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(a)と(a')のきのこはしいたけほだ場のかなり腐朽のすすんだ材より発生していた。かなり接近して発生していたが、子嚢盤の色の違いから同一種としてよいか悩んだ。子嚢果の構造は同一のようである。子嚢の大きさ、形状も同じ。側糸はどちらも先端がやや膨大して糸状である。胞子は楕円形、微いぼがあり、大きさに若干違いがあるがQ比はどちらもほぼ1.9であった。顕微鏡観察の結果では同一種としてよいようだ。 |
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子実体の色が藤色を帯びていたのでフジイロチャワンタケではと思ったりしたが、大谷吉雄によるフジイロチャワンタケの記載(Bull.Natn.Sci.Mus.,Ser.B(Bot.),5(2),June22,1979)と比較すると子実体の色、柄の有無、髄層の菌糸構造、側糸の形状が明瞭に異なっていた。 (Y. A.) | |||||||||||||
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昨日は午後からずっと雨。今朝も霧雨が降っていた。ふと庭の隅の斜面をみるとフミヅキタケ属のきのこがいくつか出ていた(a〜d)。幼菌には軽いヌメリがある。柄にツバはなく内部は中空だ(e)。数分間で黄土色の胞子紋が落ちた。胞子には発芽孔がある(f)。 ヒダを寝かせて縁を見てもよくわからなかったが(g)、倍率を上げてコンデンサ絞りをやや強めに締めると縁シスチジアが多数ある(h)。そこでヒダの断面を切り出してみた(i)。どうやら側シスチジアはなさそうだ。ヒダの縁付近を少しつまみ出し、フロキシンで染めてKOHでバラしてみた。縁シスチジア(j)、担子器(k)等がよく分かる。ベーサルクランプを持った担子器もある。カサ表皮は菌糸がゴチャゴチャしていてよく分からない(l)。ハタケキノコらしい。 |
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傷んだサツマイモを五つに切って庭に放り出しておいた。これまでの例だと、すぐに狸が持ち去ってしまうのだが、今回は少し違っていた。二切れが消えていたが、10m程離れた場所にひとつ転がっていた。狸も傷んだサツマイモは食わないのだろうか。 | |||||||||||||
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自宅の庭にはいくつかの実験区を設けてある。昨年早くに作ったのがやや湿地めいた乾し草堆肥地帯(a)。ここには昨年ザラエノヒトヨタケやバフンヒトヨタケがよく出た。次いで作ったのが過剰アンモニア環境(b)。六畳間ほどの区画に尿素を30kgほど散布した。周囲と比較して雑草の生え具合が画然と異なっているが、今のところきのこはまだ発生していない。昨年初冬から作りはじめた干し草堆肥はかなり発酵が進んできた(c)。ここにはフミヅキタケの仲間が出た。
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今日新たに馬糞の山が加わった(d)。午前中にサラブレッドの調教センターまで行ってもらってきた。これから梅雨に向かって適度のお湿りが加わるといろいろのキノコが発生することだろう。周辺はみな農家だから庭に馬糞や牛糞を積み上げようと苦情とは無縁だ。 | |||||
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先日シイタケほだ場で採取したチャヒラタケ属をじっくり眺めてみた(a, b)。ヒダの縁をルーペで見ると、どうやらシスチジアがありそうだ(c)。カサ表皮はちょっと見たところ平滑だが(d)、断面をルーペで見ると背着部を中心にわずかに白毛を帯びている(e)。 胞子には微細な粒点(微疣?)があるのだが、撮影してみるとどうも上手く捉えられていない(f)。染色してみればもう少しわかりやすくなるのかもしれない。ヒダを寝かせて縁を見ると透明な縁シスチジアが見える(g, h)。そこでヒダの断面を切り出してみた(i, j)。シスチジアはフロキシンでよく染まる(k)。カサ表皮は平行気味に走る菌糸がベースにあり、随所から濃色のクランプに富んだ菌糸が立ち上がっている(l)。ヒダ実質やカサ肉にもクランプが豊富にある。 |
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保育社図鑑の検索表(p.250)をたどると、クリゲノチャヒラタケかマルミノチャヒラタケあたりに落ちるようにもとれるが、そのどちらとも決め手を欠く。いずれにせよ、基本的に種の同定にはほとんど関心がないから、属名まで分かればそれで十分だ。 | |||||||||||||
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昨日シイタケほだ場で採集したヒメスギタケを素材にして楽しんだ。全般的にまだ大部分は小さな幼菌だった(a)。少し成長した姿は、まるでミニサイズのツノシメジを想起させる(b)。すっかりカサを開いたもの(c, d)と大きく育ったもの(e, f)のヒダにはゴミのようなものが多数ついている。 胞子紋は短時間で多量に落ちた。型通り胞子を見た後(g)、ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみた(h)。ヒダの縁のゴミ様のものの正体は縁シスチジアだ(i, j)。担子器基部の様子はよくわからなかった(k)。カサ表皮や柄表面のゴワゴワした紐状のものは、類球形の細胞が連なってできている(l)。 |
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このキノコが今年最初の標本となった。今年に入ってすでに五ヶ月が経過しているが、実体鏡を使ったり、きのこのプレパラートを作成したのは今日が初めてだった。 | |||||||||||||
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近くのシイタケほだ場に行ってみた。まだ大半は幼菌だがヒメスギタケが出はじめた(a〜c)。四月のはじめ頃から顔を見せていたカバイロチャワンタケがかなり大きくなってきた(d〜f)。やや藤色を帯びたチャワンタケが胞子を噴出していた(g, h)。チャヒラタケの仲間も見られた(i, j)。何ヶ所かで腐朽材から虫草が出ていた。ホストはどうやらアリらしい(k, l)。
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カンゾウタケが出はじめているのではないかと思い、近所の神社三軒を回ってみたが、いずれの神社のスダジイにも赤色のきのこは見られなかった。 | |||||||||||||
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いわき市で暮らそうと思えば、福島第一原発の現況を常に把握しておく必要がある。いまやマスコミ・政府・東電の発表をそのまま信じる愚か者はいない。ときには、いま現在の第一原発を「直接自らの目で確認」する必要がある。原発周辺に設定された「帰還困難区域」からであれば容易に見ることができるのかもしれないが、そこは特定の関係者以外出入りはできない。 そこで随時、第一原発を遠望できる場所まで双眼鏡持参で行くことになる。誰でも楽に見られる場所は一ヵ所しかない。富岡町から川内村に向かう県道36号線の橋の上だ(a)。 周辺の林道に入っても、高所から海側を見通せる場所はない。海が見えるのは標高の低い場所だけで、そこからは建屋の上部がわずかに見られるだけだ(b)。送電線鉄塔への管理道などを20〜40分ほど登ると、まだ多少は様子がわかる(c)。 |
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今日の午前中は大熊町の荒れた林道に入った。路肩や法面は崩れたまま、路面は大きく抉られている。何度か引き返そうと思ったが、進めるところまで行ってみた。途中から第一原発のよく見える場所があった(d, e)。いまや死の町となった町の中心部もよく見はらせた(f)。 マクロレンズと採集用具を持って行ったのだが、どこにもきのこの姿はなかった。 |
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五月に入ってからほぼ連日、自宅から半径50〜60kmまでの範囲を探してみたが、一部の硬質菌を除いてきのこはほとんど見られない。今日の午前中も三ヵ所ほど回ってみた。出会ったのはヒロハシデチチタケの幼菌1本、キチチタケの仲間1本、、アミスギタケの幼菌数本、ネナガノヒトヨタケ数本がすべてだった。海浜・防風林にもきのこはまったくなかった。 先日馬糞堆から持ち帰ったジンガサタケなどは、標本にせず自宅の乾草堆肥の上にばらまいた。また、昨年大発生したアオキオチバタケはまったく姿を見せていない(2012.5.10)。シイタケほだ場ではカバイロチャワンタケしか見られず、ヒメスギタケの姿はない(2012.5.27)。 |
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馬糞堆肥を分けてもらいに60Kmほど離れた小野町まで行ってきた。そこはサラブレッドのトレーニングセンターで、国道からわずかにはずれた場所にある。案内標識には「サラブレッド 馬糞堆肥おわけします」との表示もある(a)。センターには広大な馬場が広がっている(b)。センターの外には随所に馬糞堆があり(c)、やや離れた場所に大型の肥料製造工場がある。 馬糞堆からはジンガサタケなど数種類のきのこが出ていた(d)。肥料製造工場の一隅に軽ダンプを駐めて馬糞肥料を積み込んでもらった(e)。自宅の庭に降ろしてみると(e)、黒々とした上質の堆肥で臭いもほとんど感じられず、馬糞の面影はまったくない。 |
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2tダンプを探したのだが、結果としてレンタルできたのは軽ダンプだった。荷台は小さくタイヤは大きな負荷には絶えられない。やむなく現地まで二往復した。最終的に得られた堆肥は、たかだか600kg程しかない。2tダンプなら、一往復でこの3倍の量は持ち帰ることができたろう。 来週にはあらためて馬糞そのものを貰うことになった。さらに、近場の畜産農家から牛糞堆肥を1〜2tほど分けてもらおうと思っている。馬糞と牛糞では出てくる菌にも相違がある。 |
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国道六号線の南相馬市側と小高区の様子を知りたいと思い、早朝いわき市の自宅を出発した。原発事故前には、国道六号線経由でいわき市の自宅付近から南相馬市の小高区までは50kmもなく一時間もあれば楽に到達でき、途中にはキツネノサカズキの発生地もあった。 現在は六号線の浪江町部分が閉鎖されているので、内陸側に大きく迂回しなければたどり着けない。最短距離を選んで走ったが、四角形の三辺を辿るようなルートとなり165kmにもなった。南側と同様に境界には開閉式のバリケードが設けられ、警察官が通行許可証の有無を確認していた(a)。ふと頭上を見上げるといわき市まで56kmの標識があった(b)。 国道周辺の枝道や林道にはガードレールによるバリケードが設置され、バイクでの進入も困難となっている。津波被害地域では大きな瓦礫こそ片付けられたが、取り残された車や破壊された家屋は二年前のまま何も変わっていなかった(c)。 |
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半年ぶりに、昨年高線量を示していた小高区の県道の終点まで行ってみた(雑記2012.9.8)。車中での線量は18〜25μSv/h。外に出ると地上1m付近で30〜40μSv/hに上昇した。線量計を地表に置くとたちまち40〜80μSv/hにまで上昇した(e)。昨年9月ほどではないにしても周辺は非常に高線量地帯となっている。きのこは乾燥したキクラゲくらいしか見あたらなかった。 南相馬市から福島県最北部の伊達市に向かい、霊山登山口の駐車場から山を見た後(f)、梁川町の港屋漢方堂薬局に寄ってから帰宅した。総延長400kmの行程だった。 |
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来月東京で開かれる日本菌学会57回大会(6月8/9日)に参加するため、東京の宿を決めた。会場が東京農大なので新宿にビジネスホテルを予約した。宿泊予定日より一ヶ月以上前に宿を予約するなどここ何年間もなかったことだ。 ゴールデンウイーク最終日の今日は集落の農家もすっかり静けさを取り戻した。庭には随所に子嚢菌が何種類か顔を出しているが、不思議と黄色系のきのこがない。裏山のウドは細いまま伸びてしまい、良質の若い山菜は少ない。しかし今夜はたっぷりウドを楽しめそうだ。 |
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ゴールデンウイークの5月2日〜4日は専ら室内で子嚢菌の観察研修。東京、神奈川からやってきたメンバーと共に、今年はじめて顕微鏡を覗いた。賑やかな三日間だった。集落の農家では帰省した家族と力を合わせて田植えをする風景が至るところで展開している。 ゆえあって岳温泉まで行ったので、雪の消えたスキー場の斜面を歩いてみた。目的はCalocybe属の担子菌だったが、残念ながら今年も出会えなかった。スキー場の斜面が一面に明るい紫色を帯びていたので近寄ると、カタクリの大群落がどこまでも広がっていた。幅30m超、長さ300m超の斜面一面にカタクリが花をつけていた。踏みつけずに歩くことはほとんど不可能だった。随所にショウジョウバカマやモミジガサの群落が多数混じっていた。 |
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マスコミ報道では高速道路がはげしく渋滞しているという。しかし、いわき市から二本松市までの今日の行程250kmに渋滞はなく、平均時速はほぼ50kmで走ることができた。蛙の鳴き声が姦しい季節がやってきた。 | |||||||
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