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日( )
2013年8月31日()
 
束生する大きな黄色いきのこ
 
 先日川内村で採取した黄色いきのこを検鏡した(a〜c)。カサ表皮にKOHを滴下するとわずかに暗色となった(d)。ヒダの縁をルーペでみるとシスチジアがありそうだ(f)。そこでヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁を見ると、ボーリングピンのような縁シスチジアが多数ある(g, k)。ヒダの断面を切り出してみた(h)。縁シスチジアはあるが(i)、側シスチジアはなさそうだ。ヒダ実質は並列型(j)。多くの担子器は基部にクランプをもつ(l)。菌糸にはクランプがある。オオワライタケらしい。
 [cf.] (雑記2010.5.24同2009.8.8同2008.6.16同2005.7.1同2003.6.21)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(f)
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(k)
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(l)
(l)
 昨日は今年の夏で最も暑い一日となった。夕方になっても涼しくならず、久しぶりに寝苦しい夜だった。今朝もこの部屋は摂氏28度、湿度73%もある。

2013年8月30日(金)
 
きのこは亜高山帯にだけ
 
 浜通りのいわき市・広野町・楢葉町、中通りの郡山市・二本松市・福島市近郊の自然公園や緑地帯にはほとんどきのこの姿がない。昨日は福島市の標高1,600m以上の亜高山帯を歩いたが、やはりきのこは少ない。それでも20種以上のきのこには出会った。
 まるでウラベニホテイシメジを思わせる大きくてしっかりしたクサウラベニタケの仲間(a)、大型のフウセンタケ属(b, c)、ミズゴケから出るテングノメシガイ属(d, e)、五葉松の下に出たワタゲヌメリイグチ(f)、弱い青変性をもったイグチ(g, h)、傷ついても変色しないイグチ(i, j)、キヒダタケ(k, l)、フサクギタケ(m, n)、ハナヤスリタケ(o〜q)、コガネテングタケ(r)、ベニタケ属5〜6種、キツネタケ属2〜3種、チチタケ属2〜3種に出会った。
 
(a)
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(i)
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(j)
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(m)
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(p)
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(q)
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(r)
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 きのこの発生は中休みのようだ。とにかくどこに行ってもほとんどきのこの姿は見られず、ただ亜高山帯でのみきのこが見られるが、それとてよい状態のものは少ない。

2013年8月29日(木)
 
白鬼茸と庭茸ばかり
 
 雨は降った。気温も徐々に下がりはじめている。しかしきのこの発生は相変わらず芳しくない。近場の寺社林ではシロオニタケばかりが目立つが(a, b)、他のきのこはほとんどみられない。また、楢葉町の高線量地域ではニワタケがやたらによく出ている(c〜f)。

 データベースサーバとして使っているLinuxマシン(2005年製品)が不調。8月半ば頃から、ハードディスクに損傷ありとの表示が頻繁に出てフリーズすることが多くなった。そこで一昨日、他の古いPCで使っていたハードディスクに交換して、バックアップ媒体から再構築した。
 ところがクエリーに対する回答を送り出さなかったり、突然指示(Query)を受け付けなくなったりと、困った症状が頻発する。このハードディスクも損傷ありのようだ。そこで、損傷部をよけて再度物理フォーマットから開始して構築し直した。でも困った症状は止まらない。どうやら問題はハードディスクだけではなさそうだ。あ〜ぁ、これまた気が重い。
 

(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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2013年8月28日(水)
 
コビチャニガイグチとオクヤマニガイグチ
 
 コビチャニガイグチとオクヤマニガイグチに関するメモ。両者は発生環境も肉眼的特徴もとてもよく似ている。市販の図鑑類によれば、以下の諸点が顕著に異なるとされる。

  苦み 肉の変色性 胞子:サイズ(保育社図鑑)
コビチャニガイグチ苦みなし褐変する類卵形:6〜7.5(〜9)×4〜4.5μm
オクヤマニガイグチ苦い変色しない紡錘形:8.5〜14×3.5〜4.5μm

 先日比較した標本に関していえば、(1) 苦みは両者ともほとんど無かった。(2) 肉の変色性については、長時間放置するとコビチャニガイグチの断面がわずかに褐変したが、赤変とか褐変というほどではない。また、オクヤマニガイグチの断面もわずかに褐変した。
 多くの図鑑では触れていないが、このほか両者で差異を感じたものがある。
 (3) コビチャニガイグチのシスチジアにはKOHで褐変するものが多く含まれるが、オクヤマニガイグチにはそういったシスチジアはなかった。
 (4) コビチャニガイグチの孔口やはオクヤマニガイグチの孔口よりやや大きかった。
 いずれか迷ったら、最大の決め手は胞子の形状かもしれない。変色性や苦みはあまり当てにならない。したがって、現地で種名を特定することは難しい。

[参考] 原記載とホロタイプ
コビチャニガイグチ Tylopilus otsuensis Hongo
 滋賀大学教育学部紀要、自然科学 16巻60ページ、1966年、Holotype: TNS-F174776
オクヤマニガイグチ Tylopilus rigens Hongo
 植物研究雑誌(The Journal of Japanese Botany) 54巻303ページ、1979年、Holotype: TNS-F174773


2013年8月27日(火)
 
庭の朝顔ネットのすぐ下に
 
 昨日昼過ぎに帰宅して何気なく勝手口近くの朝顔ネットの下をみると白いきのこが顔を出していた。どうやらLeucocoprinus(キヌカラカサタケ属)の仲間のようだ(a, b)。ヒダの付き方は離生で(c)、胞子(d)は偽アミロイドで(e)、明瞭な発芽孔がある。水で封入しても発芽孔の有無がはっきりしないときは、メルツァー試薬や濃硫酸で封入すると明瞭になる。
 ヒダをスライドグラスに寝かせて縁を見ると縁シスチジアがあることがわかる(f, g)。フロキシンで染めると更に明瞭になった(h)。次いで、ヒダの縁を含む小片をフロキシンで染めてKOHで封入して押し潰した。縁シスチジア(i)、担子器(j)などがはっきり捉えられた。
 典型的ではないが、たぶんミイノヒガサタケだろう。
 
(a)
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(c)
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(e)
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(g)
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(j)
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 家の近くの石森山を歩いてみたが、きのこの姿はほとんどない。新たに発生していたのはケシロハツモドキとチギレハツタケばかりだった。今朝は雨。気温も下がりはじめたし、週末にはきのこの発生が期待できそうだ。金魚はやはりダメだった。今朝骸が浮かび上がった。

2013年8月26日(月)
 
ナスコンイッポンシメジのみ
 
 地元いわき市周辺から浜通りはむろん、郡山〜白河周辺の中通りにもきのこの姿がほとんど見られない。昨日も下郷町はじめ定点観察ポイントをいくつか回ったが、出会ったきのこは西郷村奥甲子温泉でのナスコンイッポンシメジたった一本だった。
 残念ながら虫に食われてカサと柄の一部が欠損していた。イッポンシメジの仲間は胞子に特徴があるが、シスチジアなどはなく顕微鏡が役に立つ場面は少ない。
 カサや柄の表皮細胞には色素が充満しているが、アルカリで封入すると色素が浸潤して細胞が透明になる。担子器や偽担子器の基部にはクランプをもったものが多い。
 
(a)
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(c)
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(i)
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(j)
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(k)
(k)
(l)
(l)
(a, b) 子実体、(c) 柄の表面、(d) 切断面、(e) 胞子、(f) ヒダ断面、(g) ヒダ実質、
(h, i) カサ表皮:水封、(j) カサ表皮:KOH、(k) 柄の表皮、(l) 担子器と偽担子器

 一昨日ヘビに飲み込まれかけたキンギョの頭部には毒牙に噛まれたキズがあったが、今のところは無事に生き延びているようだ。今朝は何事もなかったように泳いでいる。

2013年8月25日()
 
小さな雨蛙が沢山いるのに
 
 忘れないようにメモしておこう。数日前に広野町の高線量地域の山に入った。この山の山頂部はいまだに4.5〜6.8μSv/h。一帯はカラカラに乾燥していてきのこの姿はほとんどなかった。そんな中にただ一つ、大きなハイカグラテングタケが出ていた(a, b)。
 昨日午後、キンギョを飼っている池のすぐ脇に、遠目にも黄金色の塊が見えた。近寄ってみるとヤマカガシがキンギョを飲み込もうと悪戦苦闘しているところだった。キンギョは諦めたのか俎上の鯉のように動かずジッとしてた。
 ヘビの頭をこづくと、飲み込みかけていたキンギョを放して慌てて逃げた。草の上に解放されたキンギョは弱っているようだったが急にピクピク動きだした。そのまま池に戻すと泳いで水中に消えた。生き延びてくれるとよいのだが・・・。
 それにしても不思議なのはヘビの捕食行動だ。庭には小さな雨蛙が無数にいる。その蛙を飲み込む姿は何度も見た。あえて池の中の金魚を捕らえなくても、餌は無数にあるのだろうに。
 
(a)
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(c)
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2013年8月24日()
 
雨降り後三日になるが・・・
 
 きのこ狩りの世界で雨降り三日後という言葉がある。雨が降って三日後くらいにきのこが発生し出すということらしい。先日久しぶりに雨が降り、昨日で三日目になる。
 ところが近郊の公園・緑地ではまだどこにもほとんどきのこの姿はない。趣向を変えて海辺の神社林に行ってみると、いたるところにシロオニタケが多数出ていた。若い菌(a)から老菌(b)まで発生の各段階の姿を見ることができた。でもそれ以外のきのこはほとんどなく、かろうじてニワタケ(c)、クリカワヤシャイグチ(d, e)が見られた。
 それにしてもクリカワヤシャイグチの胞子はよくよく見ても、表面の微細なイボを確認することはむずかしい。対物油浸100倍レンズでみても、どこにイボなんかあるんだ、どこにもそんなものはないじゃないか、といった目立たないものだ(f)。過去に何度か、色々な試薬や染色液で試したが、イボを明瞭に捉えることはできなかった。光学顕微鏡のレンズ分解能ぎりぎりのサイズのイボなのだろう。電子顕微鏡でみればおそらくイボではなくて微細な穴があるのだろう。
 
(a)
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2013年8月23日(金)
 
現地でもセンボンの幼菌が顔を出した
 
 先日庭の材からセンボンキツネノサカズキの幼菌が出ていたので(雑記2013.8.20)、昨日早朝、本来の産地である川内村に行ってみた。コナラやミズナラの落枝をじっくり調べて回ると、7〜8ヵ所でセンボンキツネノサカズキの幼菌がついているのを確認できた(a〜d)。成菌が見られるのは9月後半から10月始め頃だから、成長にはずいぶん長い時間がかかることになる。

 なお昨日の川内村では、どこに行っても新たに発生したきのこはほとんどなかった。それも無理はない。連日雨も降らず猛暑が続いていたのだから。出会ったきのこはごくわずかで、一つは立ち枯れの大木の基部から出ていた大型の黄色いきのこ。カサ径35〜40cmに及ぶ巨大なアカヤマドリ(e)。カサ表皮がやけに粘性をもったニガイグチモドキなど(f)。
 

(a)
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(c)
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(e)
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(f)
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2013年8月22日(木)
 
コビチャニガイグチ:赤(褐)変?
 
 先日オクヤマニガイグチを覗いたので(雑記2013.8.19)、今朝はそれに酷似するとされるコビチャニガイグチで遊んだ。サンプルは8月17日に石森山で採取した標本だ。
 コビチャニガイグチの管孔部実質もまたヤマドリタケ亜型であり、カサ表皮もオクヤマニガイグチにとてもよく似ている。コビチャニガイグチの組織をKOHで封入すると、シスチジアの大半は黄褐色に染まるが、その一方で全く変色しない側シスチジアもある。
 コビチャニガイグチの肉は傷つけると赤変ないし褐変するとされるが、今回のサンプルでは明瞭な色の変化は見られず、長時間放置するとようやくわずかに赤みが増す程度だった。
 
(a)
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(o)
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(a) 子実体、(b, c) 縦断面、(d) 孔口、(e) 管孔部断面、(f) 胞子、(g) 管孔部縦断面、(h) 管孔部実質、(i) 管孔部横断面、(j) 管孔部横断面、(k) 縁シスチジア、(l, m) 側シスチジア、(n) カサ表皮:水封、(o) カサ表皮:KOHで封入

 昨日は朝早く出かけるつもりだったが、起床時雨だったので中止した。昼過ぎには太陽がまぶしく輝いたが、日影は涼しかった。今朝は雨は降っていないので、出かけてみよう。

2013年8月21日(水)
 
ミズゴケからでるテングノメシガイ
 
 昨年に引き続いて(雑記2012.8.22)今年もほぼ似たような時季に、湿原のミズゴケの中からテングノメシガイが多数でていた(同2013.8.15)。ミズゴケの中から出るだけあって、足(柄)の部分が長く、全長は5〜8cm程ある。宿主であるミズゴケはイボミズゴケ(Sphagnum papillosum)とオオミズゴケ(S. palustre)。このテングノメシガイを、昨年同様にやはり顕微鏡で覗いてしまった。
 何といっても側糸の先端の様子が面白い。以前から通称「たまちゃん」と読んでいるが、まさにその通りだ。水がすっかり蒸発したプレパラートの胞子は面白い姿を見せてくれる。
 
(a)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(a) 子実体、(b) 標本、(c) 頭部断面の縁、(d) 胞子:対物40倍、(e) 胞子:対物油浸100倍、(f) 子実層:対物10倍、(g) 子実層:対物40倍、(h) 子嚢先端:メルツァー、(i, j) 側糸の先端部

 昨日午後自宅周辺にも待望の雨が降った。東北の日本海側では激しい雷雨に見舞われた地区もあったらしい。雨量は少なかったが、今朝もまだシトシト降り続いている。

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