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オオズキンカブリタケの胞子紋は淡い褐色。巨大な胞子は長楕円形〜バナナ形をした薄膜・平滑なもので、大きさ以外には何の変哲もない(e, f)。子実体の頭部(a)と柄(b)を縦断すると柄は頭部まで貫通し、内部には綿状の菌糸が節をなしている(c, d)。 子実層を切り出してみると、少数の胞子を納めた子嚢が整列している様子がわかる(g)。一つの子嚢にいくつの胞子が入っているのかを確認するには、かなり薄めの切片を作らないとわかりにくい。ところがこのキノコ、子嚢も巨大なので実体鏡の下で子嚢をバラすことが可能だ(h, i)。今回採取した子実体では、一つの子嚢に二つの胞子が入ったものが大部分だった。側糸を見ていると、他のキノコの胞子の付着も見られた(k)。 |
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これまで春というとシャグマアミガサとオオズキンカブリに会いに行くのが恒例となっていたので、今年もこれらの子嚢菌を探して動き回ってしまった(雑記2011.5.18、同2004.4.15)。 | ||||||||||||
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県立いわき公園のヤマザクラ樹下にハルシメジが出始めた。先に船橋県民の森で見たハルシメジと比較すると、カサの色がやや明るい(a)。同じく公園内の路傍からは随所にアミガサタケも見られるようになった(b)。トガリアミガサタケはほとんど終わったようだ。 自宅近くの杉林では何種類もの子嚢菌が見られるようになってきた(c, d, e)。車で40分ほど走ったモミ林では群生するキクラゲが陽を浴びて印象的な姿を見せてくれた(f)。 |
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マスコミではゴールデンウイークの開始を喧しく伝えているが、ここいわき市の周辺では日常とほとんど変わりない。自宅周辺の田圃には水が張られ、トラクターが忙しそうに動いている。このところつがいのツバメが頻繁にやってきて軒下を飛び回っている。 | |||||||
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今月15日に発生を確認したシャグマアミガサタケは見るからに未成熟だったが、2週間を経過してようやく成熟した(a)。そこで年中行事のようだが、ひととおり胞子や子嚢を確認した。胞子紋は白色で、楕円形の胞子には二つの油球があり、メルツァー試薬では反応しない(b, c, d)。子実層は水で封入すると褐色だが(e)、KOHで封入すると赤みが強くなる(f〜i)。
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ここで観察した子実体は写真(a)のものではなく、18日に採取したものだ。18日はまだ胞子がほとんどできていなかった。そこで、やや湿り気を与えたケースの中に10日間ほど放置しておいたところ、ケースの底にようやく胞子紋が落ち始めていた。写真(a)は採取していない。 | ||||||||||
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先日(4/21)船橋県民の森でやや大型のチャワンタケを採取した(a, b)。落ち葉の間に一つだけでていたものだ。基部には紫色の菌糸が見られるが(c)、胞子はほとんどできていなかった。ダメで元々と思いつつ、シャーレに濡らしたティッシュペーパーを置き、その上に子実体を放置しておいた。ほぼ1週間経過すると、子実体から間欠的に煙のようなものが放出される。どうやら子嚢胞子ができあがったようだ。形も採取時とはずいぶん変化した(d)。 子嚢盤の断面をみると、托実質は二層からなり、上部には球形細胞が密集する。いわゆる円形菌組織の一種だろうか。下部との境界部は明瞭で、下部から托外皮あたりまでは菌糸が絡み合っている(e)。メルツァー液で封入すると、子嚢上半部がきれいな青色に変わった。先端付近は特に色が濃い(f, g)。楕円形の胞子表面は微疣におおわれているようだ(h)。 |
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顕微鏡の視野のなかでは、子嚢先端から頻繁に胞子が飛び出していく様子がよくわかって面白かった。胞子を放出してしまった子嚢には蓋がぶら下がったように見える。 雨の朝、暗いうちから鳥たちのささやきとカエルの合唱が賑やかだ。 |
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早朝三春町の瀧桜を鑑賞に家を出た。わが家から片道約75km。観光客と通勤車の渋滞を避けて、まだ暗い早朝4:00に家を出発。霧雨が降っていたが、三春町に入る頃には止んでいた。三春町は老齢の美事な桜がとても多い。中でも極めつけは樹齢千年以上といわれる瀧桜だ。現地に到着したのはam5:40頃だったが、既に大勢のカメラマンや観光客がいた。 桜詣を済ませたあと、桜並木と手頃な斜面を探して何ヶ所かに車を駐めた。目標のキノコはオオズキンカブリタケ。景観からこれはと思える場所があった。車を止めて数歩あるくと、樹下の斜面には200本以上の子実体が足の踏み場もないほどに乱立していた(a, b, c, e)。さらにその下の草むらを見ると、そこにも100本以上の子実体が出ていた(d, f)。 |
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これまでにも数十本のオオズキンカブリタケの群生には出会ったことがあるが、これほど多数の子実体が乱立する姿は初めてだった。おまけに福島県に転居してからは初めての出会いでもあった。成熟の程度も適切であり、非常に恵まれたタイミングだった。菌類レッドデータリストでも、情報不足(DD)というランクで再調査の対象となっている。今回は乱獲の恐れを気にすることなく、良質の標本を採取することもできた。 | |||||||
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先日カンムリタケの出始めを確認した場所(雑記2012.4.19)とは全く別の所でも、カンムリタケが発生しはじめていた(a〜c)。ここはマツ混じりの広葉樹林だが、近年松枯れがひどくて、環境が大きく変わってきている。子実体はやや若くまだ十分な大きさにはなっていない(d)。 胞子紋は落ちなかったが、子実層を切り出してみると胞子がかなりできていた。メルツァー液で子嚢先端の孔が鮮やかな青色に染まる(e, f)。子実層が完成するのはあと1〜2週間ほど先になりそうだ(雑記2009.5.10、同2007.5.9)。 |
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急に暖かくなったせいか、室内にカメムシやらハチが遠慮会釈なく頻繁にとびこんでくる。カメムシは迂闊に踏んづけると何とも嫌なにおいを出す。昨日は廊下で30匹以上捕らえた。庭では鳥ばかりでなく、カエルの鳴き声がやかましくなり始めた。 | |||||||
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先日採取した子嚢菌は全く胞子を作っていなかった。フクロシトネタケの仲間は長径が14cmほどあり、子嚢盤表面は粉を吹いたように見えたので、当然胞子を放出していると思った(a, b)。カバーグラスの上に一晩伏せて置いたが、胞子紋はとれなかった。子実体を切り出してみると、できはじめの子嚢こそあれ、胞子は全く見られなかった。シャグマアミガサタケも同様に胞子はできていなかった(c)。今日か明日にでも現地に出直しだ。 今朝ふと裏の小沢の畔のニリンソウ群落をみると、いたるところで草がなぎ倒されていた(e)。よくみると、イノシシの通過した跡だった(d)。昨日までは、土の上を行儀良く通っていたようだが(f)、ついになりふり構わずどこでも歩き回るようになったらしい。表の庭も新たに何ヶ所かほじくり返されている。何らかの次なる対策を講じなくてはなるまい。 |
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気温が上がりはじめたおかげで、日中は指先のレイノー症状がやや軽くなり始めた。そこで、ファンヒーターを点火しながら、さくらのハルシメジを観察してみた。 船橋県民の森でサクラ樹下に3〜8本くらいずつ束生して足の踏み場がないほどだった(a)。採取したばかりの子実体のヒダは淡褐色だったが(b)、一晩経つとヒダは暗肌色〜暗桃色に変色し、明るいピンク色の胞子紋が落ちた(d)。ヒダの付き方は直生〜上生。カサは凹状に広がるが、中央は市女笠状に軽く突出する(e)。グアヤクチンキでは呈色反応なし(f)。 |
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胞子は典型的なイッポンシメジ型で(g, h)、ヒダにシスチジアはない(i)。なお濃硫酸では胞子の壁が変形するようだ。担子器の基部にクランプ無し(j)。カサ表皮は水で封入すると並列に走っているが(k)、KOHで封入すると斜めに立ち上がって見える(l)。カサ肉にも柄にもクランプは見つからない。さくらのハルシメジを観察したのは久しぶりだった(雑記2009.4.29)。 ファンヒーターで暖められ室温が摂氏18度まで上がったが、すぐに指先が白色に変色して冷たくなり、硬直化と痛みのため細かな操作ができなくなってしまう。結局今日も実体鏡を使った解剖作業は途中で放棄して、簡易ミクロトームに頼るしかなかった。日中の気温が20度を超えないと、精密機器やカメラなどのまともな操作は難しい。 |
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昨日午前中、千葉県船橋市にある県民の森(a)を散策してきた(a)。イチョウとサクラ樹下にはアミガサタケがいたるところで見られた(b, c)。編み目の内側が黒色、淡いクリーム、全体が白色と三通りのタイプがあった。また、いわゆる「サクラのハルシメジ」も無数に出ていた。数百本はありそうだった(e, f)。シイ・カシ林の落ち葉のしたにはベニタケ属のきのこが出ていた(d)。カラムラサキハツなどに近い仲間のようだ。
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午後からは日本菌学会関東支部の総会・講演会に参加した。「ミュージアム―アマチュア―アカデミアが連携して探る菌類の多様性」というテーマで三題の話題提供講演があり、国立科学博物館の保坂さんの話が特に興味深かった。また、久しぶりに多くに知人・友人らに会うことができ楽しい一日となった。大阪の「お忙が氏」など遠方からの参加者も多く盛況だった。 軽自動車のラジオで、NHK FM放送「ラジオマンジャック」の最後の15分ほどを聞きながら日大薬学部を後にした。国道六号線をトコトコと走って、帰り着いたのは零時直前だった。軽自動車で一般道ばかりを走って一日450kmはやはりちょっとしんどかった。 |
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腐りきって土の塊のようになったシイタケほだ木からナヨタケ属 Psathyrella らしききのこが多数、束生していた(a, b)。吸水性が強く、乾湿でかさ表皮の色が全く変わる(c)。胞子紋は紫褐色(d)。胞子は濃硫酸でスレート色に変わり、明瞭な発芽孔をもつ(e, f)。縁シスチジア(g)、側シスチジア(h)があり、クランプは豊富にみられる(j)。側シスチジアの先端にはクリスタル状の付着物をもったものがかなりある(i)。かさ表皮は薄膜で嚢状から細胞状の組織からなる(k, l)。 先日の雑記(2011.4.17)で取り上げたきのこと同一種と思われる。両者の間に有意の差異は感じられない。たぶんどちらもムササビタケとしてよいのだろう。 |
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今日は千葉県で日本菌学会関東支部の総会がある。これに出席するために早朝4:00には車で出発する予定。一般道を走るのでかなり時間がかかりそうだ。帰宅は明日。 | |||||||||||||
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