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カンゾウタケ:若い菌と老熟した菌 | |||||||||||||
昨日午後雨も小降りになったので、浜辺の寺社林を歩いてみた。スダジイの根本付近にすっかり成熟したカンゾウタケがでていた(a, b)。別のスダジイの二股に分かれた基部に若いカンゾウタケもでていた(c, d)。このきのこの断面は霜降り肉のような独特の模様を呈している(e)。子実層の部分は管孔状だが、いわゆる管孔とは少し違う(f)。 子実体が若い内は裏面には一面に丸い充実した模様がみえるばかりで、管孔状とすら言えない(g)。断面を切ってみてもどこまでが子実層なのかもはっきりしない(h)。ところが、成熟すると様子が一変する。裏面の表面をルーペでみると管孔ではなく、細長いパイプが密集しているのがわかる。老熟した管をよくみると、しばしば無数の虫が出入りしている(i)。子実層の断面をみても、独立した管が整然と並んでいることがわかる(j)。 |
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カンゾウタケ以外にも、落ち葉をどけるとチチタケ属のきのこが出てきたり(k, l)、マルミアリタケと思われる虫草などが多数みられた。この日の海辺には霧が立ちこめていた。 | |||||||||||||
鮮やかな紅色の小さなチャワンタケ | |||||||||||||||||||
先月末近くのスギ林の地表から出ていた紅色のチャワンタケを覗いて遊んだ(a, b)。 きのこ自体は径6〜15mmほどだが、遠目にも鮮やかな色をしていた。柄はなくチャワン裏側の中央部から厚壁の菌糸が出ている(r)。チャワンの縁には短い菌糸が付いているが、毛というほどの長さや形ではない(c, q)。 興味深いのは胞子の表面模様で、低倍率の対物レンズで見たときに美しい(d, g)。胞子の表面を取り巻く編み目様は、楕円形の本体に比較してとても大きく、ゆったりと本体を包み込んでいるように見える(e, f, h)。 子嚢は非アミロイドだが(l〜o)、側糸が暗褐色に染まるアミロイド反応を示す(j, l)。10%以上の濃度のKOHに長時間浸しておくと、胞子の表面模様がゼラチン状に溶けて不明瞭になる(k)。 |
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先週の後半から「今日の雑記」で使用する画像を原則として800×600ピクセルとした。 このサイトを開設した当初の標準画像サイズは500×375ピクセルだったが(雑記2005.2.16、同2006.3.25)、2008年6月頃に600×450ピクセルに変更した。 |
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リカバリもダメ、SSD損傷か? | |||||||||||
過去にも何度もシステム障害でWindowsが起動しなくなるケースに遭遇しているので、データ領域(D:ドライブ)とは別に、二ヶ月に一度はOS領域(C:ドライブ)もバックアップしてきた。ブータブルCDからAcronisを起動してバックアップファイルからのリカバリーを試みた。 C:ドライブの容量はたかだか128GBで、そのうち使用しているのは60GB程だ。本来ならば20分もあればリカバリーは終了するはずだ。ところが、これが異常に長い時間かかる。リカバリーは遅々として進まない(a)。そのあげくは「失敗」と表示された(b)。 C:ドライブは昨年10月末に新しいSSDに交換したばかり(雑記2013.11.1)。SSDには寿命があるとはいえ、こんな短期間で寿命が来るはずはない。でも現実には壊れてしまった! あきらめて新たに256GBのSSDを注文した。これが届くまでは予備パソコンでの作業を強いられる。 |
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庭の一隅に色々なきのこが出ていた(g)。今年のアオキオチバタケは発生が遅かった(h, i)。アラゲキクラゲは雨の後で大きく膨らんでいる(j)。ホウキタケの仲間は大きく育っていた(k)。 メインパソコンのポートにUSB起動のKNOPPIXを差し込んでOSを起動し(c〜e)、元のD:ドライブの画像フォルダに撮影した画像を取り込んだ。久しぶりにPhotoshopではなくGIMPで画像処理をした。この一隅には8〜10種ほどの担子菌が見られたが今日の写真はその一部(g〜k)。 |
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メインPCが絶不調、そして起動不能に | |
先週からメインパソコンが急にひどい不調状態になった。まるで時限爆弾でも破裂したように、ある日突然おかしな症状が多発しだした。「シャットダウン」をクリックしたところ1時間ほど経過しても落ちない。待ちきれずついに電源ボタン長押しでオフにせざるを得なかった。 ついで、翌朝起動した時にエラー表示がでて、そのまま放置しておくと何度もシャットダウンを繰り返したあげくようやく起動画面が現れた。このため起動までに20〜30分が経過した。 「シャットダウン」も「起動」も非常に時間がかかるので、就寝前に電源を落とさず放置しておいたところ、今度は朝方になってエディタで入力作業中に突然電源が落ちた。 再びなんとかWindowsを立ち上げたが、今度はブラウザ起動に20〜30秒、リンク先へのクリックをしてから画面が変わるまでに30秒以上もかかった。さらにメールの送受信をしようとすると長い待ち時間が経過した後ようやくエラー表示が出た。この繰り返しで、昨日は40分間ほど経てようやくエラーとなった。そして今朝はついに起動不能となった。 そんな案配なのでこの三日間の雑記は予備パソコンからアップした。 |
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電球のような担子器:コガサタケ属 | |||||||||||||
早朝庭の畑にコガサタケ属のきのこが出ているのに気づいた(a, b)。マツ樹下にツルタケの仲間も出ていた。Conocybe(コガサタケ属)は開花(?)から数時間もすればすっかりしなだれて崩れてしまう。他にこれといったきのこもないので、顕微鏡で覗いてみた。 この仲間はいったんカサを広げてしまうとヒダ薄片の切り出しが非常に困難となる。できればまだ釣り鐘型をした幼菌から切り出したい。しかし、今朝は写真(a)に写ったものしかない。そこで7〜8枚のヒダを一緒に切り出して、比較的綺麗に見えるものを選んだ(d)。ヒダの縁のシスチジアに合焦すると他の部分がすっかりボケてしまう(e)。なぜかこのきのこ、シスチジアがとても少なく、ヒダを1枚スライドグラスに寝かせて縁をみても見つけるのに難儀する(f)。カサ表皮は偽柔組織のような細胞からなる(g, h)。柄の表面にまち針状のシスチジアはない(i, j)。 |
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おそらくキコガサタケなのだろう。この仲間は担子器の形が面白い。電球のバルブを連想させる(k, l)。1時間ほどして庭の畑をみると、残りの1本はすっかり萎れて倒れていた。観察に用いた子実体もクシャクシャになっていた。 | |||||||||||||
遊歩道はまだ厚い残雪の下 | |||||||
昨日早朝磐梯吾妻スカイラインに向かった。二本松市や福島市はどんよりと厚い雲に覆われていたが、標高1,200m辺りを過ぎると青空が一面に広がっていた(a)。標高1,600m付近に小さな駐車スペースがある。ここに車を駐めて遊歩道に入った。径は一面の厚い雪の下だった(b)。 雪を踏みしめて樹林の中を進んでいくと、やがて明るくなり雪が消えて湿原が現れた(c)。ミズゴケの中からはきのこは出ていなかった(d)。池塘にはカエルの卵が一面に広がっていた(e)。 結局きのこの仲間には何も出会えず、まるでキノコのカサのような姿をした変形菌を切り株上に見つけただけだった(f)。下界に降りると季節外れの猛暑が待っていた。 郡山市の逢瀬公園もすっかり乾燥しきって、きのこの姿は一つもなかった。昼過ぎに帰宅すると、郡山市の暑さとは対照的に、いわき市ではやや肌寒い風が吹いていた。 |
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川口から持ってきた山椒がこの二年間でかなり大きくなって実をつけた。トゲに邪魔されながら摘んだが、小型シャーレ一杯くらいの量にしかならなかった。 | |||||||
常設の小型乾燥機を作った | |||||||
ふだんキノコの標本を作るときは、原則として採取袋にいれたまま乾燥機にかける。数点のキノコを乾燥するには、今現在のきのこ乾燥機(同2012.8.24)は両者とも(e, f)大きすぎて無駄が多すぎる。大型の乾燥機を必要とするのは6〜10月頃月に数回程度で、それ以外の月は1度に乾燥するのはせいぜい2〜5点ほどだ。 一部のきのこ関係者の間ではドライフルーツ乾燥機が好評だが各段がとても浅い。携帯性もあり小さなきのこだけを扱う分には便利だが、採集袋に入れた状態での乾燥には馴染まない。 そこで常設の小型乾燥機を作った。サイズは250×280(幅)×400(高)mmの箱形。中にはサイズ240×270mmの金属網を置けるようにした。素材は5mm厚の軽量合板の端板。これを5mm角の棒を支えに木工ボンドで接着した(a)。窓のガラスは近くのガラス屋さんから端硝子をもらってきて加工した。材料費はしめて1,200円ほどで、大半は金網3枚の値段だ。ヒーターは従来から使っていた小型キューブタイプの電源を弱(150W)にして利用する(b, d)。 |
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従来からの大型(f)と中型(e)の乾燥機は2泊3日〜3泊4日で行った菌類調査の折に重宝した。きのこを採集袋に入れたままで、一晩でそれぞれ各々60〜80点ほど処理できた。 | |||||||
常連のきのこ以外なし | |||||||
近場のスギ林と広野町の観察ポイントを回ってみた。スギ林のシイタケほだ場には10数種のきのこがみられたが、このところずっと見てきたきのこばかりだったので、ひとつも採取せず、撮影もしなかった。ただ、いくつもの変形菌が目立ったので、一つだけ撮影した(a, b)。 いわき市のオオミズゴケ(c, d)の中からは小さな子嚢菌が見られただけで、まだ担子菌類はまったく出ていなかった。広野町のポイントではきのこの姿は全く見られなかった。 |
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昨日は楢葉町まで二度も行ってしまった。一度目は午前中、軽乗用車できのこの定点観察。二度目は午後、軽トラにHusqvarnaのチェーンソーを積んで。いわき市にはHusqvarnaの代理店がなく、故障しても市内の農機具販売店や修理店ではどこも取りあってもらえない。 浜通りにある唯一のHusqvarna代理店は楢葉町にある。楢葉町は福島第一原発の事故で避難中。電話してみたら元の場所で営業していた。お客さんの激減した町での営業は大変だろう。しかし、とても気持ちのよい店だった。とりあえずチェーンソーが直った。目立てをしたばかりの刃は快適な切り屑を散らして材を切ってくれる(e, f)。 |
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腐朽材からでるコガサタケ属菌 | |||||||||||||
先日の雑記でコガサタケ属として画像を掲載したきのこについての覚書(a, b)。このきのこはいずれも腐朽した材上から出ていた。柄の基部はやや膨らみ短い。現地では何属のきのこかわからなかったが、帰宅して縁シスチジアの形を見たとたんにコガサタケ属とわかった。 コガサタケ属コガサタケ節のきのこには、際だった特徴がある。縁シスチジアの形が担子器とほぼ同サイズで(i)、まち針状の頭部を持ち下部が大きく膨らんでいる(g, h)。ついで、柄(k)にもほぼ同形のシスチジアがある(l)。カサの表皮には頭部が膨大した細胞が柵状に並ぶ(j)。 このきのこの胞子は平滑で明瞭な発芽孔をもち6〜8×4〜5μm、縁シスチジアはない。材上生ということや、胞子の形状とサイズ、シスチジアやカサ表皮の様子は、青木実氏のいうクチキネナガコガサタケによく似るが、柄の先端の形状が決定的に異なる。なお、胞子の発芽孔はアンモニア中でも錆び褐色には変色しない。強い酸(e)やアルカリ(f)でもあまり変形しない。 日常よく出会うきのこにはいまだに多数の未報告種があふれている。小さなきのこについてはとくにそうだ。これもまた未報告種なのだろう。 |
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昨日午前中は庭の草刈り。小石だらけの場所がメインなので久しぶりにナイロンカッターを使った。今日の画像は再び旧来の600×450ピクセルを使った。 | |||||||||||||
多くのきのこが出てきた | |||||||||||||
昨日の朝、海浜の寺社林を歩いてみると、先週(雑記2014.5.25)とはまったく別の場所にクロコタマゴテングタケが多数出ていた(a, b)。シロキツネノサカズキ(or シロキツネノサカズキモドキ)も見られたが、まだ未成熟と思われるので採取しなかった(c, d)。ミミナミハタケの仲間(e, f)やオオホウライタケなども出ていた。他にもベニタケ属が見られた。 いわき公園では、今頃になってサクラのハルシメジ(g, h)が出はじめた。そのすぐ脇にはイタチタケの仲間も見られた。先週は小さかったヒロハシデチチタケはすっかり大きくなって無数にでていた(i, j)。その近くではチチタケ属のきのこがいくつも出ている(k, l)。ムジナタケはまだ幼菌ばかりだった。黄色の奇妙なきのこは、チチタケの仲間がヒポミケス菌に冒されたようだ。 |
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昨年6月から7月はじめの頃にカンゾウタケが発生した場所を三ヵ所回ってみたが、いずれの場所のスダジイからもまだ全く発生していない。関東地方より1ヶ月ほど遅いのだろうか。 今日は画像のサイズをこれまでの600×450ピクセルから、800×600ピクセルに変更してみた。 |
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