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昨日ツチヒラタケを扱ったので家の庭を見回してみた。ちょうど今頃には同じ属(Hohenbuehelia)のヒメムキタケが出ているはずだ。台風で増水している小川の縁で、転がった朽木に多数ついていた(a, b, c)。胞子は非アミロイド(d, e)。カサ表面は厚いゼラチン質に被われている。生状態からの切り出しは非常に難しいので、半乾燥したものを切り出した(f)。 特徴的なシスチジアが無数に見られる(g〜j)。ヒダの縁には薄膜嚢状の組織と厚膜透明で頭部が不規則な形の組織が見られる。図鑑類やモノグラフにはこのような姿の「縁シスチジア?」についての記述はない。同様の組織はツチヒラタケでも観察できる。いたるところにクランプがある。 |
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昨日は解体作業6日目。昼頃から雨になったが、作業はもっぱら前日に取り壊した納屋の瓦礫の分別処理作業に終始した。雨の強くなってきた夕方にはかなり片付いていた(r)。
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玄関や勝手口のすぐ前に重機が横付けされ(m)、そこに瓦礫を運ぶ産廃トラックが四六時中出入りしていた(n)。このため、勝手口の前も(o)玄関も(p)目の前には重機やトラックがいた。家からの出入りには専ら縁側を使ったが、そこもすぐ近くにトラックの姿があった(q)。何とか夕方には瓦礫の山もほとんど消えていた(r)。台風も通過したので、今日の作業は通常どおりだろう。 | |||||||||||||
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久しぶりにツチヒラタケにであった。ただこれまでに知っているツチヒラタケと比較して、ヤワで色も薄灰色なので、違和感もあった。埼玉時代には所沢の航空記念公園に行くとしばしば大群落にであったが(雑記2002.7.2、同2001.6.23)、近年はそれもほとんどなくなっていた。 このきのこの最大の特徴は非常に厚膜のシスチジアだが、いまひとつはヒダ断面のプレパラート切り出しの難しさにもある。密なヒダは薄く幅が狭い。そのせいか切り出そうとするとすぐに崩れてしまってなかなかきれいな切片を得ることができない。 |
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昨日(解体作業5日目)は、納屋の破壊作業まで済ませて、瓦礫の分別処理を待つ状態で終了した。玄関や勝手口のすぐ前での作業だったので、終日土埃と騒音、振動に悩まされた。今日は朝から分別作業に取りかかるようだ。 |
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先日採取したコブアセタケと思われるきのこについてのメモ。柄の基部はやや膨らんでいる。乾燥気味の小さな子実体4つからは、いずれも胞子紋がほとんど落ちなかった。ごくわずかの胞子にはコブが顕著だ。ヒダの断面を切り出してみると、縁シスチジアと側シスチジアが明瞭に捉えられた。縁シスチジアは2種類のタイプがあり、目立つのは厚膜で頭部にクリスタル状結晶を帯びたタイプで、これは側シスチジアと同様だ。一方、いまひとつは薄膜で嚢状〜棍棒状をしている。柄の表皮には上部にも中央部にもやや厚膜で細長いシスチジアがある。柄上部のシスチジアでは頭部にやはり結晶がついたものが多い。
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ちょうど今の時期に日光に出かけようと思っていたが、どうも時間がとれそうにない。きっと今頃はマルミノノボリリュウやらヒロメノトガリアミガサタケなどが出ている頃なのだろう。 |
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震災で壊れた建物の解体作業5日目。土蔵の基礎部分の解体と廃土の処理は後回しにして、今日からは納屋の解体作業に入った。鉄骨で支えられていた庇部分を取り外し、屋根の瓦剥ぎを経て、少しずつ本体の上部から解体が始まった。土蔵よりも母屋に近いこともあって、すさまじい土埃だ。今日は非常に蒸し暑いが、窓を開けることはできない。 | |||||||
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今朝は雨。早朝、先日いわき市の公園で採取したテングノメシガイ属を覗いて楽しんだ(a)。この仲間のきのこは小さくて暗色をしているので見つけにくい。ルーペで頭部や柄をみると絨毛に覆われているので、Geoglossum(ヒメテングノメシガイ属)ではなくTrichoglossum(テングノメシガイ属)であることまではすぐにわかった。そこから先は顕微鏡で胞子の隔壁数(b)と側糸先端(d)をみないと種名まではたどり着けない。ただ胞子が大きいので対物レンズ20〜40倍までの学習用顕微鏡でも間に合う。柄を横断面で切ると無数の絨毛が表面を被っていた(f)。子嚢先端はアミロイド(e)。おそらくテングノメシガイ(T. hirsutum)だろう。
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今日は日曜日のため、土蔵の解体作業はお休み。昨日の解体作業で土蔵は残土と基礎部分を残して消え去った。解体にともなう瓦礫は細かく分別されるので、破壊作業そのものよりも、面倒な分別作業にかなりの時間が必要となる。このため、かつてのように短時日で建物解体は終わらない。土蔵がなくなって、母屋の縁側からは遠くが見渡せるようになった。
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昨日は土蔵の本格的取り壊しと瓦礫の分別作業が行われた。この土蔵はちょうどわれわれの居住している母屋の中でも顕微鏡・パソコン部屋のすぐ前に位置する。古い民家にはもともと隙間が多い。これに加えて昨年3月11の大震災で家屋全体にゆがみが生じ、窓やガラス戸などはピッタリ閉まらない。だから、猛烈な土埃は容赦なく室内に入ってくる。特に昨日は埃と振動でしばしば検鏡作業などは中断せざるをえなかった。土蔵は壁の一部を残して無残な姿になった。昨日はこの状態で工事中断となった。
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近隣の住人が解体作業を見物しにくる。畑のエンドウ豆や青菜の類はすっかり泥まみれ。来週からは大きなキャタピラー車が玄関と勝手口を塞ぐ位置に陣取る。外への出入りは縁側からしかできないかもしれない。少なくともあと2週間ほどはこのような状態の中での生活だ。 土蔵解体作業の始まる前、休憩時間、作業終了後にいくつかのきのこを検鏡した・・・テングノメシガイの仲間、ツチヒラタケ、アカヤマタケ属、ムカシオオミダレタケなど。 |
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解体作業で砂埃や騒音が激しいので、茨城・福島県境のブナ林に行ってきた。途中の公園の芝ではHygrocybe(アカヤマタケ属)のきのこが4〜5種類ほど見られた。カサや柄にヌメリのあるもの(a, b)、カサが黒くヒダが垂生のもの(c, d)、カサが黒くヒダが上生のもの(e, f)、全体が緑から黄色のもの等々。テングノメシガイの仲間も2種類ほど見られた。やや大型で頭部や柄に剛毛のないもの(g, h)、非常に小さくて頭部や柄が顕著な剛毛に被われたものがあった(i, j)。 ブナ林ではまだきのこの発生は少ないが、ムカシオオミダレタケ(k)、マスタケ、ホソツクシタケ、シロソウメンタケ、ヒメスギタケ属らしきもの(l)などが見られた。 |
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解体作業2日目はいよいよ大型重機が入り、本格的に土蔵の解体作業が始まった。放水しながらとはいえかなりの土埃が舞った。まだ数日は土蔵の解体が続きそうだ。
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いわき市の水石山(alt 735m)の山頂には牧場が広がっている。昨年の原発事故以来放牧は中止され現在は牛や馬の姿はない。しかし随所に古い馬糞がわずかに残っている。それらから小さな糞生菌がいくつか出ていた(a, b)。カサ表面にはヌメリがあり、柄の上部にツバの痕跡が残っている(c)。胞子は大きく発芽孔があり、水とKOHでは色味が異なる(d, e)。 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると、シスチジアがあるようだがはっきりしない。そこでカバーグラスの縁からフロキシンを思い切り注ぎ込んだ。濃赤色になってしまったが、縁シスチジアを確認できる(f)。ヒダを一枚切り出してみた(g)。意外と小さな縁シスチジア(h, j)、まるでクリソシスチジアまがいの側シスチジアが見える(i, k)。側シスチジアの内容物はKOHやアンモニアでもこれ以上黄色くはならない。フロキシンでは内容物もすっかり赤色に染まってしまった(l)。 |
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大きさや外見的姿からはツヤマグソタケのように見えたが、ツバがあることやミクロの様子から判断すると、どうやらジンガサタケあるいはその近縁種のようだ。それにしてもこれまで見てきたジンガサタケの姿形とは印象が異なり、何ともヤワで貧相だ。
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解体作業初日は、必要な機材類を運び込み、解体される建築物の中に残されたものを運び出して、土蔵の屋根瓦を引っ剥がすところまで行われた。土埃と騒音は今日から始まる。 | |||||||||||||
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昨日の新聞(2012.6.12)によれば、飯舘村長泥地区が7月中にもバリケードが張り巡らされて立入ができなくなる。ここを南北に走る国道399号の長泥地区は九十九折りの狭い山道が続き、その道路脇で楽にきのこを観察できる場所だった。 国道399号線は福島第一原発からほぼ25〜30kmの位置で、浪江町赤宇木、飯舘村長泥地区などの超高線量地域を通過する。昨年11月6日には国道脇で40.9μSv/hを記録し、今年3月15日には雪に被われていたにも関わらず20μSv/h以上を示していた(雑記2012.3.15)。 長泥地区のいちづく坂峠では昨日も11〜15μSv/hを示していたが(b, c, f)、居住制限区域に指定されることになった蕨平地区でも、集会所の庭に設置された線量計で5.250μGy/hという高い値を示していた(g)。浪江町下津島では「除染」作業完了の今でも、中学校前で4〜6μSv/hを示していた。「13km先車両通行止め」表示(h)から2kmも行かないところで、機動隊が常駐する検問所があり実質通行止めとなっていた(j)。機動隊員に話を聞くと、北海道からきたのだという。 |
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今日から地震で壊れた土蔵、納屋などの解体作業開始。朝、車を移動した。 | |||||||||||
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杉と檜の入り交じった林には相変わらずヒノキオチバタケがよく出ている(雑記2012.5.28)。5月に採取した子実体はかなり乾燥していて、胞子紋を全く落とさなかったので、あらためて採取してきた(a〜c)。柄の表面は無数の毛で覆われている(d)。新鮮な子実体だったので胞子紋はたっぷり落ちた。胞子は非アミロイド(e, f)。 小さくてヒダは少なく幅が狭いので、縦断面の切り出しはなかなか上手くいかない(g)。ヒダの先端を拡大してもシスチジアの様子がよくわからないのでフロキシンで染めてみた(h)。KOHを流し込んで軽く押しつぶすと、面白い形の縁シスチジアがはっきりしたが、画像として鮮明には捉えられなかった(i)。柄の表面(j)やかさ表皮(k)にも似たような姿のシスチジアがある。カサやヒダや柄の菌糸にはクランプが頻繁に見られる。担子器は多くがベーサルクランプを持っていない(l)。 |
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いわき市でも少し高所ではまだきのこはほとんど見られない。昨日も標高500〜600mの緑地帯や林道周辺を歩いてみたが、ほとんどきのこの姿はなかった。一方、標高100m近辺ではウスタケ、アミタケ、アメリカウラベニイロガワ、キリンタケ、コブアセタケなどが見られた。 | |||||||||||||
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杉林を歩いていると、白いゴミのようなものが多数ついた落枝が目に入ってきた。近づいてみると背着生の白色の小さなきのこだった。カサ径は2〜4mm、表面には丈夫そうな毛が無数に生えている。ヒダの断面を見ると、縁にも側にも厚壁のシスチジアが多数ある。きのこはやや乾燥気味で、胞子紋は全く得られなかった。菌糸には高い頻度でクランプがみられる。カサ表面を被う毛も厚膜の菌糸からなっていた。旧分類でいうHohenbuehelia(ヒメムキタケ属)の仲間だろうか。
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[追記] 急遽水曜日(6/13)からに工事が延期になった。 |
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