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昨日早朝、チェーンソーなどを軽自動車に積んで田村市の林道に出かける準備をしていた。出発前に念のためにメールをチェックすると、科博の某H博士から前夜遅くにメールが入っていた。そこには19日(土)に福島・茨城県境のブナの森に入るとあった。そこで急遽予定を変更。きっとあそこに出現するはずだと見当をつけて北茨城市の林道に向かった。 予測は大当たりだった。細い林道に入り、そこから分岐するラフの狭い道を進むと、見たことのある黄色いジャケット姿が目に入った。そこでは目的とするキノコの採取は困難だとわかったので、直ちに100kmほど離れた吾妻連峰の土湯峠に向かうことになった。 |
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勿来インターから高速に乗った。標高1,200m付近ではちょうど水芭蕉が最盛期だ(a)。ブナの森にもぐり込み這いつくばって、三人でキノコ探しとなった(b, c)。例年ならブナの殻斗から白い盤菌が多数出ているはずなのに、今年はなぜか非常に少ない(d)。 とりあえずセシウム計測に必要な最低限の量は確保したので(e)、とりあえず満足して土湯の山中で分かれた。まさか土湯峠に上るとは考えてもいなかったので、非力な軽自動車で400km弱を走ることになった。車載のスコップやチェーンソー、鉈を使うことはなかった。 |
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いわき市の平から四ツ倉にかけて広がる新舞子浜は、昨年3月の大津波で甚大な被害を被ったが、瓦礫がようやく片付き復興へ向けての動きが少しずつ見えてきた。浜にも緑がよみがえり(a)、アカマツ防風林にもきのこの姿が見られるようになってきた。よくみると、アミタケ(b, c)やマツ球果から出るクヌギタケ属(d, e)はよく出ていた。小さなGerronema(ヒナノヒガサ属)やGalerina(ケコガサタケ属)の仲間もよく出ている(f)。
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かつてウネミケシボウズタケが出た浜には、ハマナスやハマエンドウの花が咲き誇っていた。少し歩いてみた限りではケシボウズの仲間は見つからなかった。 | |||||||
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近くのシイタケほだ場は昨年の原発事故以来放置されたところが多い。古いほだ木からはいろいろな盤菌類がよくでる。いわき市に転居して以降寒い時期から、頻繁に見回るほだ場がいくつかできた。昨日もそのうち二ヵ所ばかりに立ち寄ってみた。 フクロシトネタケ>やオオシトネタケの発生からやや遅れて、4月頃から小さな薄い盤菌がやたらに目立つようになった。5月2日にはまだとても小さく径0.5〜1cmだったが(a)、昨日は径2〜4cmほどに成長していた(b)。比較的成熟していそうな子実体を持ち帰ったが、胞子紋はほとんど落ちなかった。成熟まではもうしばらくかかりそうだ。 ほだ場にはハラタケ型の担子菌はまだ少なく、ムササビタケ、イタチタケ、ウラベニガサ類のほかには、新たにヒメスギタケ属のようなちいさなきのこ(c)、フミヅキタケ(d)などが出てきだした。 |
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ほだ場近くの湿った場所にはカンムリタケが多数でている。カンムリタケというと、多くはへら型の頭部をもっているが、ここで見られたのは、丸い提灯型の頭部をもったものばかりで、へら型の頭部をもったものはとても少なかった(e, f)。 | |||||||
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今まで使用していたカメラCaplio R7が壊れてしまい、Caplio GX100に変えた。カメラの基本的な知識のない者のとっては一大事である。使い始めはまあまあの撮影ができていたのだが、大好きなクロチャワンタケの仲間の撮影でハマッてしまった(c)。しかし、大失敗のお陰でカメラ操作が大進歩した。 失敗は成功のもととはよく言ったものだ。先日はオオズキンカブリタケの写真をすべて消去するという大失敗もした。SDカードの全消去をしてしまったのだ。この時は珍しく気合がはいった撮影をして多くの枚数をとっていたのでしばらく立ち直れなかった。年齢とともに適応性は落ち、もちろん記憶力も落ちている。しかし、「変化」でボケ防止をしていると思い、精進あるのみである。 |
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今回出会ったクロチャワンタケ仲間の髄層は絡みあい菌糸(d, e)、外皮層は縦長の円形菌組織で外側ほど小さな円形と思えた(f)。クロチャワンタケかニセクロチャワンタケと思ったが違うようである。本郷図鑑、"Discomaycetes etc."(HPサイト)、日菌報の大谷吉雄博士の記載をみると外皮層の構造に違いがある。球形の胞子に油球はないとみたが厚壁なのか油球とみるのかこれも疑問である(g)。写真撮影をしてみて大きさの計測をするのにどれが一番適した写真なのかも自信がもてない(h)。 クロチャワンタケの仲間 Pseudoplectania sp.としてよいようだ(i, j, k)。 (Y. A.) |
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先日自宅借家の庭に散生していたハタケキノコ(a〜c)は胞子紋を取ったのち、乾燥器にかけたまま放置してあった(d)。標本箱に納める前に検鏡した。乾燥したきのこはちょっと触れると簡単に崩れてしまう。何とかヒダを一枚取り出してスライドグラスに寝かせて検鏡し縁を眺めた。多数の胞子に邪魔されて縁シスチジアの有無や形態を確認することはできなかった。 ヒダの断面を切り出して先端を見たがやはり縁シスチジアの様子は全くわからない(f)。ヒダ実質は並列型で(g)、菌糸にクランプがあることは確認できる(h)。押しつぶした訳でもないのに、なぜか胞子がやたらに壊れている(e)。ヒダをフロキシンで染めてKOHで封入し押しつぶしてみると、担子器(i)、縁シスチジア(j)が見つかった。かさ表皮の様子は水(k)で封入してもKOH(l)でも明瞭に捕らえることはできなかった。 |
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フミヅキタケ属やヒトヨタケ属などのように胞子を多量に放出するきのこでは、エタノールなどで胞子をある程度洗い流してからヒダの縁を観察しないと、シスチジアの有無や姿形などを確認するのが難しい。担子器と同サイズのシスチジアをもつハタケキノコなどは特にそうだ。 | |||||||||||||
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つい数日前頃から、標本室の扉を開けると異様なカビ臭さが鼻をつくようになった。この部屋は北側に面して窓が一つあるだけだ。乾燥剤をいれたチャック付きポリ袋入りのきのこ標本には今のところ異常はなかった。しかし、コケ標本を収納している紙製の箱が湿気で波打ち、乾いていたはずの標本が湿っている。いくら強い抗菌作用があるコケといえどこれはまずい。 標本室の扉と押し入れを開けっ放しにした。それでも1時間後にまだ湿度84.3%もあった。このとき他の部屋はどこも湿度55〜65%だった。このまま梅雨を迎えると標本が全滅しかねない。人間は暑さと高湿度に耐えることができても、標本は黴びてダメになってしまう。あきらめて木造六畳用の小型除湿器を購入した。ところが標本室には電気コンセントの受け口がない。他の部屋のコンセントから延長コードで引っ張ってくるしかない。 [memo] 昨日フォレスターのタイヤをスタッドレスからノーマルタイヤに交換した。広いスペースでのんびり作業ができたので、比較的楽に作業が完了した(雑記2011.12.3、同2010.5.11)。 |
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日光に行ってきた。今年は春が遅く、ヤマザクラがようやく開花を迎えはじめていた。モミの林ではシャグマアミガサタケが多数発生していた(a〜c)。例年ならばゴールデンウイークの頃に最盛期を迎えるのだが、今年は1週間から10日ほど遅い。オオシャグマタケは全般的にまだ未熟で小さな子実体が大部分だった(d〜f)。オオシャグマタケはこれまでカラ松林によく見られたが、今年はカンバの腐朽木やその周辺によく出ていた(f)。 5月3日の大雨以降、降雨が非常に少なかったせいか、タモギタケがすっかり乾燥して淡褐色になっていた(g, h)。全般的にはまだ大部分が小さな幼菌だ(i)。中禅寺湖畔の小さな池では今年も蚕の繭のような形をしたクロサンショウウオの卵のうが見られた(l)。 市街地近くではちょうどキツネノワンとキツネノヤリタケがよく発生していたが、なぜか今年の子実体はいずれも非常に小さい(j, k)。キツネノヤリタケは5〜15mmほどのものばかりだった。 |
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わが家から見上げる位置にお隣さんの守護神が祭られている。社はスダジイとシラカシの老木に守られるように、急斜面に鎮座していてわが家からは見上げる位置にある。主の許可を得て隣家の庭から急斜面を登った。いかにもカンゾウタケが出そうな老木だが、昨日の時点ではきのこの姿はなかった。社からはわが家に続いて、のどかな田園風景が広がっていた。 その後、今度は自宅裏山に登り、イノシシの獣道をたどって尾根筋を走る林道に出た。ウメの樹下にはハルシメジが見られ、帰路の広葉樹林ではカベンタケモドキらしききのこが出ていた。 |
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今日はこれから日光に向かう。川口時代と比べると、道路距離にして80〜100kmほど遠い。往きは高速を、帰路は一般道を使う予定。久しぶりにフォレスターでの遠出となる。 | ||||||
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いわき市に転居してから、広い庭にはいくつものキノコが出ては消えていった。切り株や腐朽木からはMycena(クヌギタケ属)、Auricularia(キクラゲ属)、Xeromphalina(ヒメカバイロタケ属)、地表からはParasola(ヒメヒガサヒトヨタケ属)、Galerina(ケコガサタケ属)などが見られた。 今朝は草刈りをしていると、ムジナタケ(a〜e)、ハタケキノコ(f〜j)が散生していることに気づいた。カサ表皮からだけでは子実層がヒダなのか管孔なのか、あるいはツバの有無など、わからないことがある。ふだん野外でキノコを観察する場合、ポケットミラー(小さな鏡)でカサ裏などを確認してから、撮影したり採取するか決めている(b, c; g, h)。 |
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数分間ミラーを放置しておいたら、鏡の表面にはムジナタケの胞子紋がうっすらと膜を作っていた。ハタケキノコの方はというと、数分間では胞子の薄膜はできなかった。 | |||||||||||
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路傍の落ち葉の間からスジオチバタケが多数顔をだしている。このキノコを検鏡したのはずいぶん前のことで、今や何も記憶に残っていない(雑記2007.5.24、同2005.6.20)。10本ほど採取したので、胞子紋を取り(d)、顕微鏡で覗いてみた。 保育社図鑑ではスジオチバタケはホウライタケ属シバフタケ節のキノコとされ、節の属性として「実質の菌糸は偽アミロイド」とある。しかしヒダ実質は偽アミロイドではなく非アミロイドだ(h)。カサ表皮の細胞は、平滑なアドバルーン状の細胞が柵状に並ぶ(k, l)。 |
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べーサルクランプを確認しようと担子器を探した。撮影記録にはステリグマ(担子小柄)のついたものを残したい。短時間で多量の胞子を落としているから、担子器は豊富にあるはずだ。ところが、いくら探してもステリグマをもった構造物がなかなかみつからない。やっとのことで見つけたが基部の様子がどうもはっきりしない(j)。クランプはどこにでもある。 [memo] はじめて行った歯科医院(草野駅前)だったが、好印象を得て帰ってきた。過剰な医療行為などは全くなく、直ちに破損した入れ歯の補綴作業にかかってくれ、30分後には以前と同様に使えるようになった。不便を強いられたのは一日半だけですんだ。ただ、4年前より歯肉が落ちているため、そう遠くないうちに新たな入れ歯を作らねばならないようだ。 |
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