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2014年10月31日(金) 極端なヌメリに手を焼く:ナナイロヌメリタケ
 先日勉強会の場で長岡市のHさんからナナイロヌメリタケをいただいた。午前中に採取したというきのこはとても美しい色をしていた。冷蔵庫に保管しておいたが既にかなり退色している(a, b)。ヒダをルーペで見ると縁がキラキラ輝いて見えた(c)。胞子は平滑な楕円形(d)。
 カサも柄もヒダもすべてが著しい粘膜に被われていて、ヒダ断面の切り出しに難儀した。ヒダ実質は並列型(f)。ヒダの縁には透明で姿の捉えにくい総状の束がある(e, g)。これが保育社図鑑でいう「無色毛状の縁シスチジア」なのだろう。さらに濃いフロキシンで染めてみたり(h)、倍率を上げてそれを確認してみた(i)。担子器はかなり細長く多くは基部にクランプがある(j)。カサ表皮の断面を切り出してみると(k)、表皮の上面にはゼラチン層のなかに細い菌糸が密集している(l)。
 
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 最近、近所の飼い猫がしばしば庭に現れるようになり、家の中にも入ってきた。昨日農具小屋を見て驚いた。小さな子猫が二匹チョロチョロしていた。どうやら前記の飼い猫がわが家の小屋で出産し、子育てをしていたようだ。ここにはほぼ毎日出入りしていたが、子猫の存在にはまったく気づかなかった。不思議と子猫は全く鳴き声を発しない。近寄ると逃げるように物陰に隠れたが、そのうちに疲れたのか小屋の隅で寄り添うようにして眠り込んでしまった。


2014年10月30日(木) 「除染」の中を生き抜いて:スナジアセタケ
 いわき市の海浜にある新舞子公園で再び「除染」工事が激しくなった。公園駐車場の入り口や、遊歩道の至るところに「工事関係者以外立入禁止」の看板が立ち並んだ(a, b)。看板は全く目に入らなかったことにして、駐車してロープをまたいで遊歩道に入った。
 公園内は先月末から今月初めにかけて遊歩道の一部で「除染」作業が始まっていた。昨年も一度「除染」された遊歩道の砂地からアセタケが多数出ていた(c〜f)。「除染」跡からは他にはホコリタケの仲間とニセマツカサシメジも出ていた。とりあえずアセタケだけを持ち帰った。
 そうだろうとは思っていたが、観察結果はやはりスナジアセタケだった。砂地生のきのこの検鏡はミクロレベルの砂粒とのバトルだ。胞子紋には砂粒が多量に混じる。ヒダやカサ表皮の薄片を切り出すとカミソリの刃がたちまちこぼれてしまう。今回は久しぶりに柄の表皮を切り出して柄シスチジアを確認した(q, r)。それにしてもあの「除染」に耐えてよく生き延びたものだ。
 
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(p)
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(r)
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(c〜f) 子実体、(g) 縦断面、(h) 胞子、(i) ヒダ断面、(j) ヒダ先端、(k) ヒダ側面、(l) 側シスチジア、(m) 縁シスチジア、(n) 担子器、(o, p) カサ表皮、(q, r) 柄シスチジア

 自宅前の田圃の農家に頼んでおいた玄米30Kgが届いた。はざ掛けによる天日干しで収穫された米だ。福島県で生産された食品はすべて放射線の検査を受けねばならない。不合格品の流通は厳しく制限されている。当然この米にも合格ラベル(放射性物質検査済)がついている。


2014年10月29日(水) 大きなナナフシテングノメシガイ
 先日長岡市の東山ファミリーパークで落ち葉が深く堆積した場所でとても大きなテングノメシガイの仲間が多数発生していた。多くは8〜12本くらいの束で、これが広い範囲に数十束ほど発生していた。掘り出してみると大きなものは長さが10cm近くあった。
 採取したテングノメシガイは当日市内の公民館で行われた勉強会の場で検鏡してナナフシテングノメシガイとわかったが、検鏡写真は撮らなかった。そこであらためて持ち帰っていた標本から、頭部をルーペで見たときの様子(b)や切り出した子実層の一部(c, d)、メルツァー試薬で封入したときの子嚢先端(e)、胞子(f)などをあらためて撮影した。
 
(a)
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(c)
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(e)
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(f)
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[田舎の車社会での交通費]
 公共交通機関のほとんどない田舎ではどこに行くにも車に頼るしかない。先日プリウスを12ヶ月点検に出した。この一年間でほぼ18,000Km走っていた。先日点検を済ませた軽自動車のアルトも一年間で20,000Km走っていた。このほか軽トラが5,000Km。この一年間の合計は43,000Km。地球一周だ。三車すべての平均燃費を17Km/L、ガソリンを160円/Lとすると、月平均33,725円になる。高速道路はほとんど使わないので、高速料金の月平均は数千円だろう。
 川口時代はガソリン消費量こそ月に2万円弱だったが高速料金がバカにならなかった。またしばしば都心や神奈川、千葉などに出かけていたので電車賃やバス料金の負担は大きかった。それを考慮すると、一ヶ月の交通費総計3〜4万円という金額は川口時代よりも少ない。


2014年10月28日(火) 久しぶりの海浜砂地散歩
 2011年の大地震と大津波、その後現在もまだ続く堤防構築工事のため、いわき市でも海浜砂地が広範囲にわたって消えてしまった。かつてウネミケシボウズタケやスッポンタケ、キツネノタイマツなどが発生していた浜はほとんど消滅してしまったが、新潟では広い範囲で植生豊かな浜が延々と続いていた。久しぶりの砂浜歩きだった。
 海浜生植物の豊富な一体ではスナヤマチャワンタケがいたるところで見られた(a, b)。一方漂流物が残る一帯から汀線にかけての砂地にはほとんど植生がないが、この一体にはナヨタケ属(Psathyrella)の仲間が多数でていた(c〜e)。Typhula(ガマホタケ属)のきのこも見つかった。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 海浜の大学構内での豊富なきのことは対照的に、長岡市の自然公園にはきのこの姿は非常に少なくなっていた。小型のフウセンタケ属やベニヤマタケ属などのきのこがポツリポツリと見られた。スギタケの群落と大型のナナフシテングノメシガイの群生が印象的だった(f)。


2014年10月27日(月) 大学構内のきのこ
 一昨日早朝暗いうちに出発して新潟市、長岡市で友人らと楽しい時を過ごし、昨日pm8:00頃に帰宅した。新潟ではKさん家族らに案内してもらい、五人で大学構内と海浜を歩いた。いわき市界隈ではほとんどきのこが見られなくなったが、この大学構内では多くのきのこが多量に発生していることに驚いた。また、海浜砂地でも多数のきのこが見られた。
 大学構内で出会ったきのこの一部の画像を掲載した。スッポンタケ(a, b)、カニノツメ(c, d)、ベニヒダタケ(e, f)、イボテングタケ(g, h)、マツカサタケ(i, j)、ヤグラタケ(k, l)。イボテングタケはやや乾燥気味で最盛期は過ぎていたが、まだまだ幼菌がいくつも出ていた。
 
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 土日の二日間は異常に気温が高かったので、屋外を歩くのに夏のTシャツ一枚で十分なほどだった。帰宅すると台所に保管してあった食パンにカビが生えていた。


2014年10月25日() 展示用きのこ最終便送り出し
 昨日近くの石森山と楢葉町の渓谷を歩いてみた。両者ともイノシシの被害が凄まじいことになっている。石森山では遊歩道や駐車スペースが一面に耕したばかりの畑のようになっている。これではきのこも菌糸がズタズタに切られてまともな発生はおぼつかない。
 石森山ではかろうじてミヤマタマゴタケだけが発生していた(a)。楢葉町の渓谷遊歩道ではイノシシに蹂躙されていない数少ない場所にいくつかのきのこが出ていた。ムラサキシメジ(b, c)、カベンタケモドキ(d)、ヒメサクラシメジ(e, f)、クロチチダマシ(g, h)、アカチシオタケ(i)、ハタケシメジ(j)、ムジナタケ(k)、ニカワハリタケなどだ。ムジナタケのすぐ脇には黒々と変色したヒカゲシビレタケ(l)が不気味な姿をさらしていた。ヒカゲシビレタケは採取できないので放置したが、昨日の採集品はすべて「きのこ展」に向けて昼にクール宅急便で送り出した。
 
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 今日はこれから新潟に向けて出発。海浜砂地のきのこを観察してから長岡のビジネスホテル泊まり。帰宅は日曜日(10/26)の夜になる。幸いに天気には恵まれそうだ。


2014年10月24日(金) 「除染」にもめげずに:ナガエノホコリタケ
 昨日午前中に海浜の寺社林を歩いてみた。出ていたきのこはカキシメジ(a, b)とアカカバイロタケ(c, d)だけだった。硬質菌も干からびたようなものばかりになっている。海浜の雑木林も今年のきのこ発生はほとんど終わりのようだ。
 帰路、無駄を承知で新舞子浜公園を覗いてみた。先日行ったときに第二次「除染」が行われて砂地がすっかり様変わりしていた。遊歩道脇の灌木が切り倒され、地表面の砂がごっそりと削ぎ取られていた。おそらくきのこは何もないだろうと思っていた。
 砂地の数ヶ所にナガエノホコリタケの頭部が転がっていた。砂地の表土をさらに少し取り除いてみると、黒くて弾力性のある丸いものが出てきた(e)。掘り出してみると新鮮なナガエノホコリタケだった(f)。おそらくまだ発生から一週間ほどしか経過していないだろう。
 
(a)
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(c)
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(e)
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 一昨日、押し入れの布団をすべて取り出して、空になった部分にねずみ取りシートを敷き詰めてみた。昨日そっと押し入れを開けてみると、親ネズミが一匹かかって死んでいた。


2014年10月23日(木) 二年ぶりにカラスタケを検鏡
 カラスタケの胞子はまるで金平糖のようだ(d, e)。また担子器がとても長い(k, l)。2012年にもカラスタケを検鏡しているが(雑記2012.9.16)、胞子の全体像をピントのあった形で正確に撮影することの難しさをあらためて感じた。きのこ背面の子実層もルーペで見ると独特の姿をしている(b)。きのこの断面をみても子実層がボコボコと疣状に膨らんでいる(c)。
 胞子を今ひとつ明瞭に捉えられないものかと、ドライマウントでみたり(f)、コットンブルー(g)やフロキシン(h)などで封入してみたが改善されない。KOHで封入すると全体が緑色を帯びる(j, k)。白い紙の上にきのこの断片を置いてKOHをふりかけると紙が黒緑色に染まる。
 
(a)
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(c)
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(d)
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(j)
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(l)
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 数日前に北側の部屋の押し入れから時折カリカリという音がした。この押し入れでは今春布団をネズミにひどく囓られた。夏には電気コード類を囓られ7〜8匹の死骸を確認している。昨日押し入れの布団をすべて出してみると、4枚ほどがひどく囓られていた。そして別の一枚を広げると、生後間もないヌードマウスが4匹うごめいていた。布団一枚がまるまる分娩シーツになっていた。ネズミは樟脳が嫌いだとの情報を得て8月に多数の樟脳を配置してあったのだが・・・。


2014年10月22日(水) センボンキツネノサカズキ 末期の姿
 今シーズンのセンボンキツネノサカズキの観察は一昨日をもって終わりにした。このきのこは原基の発生から最盛期を迎えるまでにほぼ二ヶ月をかけて生長するようだ。下の画像は一昨日確認した数十個の株の一部だ(a〜f)。
 今年幼菌の発生を最初に確認したのは7月31日だった(雑記2014.8.1)。しかし8月14日にはほとんど消えてしまい(同2014.8.15)、次に確認できたのは8月18日だった(同2014.8.18)。この日に確認できた幼菌の発生はおそらく7月末の頃だったろうと推定された。
 もっとも美しい姿を見せてくれる最盛期は、東京のOさん夫妻といっしょに出かけた10月1日頃から(同2014.10.2)10月9日頃までだったといえる(同2014.10.9)。兵庫のNさんと千葉のGさんらがやってきた10月13日は大多数の株が既に衰えはじめていたが、まだ最盛期の姿をみせている株もいくつか残っていた(同2014.10.13)。
 Nさんたちが撮影した株は色こそ赤黒くなってきたがまだ最盛期の形を保っていた(e)。また10月2日にヤマザクラから発生していた小さな株は今がちょうど最盛期のようだった(f)。
 
(a)
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(c)
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(e)
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(f)
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 北海道では前年度の株が干からびた姿で残るようだが、東北ではドロドロに溶けてしまって前年度の株は材から全く姿を消してしまう。いずれにせよ末期の姿は美しくない。


2014年10月21日(火) 秋深く山のきのこはおしまい
 関東以北では既に今シーズンのきのこは終わりを告げているようだ。山に入ってもコウボウフデくらいしかみられないだろうと思いつつ、川内村の山を歩いてみた。紅葉がかなり美しくなっている。関東地方に住んでいるときも、紅葉が盛りになればきのこシーズンは終わりだった。
 昨日、やはり山の斜面にはコウボウフデしか出ていなかった(a, b)。そこで谷スジに降りるとモミ混じりの斜面にニンギョウタケ(c, d)がまだ出ていた。色こそ茶褐色が強くなっているが、きのこ自体はしっかりしていた。一部枯れたコナラの高いところにクリタケがでていた(i, j)。足下に目をやると、シロノハイイロシメジ(e, f)、チャナメツムタケ(g, h)が広い範囲に出ていた。独特の臭いに惹かれて足下をよく見るとニオイアシナガタケがいくつも出ていた(k, l)。
 
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 センボンキツネノサカズキは新鮮な株もごくわずかに残ってはいるが、今シーズンの発生はほとんど終わったといってよい。川内村の定点観察も昨日で終わりにした。


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