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先日近場のスギ林で採取した小さなゼラチン質の白色のきのこ(a, b)を顕微鏡で覗いてみた(雑記2013.6.18)。冷蔵庫に入れた置いたが引っ張り出すとやはり縮れていた。無理を承知でヒダとカサの断面を切り出しを試みた。何度も失敗して多数の無残な切片を切り出して、ようやく何とか見られる状態のものを切り出すことができた(c)。 予測通りヒダにシスチジアは無い(d)。カサ表皮は菌糸が並列に走っているが(e)、切る方向を90度かえると、パイプ状(細胞状)の菌糸が重なっているように見える(f)。胞子紋はほとんど落ちなかった。子実体の断面をメルツァー液で封入したときに胞子が密集している部分が、何となく灰青色を帯びているように見えた。弱いアミロイドのようだ。 |
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今am3:00、これから日光へ。いわき市から日光までは遠い。おまけに今の時期、奥日光はクリンソウ騒ぎのため駐車場もバスも異常な混雑を呈する。それにしても、花壇に栽培されたクリンソウを観賞するために、あれほど多数の人が足を運ぶとは! | |||||||
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やっと庭にきのこが出始めたなと思っていたら、次から次へといろいろなきのこが出てきてしまって、おおあわてで観察している。 草地のちょっとした斜面に群生しているきのこを、「ハタケキノコだと思うよ」と言われて観察を始めた(a)。顕微鏡観察後『保育社図鑑』で検索したのだが、検索表(pp.20-23)の [23.] 以降で行き先を失ってしまった。そこでハタケキノコという名称から逆検索をしてして、その結果 [21.] のオキナタケ科にたどりつき、[18.] のカサの上表皮構造の判定で間違ったらしいことに気付いた。 今回の検索の運命の分かれ道は切片作りで苦労したカサの構造である。何回切ってもうまくいかず、上表被を毛状被だろうと思い込んでしまったのが間違いであった(b)。 自分の顕微鏡写真を見直すと球状のへんな細胞が撮影されていた(c, d)。[18.] 「カサの上表皮はいちじるしくふくらんだ細胞を構成要素に持った柵状毛被、子実層状被、または単細胞被からなる」とある。 更に [21.] で「カサ上表被は柵状毛被または球のう状の単細胞被」という表現がでてくる。どうもこれにあたるようである。縁シスチジアはあるが側シスチジアはない(e, f)、子実層托実質は並列型(g)、担子器は4胞子性(h)、菌糸にクランプがあり(i)、胞子は平滑、発芽孔がある(j)。 |
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ということでオキナタケ科フミズキタケ属ハタケコガサタケ節ハタケキノコにやっとたどりついた。毎度ながら検索表には苦労する。 (Y. A.) | |||||||||||
一昨日、東北地方も梅雨入り宣言。昨夜からようやく雨らしい雨が降り出した。今朝も雨。庭の馬糞堆からはオキナタケの仲間も出はじめた。 石森山の遊歩道にはトイレ付きの小さな駐車場がいくつかある。自宅から2.5Kmほど東に向かうとその一つにぶち当たる。周辺には広葉樹の林が広がり、足元は苔むしている。最近はここもイノシシのために、コケが無残に引きはがされすっかり荒れ果てている。 昨日霧雨の中、この駐車場の周辺を歩いてみた。アオキオチバタケがやっとでてきた(k)。昨年より一ヶ月以上遅い(雑記2012.5.10)。ヒナノヒガサ(l)、ケコガサタケ(m)、シロヒメホウキタケ(n)、ロウタケ(o)、クロノボリリュウタケ(p)などが多数みられた。 (I. A.) |
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自宅周辺の神社仏閣を回ってみた。少し前には何もなかったスダジイ老木からカンゾウタケがでていた(a, b)。一部に老菌も見られたが、大部分はまだ若い菌ばかりだ。関東地方では四月後半から出はじめるが、いわき市ではこんなものなのだろうか。 フラワーセンターの遊歩道脇には大型のアセタケ属が(c, d)、スギ林の苔むした腐朽材からはゼラチン質の小さな白色のきのこが見られた(e, f)。自宅の庭や近くの道脇からは大きなツルタケの仲間のきのこが目立つようになった。でもまだきのこの姿は少ない。 |
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昨日は気温も25度まであがり、日影は涼しくとも、日中の直射日光下では暑さを感じる一日だった。昨日も早朝馬糞堆の上一面に出ていたヒトヨタケ類はam9:00頃には大半が溶け出して、昼前にはただの黒いシミだけが残った。その周辺には、翌朝カサを広げると思われる白くて毛むくじゃらの幼菌が多数、頭を見せていた。今朝もそれらが乱立している。 | |||||||
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6月1日にいわき公園で観察したきのこである(a)。今年は少雨と低温のせいで発生が非常に少なかったようだ。いままでチチタケ属のきのこは乳液が邪魔して切片作りに時間がかかってしまうためあまり観察していない。 とりあえず実体鏡の下で切片作りをして何とか見られる程度にはなった。縁シスチジアはひだの押しつぶし法で確認できたが(b)、ひだ切片の薄切りは出来ずこの程度の切片がかろうじてであった(c, d)。チチタケ属の子実層托実質が並行菌糸であるのを再認識した。 |
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ベニタケ科はすべて子実層托実質が球形細胞であると思いこんでいた。胞子の表面模様はメルツァー液で翼状隆起がはっきりとする(e)。この表面模様はInkscapeで描画しようとしてうまくいかなかった胞子である。画像は、担子器と側シスチジア(f)、傘の菌糸(g)と上表皮(h)。 (Y. A.) | |||||||||
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昨日午後近くの石森山に行ってみた。大型菌も少しではじめた。ベニタケの仲間、イグチの仲間、イタチタケの仲間、などが見られた。なぜか引っこ抜かれて放置されたものが目立った。きのこに目をとめたものの「食えない」との判断で棄てれらたのかもしれない。持ち帰ったのは三点だけだった。チチタケ属(a, b)、イッポンシメジ属(c, d)、ホウライタケ属(e)だ。 庭の芝にはヒメヒガサヒトヨタケ属のきのこが至るところに出ている(f)。馬糞の上からは相変わらず多数のヒトヨタケ類が出るが、綺麗な姿を保っているのは日の出直前の20〜30分くらいで、明るくなってしばらくするとカサが溶け出したり、柄が曲がって倒れたりし始める。午前10時頃にはほとんどが崩れて倒れてしまう。夕方になると、きのこの痕跡はほとんど消え、随所に暗色の紋が残るだけとなる。 |
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今朝はam4:00に繊細なヒトヨタケ属(g)の開花寸前のつぼみ(h)を採取して検鏡を試みた。既に幼菌ではないので、カサに触れると簡単に崩れてしまう。ピスに凹みを刻んでそこにきのこの頭部を挟み込み、ボルトナット・ミクロトームで切り出した(雑記2013.6.15)。 スライドグラスに水道水を滴下しそこに切片を浮かべた(j)。カサ表皮が薄膜で1〜2層の球形細胞からなること、ヒダの縁が胞子で真っ黒であることなどがよくわかる。しかし、カバーグラスをかぶせた瞬間に事態は急変した。カバーグラスの重さで組織の大半が潰れてしまった。かろうじて撮影したヒダ(k)とカサ表皮(l)はなんとも中途半端なものになった。 やはりこの仲間のきのこの検鏡には幼菌の採取が必須だが、今朝は既に幼菌はなかった。採取した蕾(h)も切片を作り始めて20分もしないうちに、すっかり開いてしまっていた。 |
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ザラエノヒトヨタケなどのヒダやカサ表皮の構造を知るためには、まだ蕾状態の幼菌を切り出せばよい。しかし、蕾を縦断したものを実体鏡の下で薄切りにするのは意外と難しい。そこで、簡単に薄切りするにはボルトナット・ミクロトームを活用すればよい。 ここではネナガノヒトヨタケのカサ表皮とヒダ断面の切り出しをやってみた。馬糞上にわずかに頭部を表しはじめた幼菌を掘り出すと、地下に長い偽根が延びていた。今は柄や偽根は不要なので頭部だけを縦切りにした(b)。このブロックから断面を切り出すことになる。 ミクロトームに挟み込むピスに多少の細工をする。まず二つに切ってしまい、きのこを挟み込むのに適した溝を掘る(c)。ここにきのこのブロックを挟み込んでミクロトームに挿入し(d)、カミソリで薄切りにする(e)。切り出したらピスと一緒にスライドグラスに置いて(f)、余分なピス片を取り除けばヒダとカサ表皮の薄片ができあがりとなる。カサ表皮に方向性がある場合には、ブロックの切り出し方向を間違えないようにしてピスに挟み込むのは言うまでもない。 |
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昨日の雑記のプレパラート(g〜l)もこの方法で作成した。ヒナノヒガサとかフユノコガサのような小さなきのこのヒダ切片を切り出す場合には、この方法は意外と役に立つ。イヌセンボンタケのヒダを一枚だけ実体鏡下に置いて切り出すのは難しいが(雑記2008.10.17)、このやり方をすれば切り出しは比較的楽にできる。 | |||||||
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自宅庭の馬糞堆からは常時5〜8種類のきのこが出ている。しかし最も多いのは旧ヒトヨタケ科の短命で脆いきのこだ。この仲間は成菌になるとヒダやカサ表皮の構造を確認することはほとんど不可能だ。シスチジアすら自ら産生する酵素で溶かしてしまう。 だから成菌を検鏡しても、得ることができるのは胞子に関する情報くらいしかない。つまり各組織の構造を知るには、カサをまったく開いていないつぼみ状態の子実体、つまり幼菌を切り出してみるしかない。つぼみを得るには前日夕方から夜に採取する必要がある。
ところが困ったことに、複数種の幼菌が平気で混在し、薄暗いうちに一気に生長し、日が昇り明るくなる頃にははやくも崩れはじめる。目印でもつけておかないとどの幼菌がどの成菌になったのか判別困難なケースがしばしばある。 |
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この幼菌のヒダはどこまでも同一幅で(g)、先端には透明な縁シスチジアが多数ある(h, i)、つっかえ棒のような役割を思わせる側シスチジアも多数ある(j)。カサ表皮は類球形の細胞が重なっているが、ヒダの頂部近くではやや厚く(k)、カサの縁付近ではとても薄い(l)。
以上の画像と記述は昨日夕方のもの。以下の画像と記述は今朝のものだ。
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今日の早朝am4:30に昨日番号をつけたきのこを見ると、すっかり大きくなってカサは溶け始めている(m)。雨でカサの崩れはより早まったようだ。同じ種でもカサ表皮の姿は色々だ(n)。 早朝は、カサがまだ完全には崩れていないので、カサ表皮中央部(o)やヒダ面(p)はルーペでみるとまだ整然としている。ルーペでみて光っているヒダの部分を、実体鏡でみると透明な側シスチジアだとわかる(q)。同じ部位を顕微鏡で見た(r)。 |
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一昨日シイタケほだ場で採取した小さなPluteus(ウラベニガサ属)を覗いて楽しんだ(a, b)。採取から三日目に入り、ヒダやら柄がフニャフニャになって、切片の切り出しにひどく難儀した。胞子紋だけは採取した当日に採取したので、胞子はすぐに検鏡できた(c)。類球形の胞子についた暗赤色のゴミ粒のようなものは、担子小柄からはずれた時の突起部分だ。これは胞子表面に合焦するとはっきりとわかる(d)。 ヒダは最初実体鏡の下で切り出しを試みたが、ことごとく失敗した。かろうじて何とか見られる切片がいくつかできたがお粗末なものだった。そこで簡易ミクロトームを使ってみたが、やはり上手く切り出せなかった。これまた情けない切片だった。 そこで3〜4枚のヒダをまとめて簡易ミクロトームに挟み込み、カミソリの刃を新しいものに交換した。そこで何とか切り出したのが画像(e),(f)だ。これとて厚すぎて、とても納得できるものではないが、ウラベニガサ属特有の逆散開型のヒダ実質は何とか読み取れる(e)。 ヒダを寝かせて縁を見ると縁シスチジアが見えるが透明でとても見にくい。そこでフロキシンを注ぎ込んで撮影した(g)。縁シスチジア(h)、側シスチジア(i)は多量にある。ところが担子小柄を備えた担子器がなかなかみつからない。ほとんどの担子器らしき組織に小柄がついていない。小柄はとても短く目立ちにくい(j)。 カサ表皮の組織は匍匐する菌糸の随所で先端の一部が立ち上がっている(k)。暗褐色の色素で染まっている。柄のシスチジアには濃い色素を帯びたものは少ないようだ(l)。 昨年6月にシイタケほだ場でみたPluteusとよく似ている(雑記2012.6.9、同2012.6.8)。 |
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庭の馬糞からは、昨日早朝からジンガサタケと思われるきのこも出はじめたが、今朝は既に倒れかけている。今朝の馬糞堆もヒトヨタケの仲間の乱立でとても賑やかだ。一方、尿素を多量に散布したアンモニア環境からはザラミノヒトヨタケが出はじめた。 | |||||||||||||
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昨日シイタケほだ場で、ボロボロになったほだ木から出ていたAgrocybe(フミヅキタケ属)のきのこを検鏡してみた(a, b)。肉眼的特徴や胞子からはフミヅキタケそのものに思えた。封入液を過剰にして胞子をみると、上向きになった発芽孔が明瞭にわかる(d)。 ヒダの縁をルーペで拡大してみると、縁シスチジアがあるのか否かは分からないが、側シスチジアがあることは分かる(e)。そこでヒダを一枚寝かせて縁を顕微鏡で見たが、縁シスチジアの存在はよくわからない(f)。ヒダの断面を切り出して(g)、縁をみてもやはり縁シスチジアの存在ははっきりしない(h)。フラスコ型の側シスチジアは高い頻度で存在する(i, j)。 多くの担子器にはベーサルクランプ(基部のクランプ)はないが、わずかに持つものがある。しかし画像では明瞭に捉えられなかった(k)。カサ表皮は嚢状の細胞が重なっている(l)。 |
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おそらくフミヅキタケなのだろうが、縁シスチジアがほとんどない。複数個体から何枚ものヒダを取り外して、その縁を見たり、断面を切り出して縁をみたが、いずれも明瞭な縁シスチジアは見つからなかった(雑記2010.5.15)。ウッドチップや草地から出るフミヅキタケは何度も見ているが、ウラベニガサなどが出るようなボロボロの材から出る姿をみたのは初めてだった。 | |||||||||||||
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このところ近くの石森山にも、いわき公園にもきのこの姿はまったくない。そこで今日の午後、車で10分ほどの距離にある放棄されたシイタケほだ場に行ってみた。 すっかり大きくなったカバイロチャワンタケがまだ多数みられたが、よく見ると大部分は子実層が崩れはじめている(a, b)。他の種類の大型子嚢菌はもはやみられなくなっていた。 ヒメスギタケが相変わらずよく発生している(c, d)。「ヒメ 姫」の名に逆らうようなカサ径8cmに及ぶ子実体や、高さ2mmほどの幼菌もみられた。 数種類のウラベニガサ属が出ていた。4月以来最もよくみるのは大型で柄がやたらにささくれたものだ(e, f)。カサ径1〜2cmで柄の細いものがよく出ていた(g, h)。おそらく同一種だろうが束生しているものがあった(i, j)。この種が束生する姿はこれまでみたことがなかった。 フミヅキタケ属のツバを持ったきのこがいくつも見られた(k, l)。黄土色から黄褐色のものが多かったが、ほとんど白色の子実体もあった。小さな幼菌も多数みられた。 |
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庭の馬糞堆からはザラエノヒトヨタケをはじめ3〜4種類のヒトヨタケの仲間(ヒトヨタケ属、ヒメヒガサヒトヨタケ属 etc.)が乱立し始めている。コガサタケ属やハタケキノコは相変わらず次々に発生を続けている。日影の流木脇からもザラミノシメジ属(?)らしききのこが出ている。 | |||||||||||||
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