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2014年7月20日() 大雨警報の狭間の石森山で
 今朝もあめ。このところ連日よく雨が降り続いている。昨日はいわき市に大雨警報が発令された。雨がひととき静かになった時を見計らって石森山を歩いてみた。いろいろなキノコが多数でていたが、多くは強い雨に打たれて崩れたり倒れたり泥汚れが激しかった。
 とりわけよく目立ったのはテングタケ属のキノコだった。タマゴタケ(a)、コテングタケモドキ(d)、ヘビキノコモドキ(e)、ツルタケ(f)はあちこちで見られた。あまりにも大きくなりすぎてか(カサの径30cm超)、シロテングタケが自重で倒れていた(b, c)。
 イグチ類もいろいろ出ていたが、コビチャニガイグチ(g, h)、キニガイグチ(i)だけしか被写体にはならなかった。イロガワリやクリイロイグチ、アシベニイグチは雨で崩れ汚れていた。
 ベニタケ類も7〜8種を数えたが撮影したのはアイタケ(k)だけだった。ナラタケモドキが桜の樹の根本に大きな株を作っていた(j)。久しぶりに茶褐色系のハナオチバタケを撮影した(l)。
 
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 昨日と今日は石森山のフラワーセンターで「フラワーフェスティバル」が行われる。雨にもかかわらず、多数の車で駐車場はごった返していた。家の横の小川はかなり増水している。


2014年7月19日() ゆえあって虫草の観察
 昨日は終日雨。近くの石森山を歩こうと思っていたのだが中止せざるを得なかった。そこで、冬虫夏草の検鏡写真の撮影作業をすることにした。期限までには一週間しかない。
 埼玉にいたときにはアワフキムシタケは比較的簡単に見つかった。しかし、いわき市に転居してからはこれまで一度も出会っていない。先週も川内村まで行って、以前アワフキムシタケがいくつも採取された場所を探したが結局見つけられなかった。そこで、福島県伊達市のKさんから送ってもらった乾燥標本(a)からプレパラートを作ることにした。
 結実部(b)を縦切りすると(c)、斜埋生型の子嚢果が現れた(c)。これを窓空きルーペの下において(d)、先の細い針で子嚢塊をつまみ出した(e)。水で封入するとコントラストが弱く、何が何だかよくわからない(g)。そこでフロキシンで染めると子嚢先端部が明瞭に捉えられた(h)。コットンブルーでもよく染まる(i)。二次胞子は両端が切型の長い紡錘形をしている(j)。先月発売された『冬虫夏草生態図鑑』(日本冬虫夏草の会 編著)にもきれいな検鏡図が掲載されている(f)。
 
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(i)
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(j)
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 一般的に冬虫夏草の子嚢果の様子はルーペなり実体顕微鏡で簡単に分かる。しかし、古い標本では子嚢をほとんど放出してしまって、子嚢果の中が空っぽになっていることもある。そうなると、どうあがいても子嚢先端部の姿や胞子の姿を捉えるのが難しくなる。


2014年7月18日(金) 庭の籾殻に群生して発生したきのこ
 庭に積み上げた籾殻からは次々にいろいろなキノコがでてくる。フミヅキタケ属と思しききのこが群生していたので、顕微鏡で覗いてみた。典型的な姿とはいえないようだが、どうやらツバナシフミズキタケとしてよさそうだ。ちょっと見ただけでは、これまでよく見かけてきたツバナシフミズキタケと少し違うように思えた。
 
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(a〜e) 子実体、(f) 胞子、(g) ヒダの縁、(h) ヒダの先端、(i) 側シスチジア:フロキシン、(j) 縁シスチジア:フロキシン、(k) 担子器:フロキシン、(l) カサ表皮

 昨日はほぼ終日庭の草刈り。2台の刈り払い機がフル稼働となった。途中でキャブレターの部品破損のために農機具屋まで買いに出かけた。久しぶりにキャブレターの分解修理をした。さらに刃の目立てをしたりで、何だかんだと思いの外時間をとられてしまった。


2014年7月17日(木) 北那須の高原から中通りの都市公園へ
 久しぶりに甲子トンネルを越えて那須連峰の北に位置する西郷村と下郷町の高原と湖周辺を歩いてみた。西郷村剣桂のブナ・ミズナラ混成林ではムカシオオミダレタケ(k, l)やオニタケ(i, j)、ワカフサタケ属とフウセンタケ属の小さなきのこしか見られなかった。
 甲子トンネル近くのミズナラ林でもきのこの発生は少なく、ウラグロニガイグチ(a, b)、ヤマイグチ(c, d)、ベニタケ属3〜4種、ナヨタケ属2〜3種を数えただけだった。観音沼周辺は例年なら今頃多くのきのこが見られるのだが、アケボノアワタケ(e, f)、カワリハツ(m, n)、異様な姿に変貌したガンタケ(q)、ツルタケ(r)、シロイボカサタケ(p)やら、ベニタケ属3〜4種が目立った。
 須賀川市内の都市公園に寄ってみると、全体に乾燥気味できのこは多かったがほとんどが干からびたり他の菌におかされていた。現地でオニイグチと思ったきのこ(o)はコオニイグチだった。暗い林の奥にアケボノドクツルタケが鮮やかな姿を見せていた(g, h)。
 
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 今日は持ち帰ったサンプル20数種のうち、あえて順不同に11種だけを取り上げた。


2014年7月16日(水) 久しぶりのヒカゲウラベニタケ
 川口市に住んでいる頃は川越市の雑木林などでヒカゲウラベニタケによく出会った。しかし、いわき市に移住してからは昨年まで出会っていなかった。この7月には近くの石森山で何度かであった。そこで、久しぶりに顕微鏡で覗いて楽しんだ。
 ヒカゲウラベニタケはイッポンシメジ科ヒカゲウラベニタケ属のきのこで、保育社図鑑にはこの属の「胞子は楕円形〜紡錘形で,縦方向の肋状隆起をそなえる」と記されている。そして、ヒカゲウラベニタケの説明にも「胞子は9.5〜13×4.5〜6μm,横断面は六角形」とある。
 ところが、水で封入するとこの肋状隆起を明瞭に見ることは難しい(c)。コットンブルーで封入すると隆起は捉えやすくなる(d)。六角形の横断面は水でもコットンブルーでも、封入液を多少多めにすればよく分かる(e: 黄色の矢印)。肋状隆起の明瞭化にフロキシンは無力である(f)。
 この仲間にはシスチジアもないし、担子器の基部にもクランプはなく(h)、カサ表皮も特にこれといった特徴はない(i, j)。(雑記2007.7.2同2010.7.13同2010.7.19)
 
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2014年7月15日(火) イグチの仲間がいろいろと
 いわき市の海浜にある寺社林では、アカヤマドリ(a, b)やウツロイイグチ(c, d)が最盛期を迎えている。他にもアケボノアワタケ(e, f)やらクリイロイグチらしきものも見られる。オニイグチの仲間が多数でていた。オニイグチ(h)とオニイグチモドキ(i)は現地でもおおよそ見当がついたが、肉眼的にはやや迷うタイプがあった(g)。胞子やシスチジアを確認するとこれもオニイグチだった。テングタケ(j)、ツルタケ、ガンタケ等もあった。Xeromphalina(ヒメカバイロタケ属)と思われるきのこも見られた(k, l)。他にもベニタケ属7〜8種、ナヨタケ属5〜6種、アセタケ属3〜4種が見られた。
 帰路先日の市街地の公園に寄ってみた(雑記2014.7.12)。緑色の小さな双子の幼菌イグチはキアミアシイグチだった。
 
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2014年7月14日(月) コットンブルーで見やすくなった
 公園の遊歩道脇にチャワンタケの仲間が広範囲にでていた。若いうちは白色で成菌は褐色を帯び、老菌になると暗褐色になるようだ。茶わん部分を縦断してみると子実下層と托外皮は絡み合い菌糸組織のようにみえるが、托随層は典型的な円形菌組織になっている(c)。子嚢は先端部がアミロイドで(d, e)、側糸は棒状ないし紐状だ(f)。
 短時間で胞子紋は多量に落ちた。水で封入すると表面には網目模様があるようにみえる(g, h)。メルツァー試薬では網目というより微疣が繋がっているように見える(i, j)。水にしろメルツァーにしろ表面模様はあまりよくわからない。そこでコットンブルーで封入してみた(k, l)。表面の微疣部分がよく染まっている。おまけに浸透圧のからみか形も変形している。
 
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 昨日は友人と三人で南相馬市小高地区と飯舘村の高線量地に行ってみた。直線距離では近いのだが、国道六号線が寸断されているので、現地に到着するには中通りを経由して大きく迂回しなくてはならず、うんざりするほど長い時間がかかる。両地域ともきのこの発生は至って悪く、カメラの出番は全くなかった。相変わらず空間放射線量は8〜9μSv/hほどあった。


2014年7月13日() 「除染」後の攪乱地と高線量地に出たきのこ
 昨日の朝、川内村いわなの郷に行ってみた。例年きのこがよく出ていた場所では、どこに行ってもきのこがほとんど見られなかった。一方、「除染」作業が行われた場所、つまり灌木は切られ草は刈られ表土をはぎ取られた攪乱地には多くのきのこが見られた。
 アシベニイグチ(a〜c)、ニガイグチモドキ(d, e)、オニイグチ(f)、ツルタケ(g, h)、カバイロツルタケ、カワリハツ?(i, j)、アカカバイロタケ(k, l)、ツルタケダマシ?(m)、ヤグラタケ(n)、クロノボリリュウタケ(o)のほか、5〜6種のベニタケ属、3〜4種のアセタケ属などが見られた。

 富岡町の大倉山公園は非常に放射線量が高い。「除染」作業は全くおこなわれておらず、道路には亀裂が入ったままだ。このためほとんど人が入らない。大倉山の遊歩道周辺では線量計が四六時中警報を発しっぱなしだ。きのこは少なく、ビロードエノキタケ近縁種(p, q)とハラタケ(r)、少数のベニタケ属、アイカワタケなどが見られただけだった。
 

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 今日は早朝6:00から集落のため池周辺の草刈りがある。一汗かいてから朝食になる。


2014年7月12日() まるで冗談を絵に描いたような
 友人の案内で近くの市街地の公園に行って驚いた。公園の隅の方の幅の広い道路に面した帯状の狭い一画(幅15メートル長さ100メートルほど)にきのこが所狭しと出ていた(a)。あちこちに大型菌がフェアリーリングを作っていた(b)。群生していたのはヤマドリタケモドキ(b, c, d)、アカヤマドリ(e)、アンズタケ(r)、テングタケ類、ベニタケ類、アセタケ類だった。
 ミドリニガイグチかキアミアシイグチの幼菌(f)もあちこちに見られた(f)。テングタケ類ではヘビキノコモドキ?が数ヵ所で大群落を作っていた(g, h)。二系統の色の異なるテングタケ?も大きなリングを作っていた(i, j; k, l)。キヒダタケの仲間はヒダの疎密の変異が大きかった(m, n)。
 クロハツの仲間のきのこが大群落を作っていた(o, p)。ヒダが非常に密で(q)、前日までに発生したものはすっかり真っ黒になっていた。傷つけても赤変することなく、そのまま黒変していく。
 このほかにも、ムラサキホウキタケ、アカヤマタケ属、フウセンタケ属が至るところで見られた。とくにアセタケ属は種類が多く優に五種を数えた。この場所は例年美しいキタマゴタケが出るというが、この日は残っていたひとつが訪問者によって崩されていた。
 
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 am4:24にやや強い地震あり、震度四。裏山の露岩に異常なし。昨日は温帯性低気圧に変わった台風が襲来したが、特に風雨が強くなることもなく、ただやたらに蒸し暑くなった。


2014年7月11日(金) 黒いキツネタケの仲間
 川内村の林道脇でキショウゲンジの撮影をしようとしてふと足元をみるとへんなキノコが生えていた(a, b)。
 手にとってみるとキツネタケの仲間に思えた。カサが灰色を帯び、他の菌に侵されているのではないかと思ったがもともとの色のようである。小さくて、地味な色、見つけにくい色でもある。もしかして「これが黒いキツネタケ?」と思い、眼を皿にして近辺を探してみたが4本しか採取できなかった。傘もひだも柄も灰色を帯びた黒色で柄の基部に白色菌糸がまとわりついている。
 傘の径が1cm以下、薄い切片を作ることが出来ずに十分な顕微鏡写真を撮ることができなかったが、胞子が美しかった。球形でみごとな針(長さ1〜2μm)がある(c, d, e)。傘上表皮とひだ実質ではクランプがいたるところで観察できた(f)。担子器は4胞子性、基部のクランプは観察できなかった(g, h)。青木新称のクロギンコタケ(担子器が2胞子性、胞子の針の長さが1μm以下)ではなかった。 (Y. A.)
 
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 今朝も雨。きのこの発生状況は同じいわき市内でも場所によって随分違う。樹相も周辺環境もとてもよく似ているにもかかわらず、ヤマドリタケモドキやクロハツ等が一面に群生している場所があるかと思えば、まるできのこの姿が見られない場所もある。何とも不思議だ。 (I. A.)


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