてこりんだ。melanoは「black 黒い」だし、leucaは「white 白い」だから、いわば「black-white 黒白属」だ。和名にも「シロノハイイロシメジ」とか、「シロクロハツ」なんていう変な名前があったっけ。 | |||||||||||||
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昨年3月11日の震災と大津波から既に一年八ヶ月。昨日福島県南相馬市の浜を基点に、宮城県名取市の閖上浜まで、海浜の現状と復旧の様子をみてきた。 南相馬市までは国道六号線を使えれば1時間半もかからない。しかし原発事故のため道路が分断されているので、四角形の三辺をたどることになり、現在は3〜4時間かかる。 海辺では、崩れた堤防の周辺にわずかに砂地もあるが、どこにもきのこの姿はない(a〜c)。かつての松並木はすっかり変貌し(d)、流木となった樹は道脇に積み上げられている(e)。かろうじて残った防風林も立ち枯れと倒木だらけで、ここにもきのこはない(f)。 海浜では広範囲に堤防工事が進められている。かつて浜近くを走っていた道路は、至るところで路肩がえぐれ、突然道がなくなる(g, h, i)。その都度きわどいバックを強いられた。橋は落ち(j)、道路脇には瓦礫が分別されて至るところに積み上げられている。 |
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常磐線の新地駅は津波で列車もろとも流されたが、今は線路もすっかり撤去されて、そこに駅があったことさえわからない(k)。最後に寄った閖上地区では瓦礫の撤去はほとんど終わって、建物の基礎部分だけが海岸線近くまで続いている(l)。復興の兆しはみられない。 | |||||||||||||
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10日ほど前に楢葉町の木戸川渓谷で採取したワサビタケ(a, b)は胞子紋が全く落ちなかった(雑記2012.11.15)。ヒダには脈絡膜が見られるが(c)、ルーペで拡大してみると脆く不安定だ(c)。乾燥標本からヒダの断面を切り出してみたが(d)、縁シスチジアの形がはっきりしない(e)。そこでヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみると(f)、棍棒状やら紐状の組織が無数にある(g)。これが縁シスチジアなのだろうか。ヒダの一部を染めてKOHでばらしてみると、担子器と一緒にそれらしい形のものがみえる(h)。カサ表皮は糸状の菌糸が絡みつつ斜行していた(i, j)。
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自分で散髪をしたらみごとな虎刈りになってしまった。散髪用ハサミの取っ手に指が入らない。レイノー症で指先の自由が利かないばかりか、硬くなって膨らんでしまったことが原因だ。ええいままよとばかりチョンチョンやった結果がトラサンだ。家人と顔を合わすと開口一番「ん・・・。あはははは、なにその頭! でも誰にも文句言えないよね」。 | |||||||||||
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すっかり忘れていたが、先にamazon.co.jpを通じて購入した商品についてのメモを残しておこう。一つは2TBのハードディスク (雑記2012.10.13、同2012.10.17、同2012.10.19)。返品・交換期限の30日を大幅に過ぎているが、事情を詳細に連絡して交渉した結果、全額返金となった。失ったデータは戻って来ないが「高い高い授業料」とはならずにすんだ。 今ひとつはBushnellのトレイルカメラだ(同2012.10.27、同2012.10.19)。購入初期から何か変だと思っていたが、初期不良品だった。購入から一ヶ月ほどした頃から予期せぬ症状がいろいろ現れてまともに使えなくなった。これも購入から50日を越えていたが、販売店から「交換商品の調達困難のため返金します」との誠意ある対応を得ることができた。 アマゾンから商品購入をするようになってほぼ10年ほどになるが、返品交換や代金返還に至ったトラブルは数回しかなかった。領収書や保証書がなくても、ネット上に過去10年間ほどの購入履歴と注文番号が残っているので、これがトラブル解消に役だった。 田舎に住むようになって、ネットショップと宅配業者のありがたみをつくづく感じるこの頃だ。 |
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先週前半11月13日にいわき市の背戸峨廊で出会ったトビイロノボリリュウ(a)を覗いてみた(雑記2012.11.14)。10日ほど北側の部屋に放置しておいたが、冬に向かって気温が下がってきたせいか、乾燥気味となっていたものの、ほとんど傷んではいなかった(b)。 子実体を縦断すると、柄が内部を貫通し先端で広がり、そり返って不規則な袋状の子実層面となっていることがわかる。子実層面の縁は柄の途中に癒着している(b)。頭部は傷つくと濃紫褐色に変わる(c)。子実層面の裏側、つまり頭部の内側の面は、柄の内面と同じく白色の細毛に被われるが(d)、頭部のの断面をルーペで見てもよくわからない(f)。 油球を二つもった胞子が多いが、三つあるいは一つの胞子もある(g)。子嚢盤はKOHで封入すると赤褐色になる(h)。側糸の先端は膨らみ、ノビルの球根のようだ(i, k)。子嚢は非アミロイド(j)。頭部裏面の白毛は顕微鏡下でも托外皮と区別できない(l)。 |
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イノシシの被害ますますエスカレートするばかり。とりあえず鉄線で囲いを作ってみることにした。縁の下や馬小屋に転がっていた端材を適当な長さに切って支柱にし、20本ほど立てた。 | |||||||||||||
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11月10日神奈川での子嚢菌勉強会で出会ったキノコである。採取者のAさんが名部編『日本きのこ図版 第六巻』(p.165; No.277, No.391)に掲載されているアオサビヒナノチャワンタケではないだろかといっていたので興味をいだいた。 ロクショウグサレキンの仲間はこれまで観察したことがない。会場では十分観察できなかったので標本を分けていただき帰宅した。胞子紋を採取しようとしたが十分な量の胞子は採取できず胞子写真を撮るのに非常に苦労した。 『山渓フィールドブックス きのこ』に掲載されているヒメロクショウグサレキン(仮称)の写真に形態は非常に似ている。ロクショウグサレキンの仲間は観察したことがないため、まず「きのこ雑記」を参照してみた。今日の雑記2003年11月27日にはこの仲間の観察記録がのっていた。今回みた子実体の托外皮は明らかにロクショウグサレキンとは違って円形菌組織だ。 |
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今後はロクショウグサレキンの仲間に出会った時は必ず観察してみようと思う。 (Y. A.) | |||||||||
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自宅から新舞子浜の海浜までは車で15〜20分の距離にある。何かのついでに海辺にちょっと寄ることはあっても、しばらく出向いていなかった。昨日遊歩道を歩いていると、足元にナガエノホコリタケがでていた(a, b)。いわき市に転居して初めて出会ったケシボウズタケ属だ。 堤防の外側の浜には出ないで、もっぱら防風林の中を歩いた。ショウロ(c, d)、ニセマツカサシメジ(e, f)、マツカサキノコモドキ(g, h)、クギタケの幼菌(i, j)、ササタケ(k, l)、ケコガサタケ、ヒナノヒガサ、アミタケ、チチタケ属などが出ていた。ニセマツカサキノコは多くが幼菌だった。 |
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いわき市の新舞子浜海浜公園は、昨年3月11日の津波被害で荒れ放題になっていたが、最近になってようやく幹線道路の修復工事が始まった。しかし、海辺は各種廃棄物の置き場になったままだし、公園の整備や駐車場トイレの復旧はいつになるのかわからない。 | |||||||||||||
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