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2014年6月20日(金) 小さな紅色のMycena
 梅雨期の日光では例年多くのMycena(クヌギタケ属)をみることができる。この仲間に関心を持つ愛好家や研究者にとっては非常に興味深いフィールドかもしれない。
 Mycenaの仲間の多くは、他の大型菌のように紙袋に入れて持ち帰ると、すっかり乾燥してしまいもとの姿をとどめない。そこで持ち帰り方法に何らかの工夫が必要となる。
 原則としてMycenaの仲間はよほどのことがない限り採取しないのだが、一昨日の日光では紅色の小さなきのこがやたらに目立って美しかったので、7〜8本を持ち帰った(a〜c)。乾燥して縮れてしまわないようにフィルムケースに入れて持ち帰った。
 胞子は非アミロイド(e, f)。左手のリハビリを兼ねてヒダの断面を切り出したが、やはり上手くいかない(g, h)。どう見てもシスチジアらしき構造が見つからない。ヒダをフロキシンで染めてKOHで封入して押しつぶしてみた(i, j)。黄色矢印で示したものがシスチジアかもしれない。カサ表皮は水道水で封入すると淡橙色に見えるが(k)、KOHで封入すると無色透明となった(l)。ベニカノアシタケ節(Sect. Aciculae)のきのこなのだろう(雑記2011.6.23同2009.5.17同2007.6.25)。
 
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 庭の草の伸びが早い。昨日も草刈りに追われた。石ころの多い部分はナイロンカッターを使うのだが、これは草を粉砕するばかりではなく石ころを辺り構わずまき散らす。


2014年6月19日(木) 昨日(6月18日) の日光
 昨日早朝日光に向かった。am7:20頃にハイブリッドバスの発着所に到着した。広大な駐車場にはまだたっぷりゆとりがあったが、すでにバスを待つ長い行列ができていた。バスはすし詰め状態で発車した。ほとんどの客が終点まで乗車する様子で、途中で下車するのが大変だった。
 遊歩道の周辺では何種類ものPsathyrella(ナヨタケ属)とMycena(クヌギタケ属)が目立った。これらの仲間は持ち帰るころには崩れたり変形してしまうので、撮影や採取はしなかった。目的のきのこにはまたあえなかったが、やたらに目立った大型菌がいくつもあった。
 歩いてみてとりわけ目立ったのがヒラタケ(a, b)、タモギタケ(c, d)、ヌメリスギタケモドキ(e, f)だった。それぞれ、幼菌から成菌まで各所でいろいろな姿を見せてくれたが、特にヒラタケでは成菌が、タモギタケとヌメリスギタケモドキでは幼菌が興味深い姿形を見せてくれた。
 他にもカラマツシメジ(g, h)、ゴムタケ(i)、ヒロメノトガリアミガサタケ(j)、オオワライタケ(k)、キイロスッポンタケ(l)など多くの種類のきのこに出会った。
 ここ数年極端に発生数が減っているのがホシアンズタケで、昨日もわずかな数の幼菌成菌に出会っただけで、カサ表面の美しい模様をみることはできなかった。カバノアナタケ(の菌核)は再び増えてきたが、ミヤマトンビマイは極端に減ってしまった。
 
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 昨日、往きは一部高速道路を使用(90kmほど)したが、帰路は一般道を戻った。全走行距離は約480kmほどだった。川口市からとは違って、いわき市から日光はやはり遠い。


2014年6月17日(火) どこもきのこなし:久しぶりの平伏沼
 なぜかどこに行ってもきのこの姿がない。川内村のカンムリタケは昨日もまだ相変わらず大きな群落をつくっていた。先日はかなり多数みられたウスタケは干からびたり崩れていた。
 先週いわき市北部の小さな池で10〜12個ほどのモリアオガエルの塊泡がみられた。カエルが粘液を出して熱心に泡立てる作業をしている最中だったが、残念ながら望遠系のレンズなどをもっていなかった。このときはまだ卵を生み付けていない様子だった。
 昨日は久しぶりにモリアオガエルで有名な平伏沼(へぶすぬま)に行ってみた。カエルが泡立て作業をしているという報道があったのが数日前だったが、すでに泡は完成し卵の生み付けも済んだものばかりだった。他に訪れる人もなく、静かなひとときを味わった。
 
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(e)
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 イワナの郷から弥宣の鉾に向かって林道が通じている。しかし、この林道は2011年の東北大震災と福島原発事故のあと、長いこと放置されたこともあってひどく荒れている。それでも、2011年からほぼ毎年それぞれ5〜6回ほど、なんとか山頂近くまで走破できた。
 ところが昨日の林道の荒れ方は尋常ではなかった。やめればよいものを軽トラで山頂を目指した。路面の亀裂はすさまじ、何度も転倒しそうになった。やがて深みにはまって全く動けなくなってしまった。ほうほうのていで脱出したものの、Uターンがまた大変だった。


2014年6月16日(月) アオキオチバタケのカサの表皮細胞
 今年はアオキオチバタケの発生数がとても少ない(a)。あえて小さな子実体を選んで、裏を見ると横の脈絡枝がまだほとんどできていない(b)。胞子は非アミロイド(c, d)。子実体の断面を切るのに苦労して厚いプレパラートができあがった(e)。カサ表皮は面白い姿をしている(f, g)。小柄を付けた担子器がなかなか見つからなかったが(h)、クランプはいたるところにあった(i)。
 カサ表皮には熱気球のような形で、上半部の表面に小さな突起が多数ついたような姿をしているが、これがとても潰れやすい。KOHでバラバラにしようとすれば、多くは簡単に割れたり潰れてしまう。カサ表皮はカサ肉から剥がれやすいので、これを剥がして上から合焦位置をずらしながら眺めて遊んだ(j〜l)。
 左手のリハビリを兼ねて、今日はカサ径3〜4mmほどのとりわけ小さな子実体を切り出してみたので、プレパラート作りに難儀した。プレパラートの出来具合と画像の質をみると、以前のプレパラートの方が画像はずっと鮮明だ(雑記2012.5.10同2009.6.2)。
 
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 連日の雨降りが一段落してはや三日目。しかし、近郊の緑地や低山、寺社林などにきのこの姿はほとんどない。海浜の公園にもアミスギタケやヒトクチタケくらいしか見あたらない。


2014年6月15日() でっかいアラゲコベニチャワンタケ属
 あまりの大きさに「あっ!赤いチャワンタケの仲間」と思ったが落ち着いて見ると縁に長い毛があった。今まで見てきたアラゲコベニチャワンタケ仲間の大きさはほとんどが1cm以下であったが、今回のものは径1.8cm平均であった(c)。小さな流れにまたがった枝の片側に大きいものがあり(a)、同じ枝の流れをはさんで反対側には通常の大きさのものがあった(b)。あまりの大きさの違いに種が違うのかと思ったが、毛や胞子の形状から同一種としてよいようであった。
 胞子は楕円形、微疣があるが水で封入したときはわかりずらい(d)。コットンブルーで封入すると疣は独立したものと一部繋がっているものがあり、網目は作っていない(e)。フロキシンで封入しても疣はわかりずらい(f)。子嚢先端はメルツァー試薬で青変しないが、側糸が紫に変色する(g, h)。縁の毛は長いものが多く密集しているが托外皮の毛は短く散在している(i, j)。毛の根元は縁の毛では多分岐のものが多いが(k)、托外皮の毛は単根が多いようだ。子嚢果の構造を見ようと生標本からの切片作りをしたが容易ではなかった。半乾燥状態でも鮮明な切片は作れなかった(l)。どうやら托髄層は絡み合い菌組織、托外皮層より薄いということだけはわかった。アラゲコベニチャワンタケS. scutellata よりS. crinita (和名はない)に近いように思われる。  (Y. A.)
 
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 片手が使えないということがこれ程不便なものとは思ってもいなかった。熱が下がって腫れも引けば何とか動かせるようになるのだろうが、まだしばらくの辛抱だ。 (I. A.)


2014年6月14日() 縁シスチジアが見つからない!
 いわき市にある白水阿弥陀堂は福島県で国宝建造物に指定されている唯一のものだ。昨日そこの遊歩道で黒色の大型イグチに出会った(a, b)。柄の基部には白色の菌糸が付着し、切断しても変色しない(c)。孔口部は白色の菌糸ですっかり塞がれている(d, e)。管孔部を切り出して縁やら側をさんざん探したが、シスチジアは見つからなかった。改めて、孔口部周辺だけを切り出して探したが担子器があるばかりで、縁シスチジアはやはり見つけられなかった(g)。
 胞子紋はほとんど落ちなかったので子実層に付着したものを撮影した(h)。カサ表皮は細長い菌糸が錯綜して柵状に並ぶ。水封では菌糸に色素粒のようなものが見えるが(i)、KOHで封入すると溶けて失われた(j)。柄の表面の網目の畝部分にはシスチジアが多数見られる(k, l)。柄の表面もKOHで封入すると色素は見えなくなった。柄の網目の底には子実層状に細胞がならび、随所に担子器がある。ススケヤマドリタケやクロアワタケ等に近い種なのだろう。
 
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 現地できのこをひっくり返して撮影しているとどこからやホタルがやってきた。自宅脇の川にホタルが現れたはこの2年間ともに6月末から7月はじめの頃だった(雑記2012.7.14)。

 昨日不注意から左手を怪我してしまい、小指と薬指がほとんど動かせなくなった。車のハンドブレーキを引くことができず急坂での発進が辛かった。左手がほとんど使えないので、プレパラート作りはひどく難儀した。左手は全く力が入らず、物を持ったり支えたりすることができない。今朝はよく腫れている。1週間ほどは不自由な生活を強いられそうだ。



2014年6月13日(金) マルミアリタケを覗いて楽しむ
 このところしばしばマルミアリタケに出会う。今朝はこの子実体頭部を解剖して遊んだ。採取した子実体を一晩置いたところ、頭部が白色の糸のようなものにすっかり覆われた(b, c)。実はこの絹糸のような白いモヤモヤしたものは放出された一次胞子だ。
 頭部を縦断した。被子器はいわゆる斜埋生型で、孔口がわずかに突出している(d)。これを薄切りにして(e)、低倍率の顕微鏡で覗いてみた。子嚢殼の中には無数の子嚢が入っている(f)。
 子嚢は非常に細長く、先端が亀頭状になっている(g)。子嚢の中には一次胞子が糸を撚りあわせたような姿で入っている(i)。水道水で封入するととても見にくいが、フロキシンで封入すると見やすくなった(h)。一次胞子は隔壁部でバラバラになって、長紡錘形の二次胞子に分かれる(j)。胞子はフロキシンやコットンブルーによく染まる(k)。頭部表面や柄の表面の組織は、棍棒状の細胞が柵状に並んでいる(雑記2012.9.13同2006.8.18、、同2005.5.24、etc.)。
 
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 昨日いわき市には大雨警報が出て終日強い雨が降った。庭横の川の水位が異常に高くなり、いつ氾濫しても不思議ない状況が続いた。上流から大きな漂流物がいくつも流れ込んだ。


2014年6月12日(木) 発生期間の長いカンムリタケ
 今年川内村でカンムリタケを最初に見たのは5月19日だった(雑記2014.5.20)。このときすでにすっかり成熟して大群落をなしていたから、発生し始めたのはその1週間以上前だったと推定される。昨日の川内村でも同一場所に相変わらず大きな群落を作っていた(a)。ということは、ほぼ1ヶ月近く発生を続けてきたと思われる。以下昨日の川内村で出会ったきのこの一部。
 大きなアラゲコベニチャワンタケ仲間にであった。茶碗の径が18mmほどもある(b)。ヤンマタケが足下に転がっていたが、トンボの頭部などはなかった(c)。足下の枝にシロニカワタケが多数ついていた(d)。周囲ではナラタケ類やスギタケが発生し始めていた(e, f)。
 
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 自宅の庭にでたホウキタケの仲間(g)を採取してメモ用紙の裏に放置しておいたら(h)、一晩で胞子紋がたっぷり落ちていた(i)。胞子を水道水で封入してみると、表面は短い針ないし微疣で被われていた(j)。念のためにコットンブルーで封入して軽く熱してみたが見え方に変わりなかった(k)。担子器には4胞子性と2胞子性のものが混じっているが、4胞子性のものの方が多いようだ。また、子実体に硫酸鉄を滴下すると、やや時間がたってから暗青色に変わった。
 ホウキタケの仲間を検鏡したのは昨年7月以来のことだった(同2013.7.29)。このとき観たのは胞子に棘のあるタイプのホウキタケ、いわゆるEchinoramaria亜属だった。
 
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 梅雨入りしてから連日よく雨が降っている。屋根を補修したので雨漏りの心配がなくなった。近場でも先週初め頃からヤマドリタケモドキをはじめ色々なきのこが出はじめている。


2014年6月11日(水) ホウキタケの仲間とマルミアリタケ
 昨日午後、いわき市の北隣に位置する広野町折木を歩いてみた。樹上生や地上生の広義のホウキタケ仲間がいろいろ出ていた。松の地上2mほどの位置についていたり(a, b)、暗い灌木の下に出ていたり(c)、道ばたに発生したりしていた。
 先週は気づかなかったがウスタケがあちこちに多数出ていた(d)。すでに熟成して他の菌に冒されたものも目立った。ツルタケは自宅の松樹下にもでているが、折木でも道ばたで見かけた(e)。モリノカレバタケの仲間の若い菌があちこちに束生していた(f)。
 イグチの仲間ではコショウイグチと思われるものしか見られなかった(g, h)。落ち葉の堆積した暗い樹林のなかで明るい色のきのこがでていたが、どうやらマツオウジのようだ(i, j)。落ち葉の下に松の材でも埋まっているのだろう。
 一昨日、昨日とマルミアリタケによく出会う。一昨日土の斜面や普及材からでていた子実体は頭部が小さなものが多かったが、昨日のものは比較的大きかった(k, l)。
 
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 注文していた256GBのSSDが昨日届いた。このSSD上に新たなWindows7環境を整えた。幸い5インチHDDに元のC:ドライブの内容をそのまま残してあった。SSD上にこのHDDのクローンを作成して、微調整を幾つか施すことによってほとんどそのまま、旧環境を復活できた。


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