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2014年7月31日(木) どこも乾燥してきのこは少ない
 このところずっと雨が降っていない。最近までよく出ていたきのこだが、急にほとんど姿を見なくなってきた。勿来の関公園でも目立つのは小さな黄色いきのこ、ヒナアンズタケばかりだ(a, b)。乾燥気味の遊歩道を歩いているとキクバナイグチ(c, d)、ケシロハツモドキ(e, f)、まるで乾燥標本のようなベニタケ類とイグチ類数種に出会った。
 一度すっかり姿を消したシビレタケ属が再び出始めた。今はまだ小さな幼菌だが、小さくとも刺激を受けると青変する(g, h)。なぜかこの仲間のきのこは公園によく出る。
 他のきのこが非常に少ないにもかかわらず、アセタケ類だけはよく出ている。昨日は二つだけ採取した。一つはカサ径3〜4cmで、柄の基部がやや凹頭状で、縁にも側にも厚膜シスチジアを持ち、胞子がコブコブのもの(i, j)。今ひとつはカサ径3〜8mmで、柄は基部まで棒状で、側シスチジアはなく薄膜の縁シスチジアをもち、平滑な胞子を持つもの(k, l)。
 
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 草の伸びがとても早い。先日はため池(農業用水)周りの草刈り人足。次の日曜日は集落の寺の草刈り人足がある。いずれも刈払機をもって集合し朝6:00に開始だ。


2014年7月30日(水) 楢葉町の高線量地域の渓谷にて
 楢葉町の(放射線)高線量地域である木戸川上流の渓谷に入った。ここはコナラ、ミズナラ、モミ、ブナ、アカマツの混じる林が広がっている。地表はかなり乾燥気味だったが、結構いろいろなきのこが出ていた(雑記2013.8.11)。
 胞子の表面模様が美しいキクバナイグチ(a, b)、胞子表面に淡い縦スジのあるミヤマベニイグチ(c, d)、KOHで胞子が黄金色になるウツロイイグチ(e, f)をはじめ、イグチ類が多かった。イノシシが掘り返した跡に、カサと柄がブドウ色で傷つけても変色しないイグチ(g, h)が出ていた。
 この時期必ず出るのがニワタケ(i, j)で、十数個がモミの周辺に発生していた。ミズナラの地際に大きなオオミヤマトンビマイが出ていた(k)。モミの斜面ではコウモリタケ(l)、柄の太さに大きなばらつきのあるウツロイイグチ、タマゴタケなどが乾燥した姿をさらしていた。
 
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 昨日この地域の放射線量は0.46〜0.78μSv/hだった。昨年同期より若干低い。


2014年7月29日(火) すっかり乾燥してしまったが・・・
 いわき市界隈では、日曜日(7/27)午後に局地的に激しい雷雨こそあったが、全般的にすっかり乾燥して、きのこの姿は急激に少なくなってきた。家のすぐ近くの石森山では干からびたツルタケやテングタケ、ベニタケ類、白色系のチチタケ類はいたるところに見られるが、新鮮なきのこは非常に少なくなってきた。そんな中で以下のようなきのこに昨日出会った。
 日向のタマゴタケはすっかり乾燥していた(a)。採る人もいないのかチチタケは相変わらずよく出ている(b)。ロウタケが杉林で大きく広がっていた(c)。アンドンタケが再び出てきた(d)。
 陽当たりのよい斜面に大きなチャオニテングタケが屹立していた(e, f)。圧倒的に多いのがイグチ類だ。コガネヤマドリ(g, h)、コビチャニガイグチ(i, j)、キニガイグチ(k, l)が随所で見られた。
 よくわからないイグチをたまたま2種採取した。ひとつは、明褐色ビロード状の頭部と暗紫色の条紋様の柄を持ち、孔口部は白色で、傷つくと褐変しすぐに黒変するイグチ(m〜o)。今ひとつは、明黄褐色のなめし革状の頭部と明黄色の柄を持ち、孔口部は赤味を帯びた黄色で、柄に触れたり傷つけると青変するイグチ(p〜r)。
 
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 東北も梅雨明けになったらしい。昨日は日陰は涼しいが直射日光下はかなり暑い。夕方はもっぱら庭の草刈り。今日は昼前に小名浜までパンの買い出し。


2014年7月28日(月) Mycena(クヌギタケ属)の楽しみ
 Mycenaの仲間はもろくて小さなきのこが多く、持ち帰ったときにはペシャンコになっていたり干からびてしまうことがしばしばだ。また、乾燥させるとクシャクシャになって、時にはどこがヒダなのかカサ表皮なのかも分からなくなってしまう。でもミクロの姿を楽しめるものが多い。
 つい最近持ち帰った二種のMycenaで、そのミクロの姿を楽しんだ。キュウバンタケ(a)はカサ表皮がおもしろい姿をしている。持ち帰った生標本はすでにクシャクシャになっていた。カサ表皮を切り出したがやはり上手く行かなかった(b)。倍率を上げて、合焦位置を少しずつ変えるとおもしろい姿が見られる(c, d)。フロキシンで染めるとまた違った姿が見えてくる(e, f)。
 ハナオチバタケはピンク色であれ褐色であれ、しっかりしたきのこなのでほとんど型崩れせずに持ち帰れる(g, h)。このきのこのヒダの縁シスチジア(i, j)とカサ表皮のシスチジア(k, l)は同じような形をしている。図鑑などには「箒状細胞」などとあるが、モグラの手を連想させられる。
 非常にもろいキュウバンタケとかなりしっかりしたハナオチバタケでは、プレパラート作りの困難さには雲泥の差がある。両者ともカサ表皮のシスチジアはその全体像を一枚の画像写真で表現することはほとんど不可能だ。だから図鑑の描画はイメージを表現したものだ。
 
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 昨日は午前中耐え難い猛暑だったが、昼過ぎに雷雨が通り過ぎたあとは急に涼しくなった。


2014年7月27日() 楽しかった二日間:第34回虫草祭
 昨日朝からいわき市田人のおふくろの宿を拠点にして行われた第34回虫草祭に参加して今日の午後帰宅した。久しぶりに会う友人・知人らとともにとても楽しい二日間だった。
 昨日と今日の午前中に行われた観察会では、多くの仲間とともに虫草探しを楽しむことができた。ただ猛烈な暑さにはほとほとまいった。昨日はやや熱射病気味となり夕方から夜はやや辛かった。今回はハエヤドリタケ(a, b)とカイガラムシツブタケ(c)を自分でも見つけて採取することができた。きのこを模した休憩所(f)などもある渓流沿いを探索したが、きのこは非常に少なかった。大型のフクロツルタケの仲間(d)や小さなタマハジキタケ(e)に出会った。
 
(a)
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 日本冬虫夏草の会のみなさんには大変おせわになりました。ありがとうございます。

 先週金曜日の午後に、友人ら四人で近くの寺社林の遊歩道で出会ったきのこの一部を、以下に追加しておくことにした。
 

(g)
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(k)
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 クロタマゴテングタケ(g, h)、やけに黄色いキアミアシイグチ(i)、やたらに沢山出てきたシロオニタケ(j)、ハラタケ属のきのこ(k, l)。


2014年7月26日() 川内村のきのこ:昨日の続き
 7月24日(金)の川内村では実に多くの種類・量のきのこに出会うことができた。おもだったイグチ類については昨日の雑記に掲載したが(雑記2014.7.25)、今朝は出会ったきのこのうち、テングタケ類とオニイグチ仲間などの画像を取り上げた。
 タマゴタケ(a)、コガネテングタケ(b)、ガンタケ(c)、ヒメベニテングタケ(d)、ドクツルタケ(e)、ツルタケ(f)、カバイロツルタケ(g)などテングタケ類、オニイグチ(h)、オニイグチモドキ(j)などのオニイグチ類は豊富に出ていた。キショウゲンジ(j)、チチタケ(k)、キホウキタケの仲間(l)もあちこちでよく見られた。他のきのこ十数種については省略した。
 昨日午後、三重県からやってきた友人ら四人で近くの寺社林の遊歩道を歩いてみた。ウツロイイグチ、アシナガイグチ、クロタマゴテングタケ、シロオニタケなどが見られた。
 
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 今日から日本冬虫夏草の会の年一度の総会「虫草祭」がいわき市で行われる。仲間二人とわが家の住人の計四人で、これから会場の宿に向かう。


2014年7月25日(金) どこもイグチだらけ:川内村にて
 昨日、朝の涼しい内に歩こうと朝食後に川内村に入った。ありがたいことに曇り空となって、猛暑の照り返しはなかった。6〜7ヶ所を探索したが、どこもイグチがやたらに目立った。猛暑と高湿度のせいか崩れたり腐った大きなイグチ類がやたらに多かった。
 14〜16種のイグチ類を確認できたが、とりあえず何度も出会った以下の9種だけ画像を掲載した。ムラサキヤマドリタケ(a, b)、アケボノアワタケ(c, d)、ヤマドリタケ?(e, f)、キアミアシイグチ(g, h)、アシベニイグチ系の大型菌(i, j)、コビチャニガイグチあるいはオクヤマニガイグチ(k, l)、ニガイグチモドキ(m, n)、幼菌はビロード状の濃いカサで成菌は淡色になるイグチ(o, p)、淡茶色のイグチ(q, r)。取り上げなかったが、ヤマドリタケモドキ、ウツロイイグチ、ウラグロニガイグチ、キニガイグチなども多数でていた。
 
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 イグチ系以外のきのこも多数でていたが、それらについては今日は取り上げなかった。この日は昼食にいわなの郷の「幻魚亭」でいわなの塩焼き定食を食べた。

 しくじった! 先日持ち帰って植木鉢に据えておいたアンドンタケの二つ目が、今朝am4:00には既にしっかりと開いていた。また開く瞬間を逃してしまった(雑記2014.7.21)。



2014年7月24日(木) 虫草検鏡画像作成の続き
 先日に引き続いて虫草の検鏡画像作り(雑記2014.7.19)。今回はマルミアリタケ(a〜f)とサナギタケ(g〜l)のプレパラートを作った。マルミアリタケの子嚢果はアワフキムシタケと同じ斜埋生型(c)。簡易ミクロトームに結実部を挟み込んで薄切りにし、フロキシンで染めて子嚢果をみた(d)。子嚢先端(e)と二次胞子(f)はフロキシンで染めた。
 サナギタケは柄と子嚢果の境界が不明瞭で、子嚢果は半裸生型(h)。実体鏡でみても(i)、薄切りプレパラートを作って顕微鏡でみても(j)、その様は特徴的だ。子嚢先端部と二次胞子はこれもフロキシンで染めた。二次胞子は角張った長方形になる(l)。
 
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 昨日は飯舘村の高線量地帯に入って測定用きのこを採取。炎天下の暑さはもちろんだが、樹林の中も風がなく湿度も高いのですぐに汗でビッショリになった。シャカシメジが出始めた。大きくなった株もあった。コブガタアリタケが多数みられた。20個ほど採取した。
 いわき市内の市街地の公園ではキタマゴタケやら淡色のテングタケ、ツルタケ、アカハテングタケ、ヤマドリタケモドキ、アカヤマドリ、キアミアシイグチ、イロガワリなどが出ている。


2014年7月23日(水) 近場の公園:イグチ類がいろいろ出ている
 今日の「雑記」も一昨日出会ったきのこについての覚書だ。長雨のあと急に気温も上がって一気に多くのきのこが出始めた。特に目立つのがテングタケ類とイグチ類だ。
 本来ならひとつひとつていねいに観察してから属や種を決定したいところだが、そうやっていると次々に貯まって、多くが腐敗してしまう。そこで一日に持ち帰るきのこは少数にして、現地で目視でわかるきのこは持ち帰らない。採集するのは関心のあるきのこと検鏡が必須なものだけ。帰宅したら胞子紋だけとって直ちに乾燥し、詳細な観察は後日に回してきた。

 以下に掲げたきのこはいずれも海浜の寺社林で出会ったもの一部だ。イグチが全盛で、ウラグロニガイグチ(a, b)、クロアザアワタケ(c, d)、ウツロイイグチ(e, f)、キニガイグチ(g, h)、オオミノクロアワタケ(i, j)、オニイグチ(k, l)、コオニイグチ(m, n)、クリイロイグチ、アヤメイグチ、アシベニイグチなどが見られたが、長雨のためか状態の悪いものが多かった。気まぐれにオニイグチ類だけ胞子画像を掲載した。今頃になってカンゾウタケが出ていた(o)。まだ若く断面の霜降り肉模様は未完成だ(p)。ニワタケ(q)やシロオニタケ仲間も出始めた(r)。
 ベニタケ類、チチタケ類、フウセンタケ類も多数出ているが、これらの多くは形態だけでは種名がわからないので、原則として見なかったことにしている。ただ、目視だけで種名のわかるものがいくつかあった。ニオイコベニタケ、ヒビワレシロハツ、クサハツ、アイタケ、チチタケ、ヒロハウスズミチチタケ、ハツタケなどだ。シビレタケ属のきのこも相変わらずよく出ていた。
 

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 急に猛暑がやってきた。昨日午後も楢葉町の渓谷で汗ビッショリになって放射線量測定用きのこを採取していた。なぜか、オニイグチ類とウツロイイグチがやたらに多かった。


2014年7月22日(火) 県境の公園にて:巨大きのこにビックリ
 一昨日は早朝まで雨だったが、朝食後に止んだので茨城県境の公園に行った。標本を駄目にしてしまったテングノメシガイの仲間を再び採取するのが主目的だった。連日の雨のため、芝生の広場は湿原状態となっていた。いたる所に多くのきのこがでていた。
 テングノハナヤスリ(a)は別として、キュウバンタケ(b)、ピンク色のハナオチバタケ(c)、ヒナアンズタケ(d)といったふだんは採取しない小さなきのこをいくつか撮影・採取した。
 ムラサキホウキタケ(f)、ブドウニガイグチ(g, h)、ヒメコウジタケ(i, j)、オオミノクロアワタケ(k)、キニガイグチ、クリイロイグチなどのイグチ類、テングタケ類もいくつも出ていた。
 ナラタケモドキ(l)が両手を広げたほどのサイズの巨大な株をつくっていた。比較のためその一部のきのこを手持ちのケータイと比較してみた。また、やはり巨大なシビレタケ属の大きな株にも驚いた。オオシビレタケかヒカゲシビレタケのようだ。
 
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 この記事は昨日掲載しようと思っていたのだが、予測より早くアンドンタケが開いてしまったので、一日遅れて載せることになった。昨日出会ったきのこも明日掲載することになる。


2014年7月21日() 持ち帰ったアンドンタケが開いた
 先週末(6月19日)石森山でアンドンタケが強い雨に打たれて崩れていた(a)。菌蕾からグレバを表に出したのは数時間ほど前のようだった。幸いにもすぐ近くに卵が見つかったので四つを持ち帰った(c)。うち一つは検鏡用に切り刻んで、残り三つを植木鉢に据えた(g)。
 この卵はサッカーボールのような特徴的な姿なので他の腹菌類の卵と間違うことは少ない(b)。卵を切ってみると表面のブロック様の単位は内部でも仕切られている(d)。グレバの部分をルーペでみると迷路のようになっていて(e)、空洞の表面は子実層に覆われている。担子器は細長く、どうやら8つの胞子をつけるようだ(f)。なお、担子器の写真(f)はコンゴーレッドで染色した。フロキシンコットンブルーで染色しても水で封入したときとほとんど変わりなく無力である。
 
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 昨夜pm9:30頃には三つの卵のうち一つにヒビが入っていた(h)。この卵は今朝開くだろうと予測していたのだが予測より早かった。今朝am4:00には既にかなり開いていた(i, j)。開く瞬間を捉えることはできなかったが、am5:00にはかなり伸び(k)、am6:00にはほぼ全開した(l)。


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