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2015年12月31日(木) ヒメシロカイメンタケ:孔口が大きくクランプがない
 昨日はシックイタケを取り上げたので、今日はよく似たヒメシロカイメンタケ。いずれもスギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹につく白色腐朽菌で、冬の時期には暗い色の樹皮を被う白色の膜がよく目立つ。スギの多い日光界隈ではなぜかシックイタケの方が圧倒的に多い。
 ヒメシロカイメンタケはしばしば全くカサを作らず膜状にベタッと背着している(d)。シックイタケと比べるとカサ表面の毛が多く(a, b)、孔口がずっと大きい(c, d)。孔口は2〜3個/1mm(g)。一菌糸型で菌糸にクランプはない(j, k)。先端に結晶を帯びたシスチジアが随所に見られるが、なかなか全貌をとらえた画像を得るのが難しい(l, m)。胞子は楕円形で大きな油球が目立つ(n)。担子器もうまくバラせなかった(o)。
 肉眼的に比較できるようシックイタケとヒメシロカイメンタケを3枚ほど並べてみた(p〜r)。
 
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 前夜の「上映会」で知り合った神奈川のOさんと一緒に塩谷町の尚仁沢親水公園に行った。毎度そうだが名水を汲む人々のすごさに圧倒された。指定廃棄物最終処分場反対同盟の元役員から苦しい心の内を聞くことができた。前夜の映画の続きをみているかのようだった。


2015年12月30日(水) シックイタケ:原菌糸にクランプがある
 自宅周辺の林といえば大部分がスギとヒノキで、ごくごくわずかに広葉樹が帯状あるいは線状に伸びている。この小径を散策するといつもスギやヒノキの樹皮についた白いきのこがよく目立つ。この近隣ではなぜか太い立ち枯れや倒木にはこのきのこはついていない。決まって細い立ち枯れのスギかヒノキにばかりついている。多くは樹皮にビッシリとついているが、時折木部の辺材表面を被うようについていることもある。
 シックイタケと思われる。孔口は5〜6個/1mmで(f)、原菌糸と骨格菌糸からなる二菌糸型(h, i)。原菌糸にはクランプが豊富にある(j, k)。さらに厚壁のシスチジアらしきものがある(l)。よく似たきのこにヒメシロカイメンタケがある。このキノコもまたスギやヒノキにつくが、こちらの孔口は2〜3個/1mmでずっと大きい。さらに原菌糸にクランプはない。
 
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[Threshold: Whispers of Fukushima(境界線:福島のつぶやき)]
 昨日夕方、日光市の郊外にあるカフェで行われた「上映会」兼ミニライブに参加した(m, n)。福島第一原発事故後それぞれの地で音楽活動を通じて力強く生きる人たちのつぶやきを中心に表現した映画だ。批判とか告発ではなく、生きる意味を再考されられる映画だった。
 上映のあと、監督の米国在住映像作家の椎木透子さん(p)、制作協力のミュージシャンたくきよしみつさん(r)、音楽監督を務めたErik Santosミシガン大学教授(q)らのライブが行われた。たくきさんは『3・11後を生きるきみたちへ』(岩波ジュニア新書)、『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(講談社)の著者でもあり、福島県川内村を出たあと日光市に居住されている。
 上映・ミニライブが終わったのはpm9:00過ぎだったが、その後久しぶりにスクリュードライバーやソルティドッグなどのカクテルを飲みながら主催者や参加者との交流を楽しんだ。懐中電灯を頼りに夜道を歩いて帰宅すると11:30を過ぎていた。充実した一日だった。
 
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2015年12月29日(火) オロシタケ:姿はまるでコウヤクタケの仲間
 まるでコウヤクタケのように見えるアナタケを昨日取り上げたが、今日はその記事の中で触れたオロシタケを取り上げた。一昨日(27日)に散歩の途中で採取したものだ。このキノコもまるでコウヤクタケ科のキノコのように見えるが(a, b)、ヒメキクラゲ科のきのことされる。
 ルーペで見ると子実層托の表面には無数のイボあるいは棘が出ていることがわかる(c, d)。断面をみるとさらに明瞭になる(e)。イボの部分を顕微鏡で見ると、この部分には子実層はなく先端にはシスチジアのような細胞がある(f)。胞子(g)や担子器を見ると(h, i)、ヒメキクラゲの仲間であることがわかる。比較のためにヒメキクラゲ(とタマキクラゲ)の胞子と担子器を並べた(j〜l)。
 
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[異常な暖冬:ほとんど雪のない奥日光]
 硫黄泉に入りたくて昨日昼間、いろは坂を上って奥日光湯本温泉に向かった。雪が全く着いていないにもかかわらず、いろは坂を上る車はとても少なかった。中禅寺湖畔はもちろん(m)、戦場ヶ原にも(n)雪はない。湯滝駐車場へ向かうとようやく雪がでてきた(o)。広大な駐車場にはわが家の車を含めてたった三台だけ(p)。むろん湯滝は全く凍っていない(q)。湯ノ湖畔にもほとんど雪はない(r)。目的の硫黄泉は客も少なく、内湯、野天風呂ともに十分楽しめた。
 
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2015年12月28日(月) アナタケ:まるでコウヤクタケのような
 どうしてこれが多孔菌の仲間なのか以前から不思議に思っていたのがアナタケだ(a〜c)。子実層だけからなるキノコというのは、生殖機能にのみ特化した蘚類の矮雄のように思えて奇異の感を抱いてきた。ルーペで見るまでもなく(d)、全背着生でほとんど子実層托しか持たない。
 顕微鏡で見ても、菌糸は二菌糸型で(e)、先端の膨大したシスチジアが多数みられる(f〜h)。胞子は短楕円形で(i)、よく見ると担子器もわかる(i)。一方、子実層から突出して先端に小さな粒状の構造をもった細胞があるが(k, l)、KOHで封入すると粒状物は溶けてしまって単なる棒状の細胞先端が見られるだけになってしまう。
 アナタケによく似たコウヤクタケの仲間がある。ヒビワレコメバタケ、シロコメバタケなどだが、これらはルーペで見ると、いずれも微粒突起が散在するのでなんとなくわかる。顕微鏡で見ると両者とも一菌糸型だ。またよく似たきのこに、微細な棘が無数にあるオロシタケという背着生のきのこがある。これはヒメキクラゲの仲間で、顕微鏡で見ると違いは明瞭だ。
 
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 昨日農協の産地直売所で購入した干し柿が今日はもう黴にやられていた。ティッシュペーパーで黴を拭き取って食ったが、購入直後の味と変わってやや酸っぱくなっていた。例年出荷している農家の干し柿がこのざまとは。スキー場だけでなく暖冬の影響は被害甚大のようだ。


2015年12月27日() チャミダレアミタケなのだろうが・・・
 奥日光で10月末に松の倒木に出ていた硬いキノコがある。一部を採取して持ち帰っていたが、これまでずっと放置してあった(a, b)。チャミダレアミタケだろうと思うが、いくつか気になることがあった。とりあえずチャミダレアミタケの仲間としてメモしておこう。
 チャミダレアミタケはたいていが広葉樹に出るが、このキノコはアカマツから出ていた。また、カサ上面の基部が太い棘のようになっているものが多く、棘の高さは4mmに及ぶ(c, d)。棘になっていないものでは、やや薄色でクシャクシャに縮れたような状態のものが多い(a)。
 菌糸構造は三菌糸型で(g)、原菌糸には豊富にクランプが見られるが(h)、骨格菌糸にも原菌糸にも興味深い姿形のものが多数見られる(i, j, k)。子実層には特に変わったものは見られない(l)。例によって胞子は全く見つけられなかった。
 
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 農産物直売所に並ぶ品物も、いつのまにやら正月用品やおせち料理の材料ばかりになっていた。今年はなかなかうまくできなかったせいか好物の干し柿がやたらに高価だ。


2015年12月26日() 日光市への転居からはや六ヶ月
 三年半暮らした福島県いわき市を追われるように出て、ここ日光市に住むようになって今日で半年が経過した。いわき市では農村に住んでいたが、ここは農村地帯でもなければ住宅街でもない。だから草刈りやどぶさらいなど、集落総出の義務的共同作業もなければ、面倒なしきたりもない。また、深夜や早朝に大きな音で音楽を聴いても隣近所から苦情のでることもない。
 きのこの観察環境に関してはいわき市時代より恵まれている。ほぼ毎日温泉までの往復に車を使い、観察に出かける頻度は以前よりも高いにもかかわらず、月々のガソリン代は少ない。遠出せずとも各種の異なった環境が楽に得られるからだろう。
 
(a)
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(a) 自宅駐車場、(b) 徒歩5分のJR最寄り駅、(c) 地域の象徴:城山、(d) 城山山頂から自宅周辺を眺望、(e) 日光だいや川公園からの女峰山:11月21日、(f) 同:11月27日

[大谷資料館:広大な幻想的地下巨大空間]
 初めて大谷資料館に入った(g)。自宅から16Km、30分ほどの距離にあるが、大谷石採石の資料展示館くらいにしか思っていなかったので、これまでは行こうと思わなかった。
 大人700円の入館料は高いと感じたが、地下への坑道を降り始めて(h)すぐに広大な空間と色彩の演出に圧倒された。各種ライブや管弦楽のホールとして利用されたニュースなどをテレビなどで見たことはあるが、小さなテレビ画面で見るのと現実空間とは大違いだった(i〜l)。地下坑内空間を後にしたときには、入館料700円はとても安いと思った。
 
(g)
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2015年12月25日(金) スエヒロタケ:ひだの先端が面白い
 この季節、どこに行ってもスエヒロタケに出会える(a)。ヒラタケ型から背着生のものまでいろいろあるが、いずれもカサ表面は毛むくじゃら、ヒダの側は芸術品ともいえる美しさだ(b)。
 胞子はソーセージ型で非アミロイド(c, d)。きのこの断面を見ると興味深いことに、長いヒダ(親ヒダ)と短いヒダ(子ヒダ)が交互に並び、短いヒダは先端が二つに割れている(e)。その短い部分を顕微鏡で見たのが(f)で、図中の緑色の線で囲まれた部分を拡大したのが(g)だ。さらにその先端付近を拡大したのが(h)。先端に結晶を帯びたシスチジア様の組織がみられる(h, i)。
 ちょっと見には薄壁の原菌糸と厚壁の骨格菌糸からなるように見えるが、よく見れば厚壁の菌糸にも隔壁がある。どうやら一菌糸型(monomitic)らしい。菌糸にはクランプが豊富にあり(j)、単子器(k)の基部にもクランプがある。
 このきのこの胞子を吸い込むと、気管支や肺に住み着いて菌糸を伸ばして感染症を起こすという。気管支炎や肺炎の原因の一つでもあるらしい。美しいものには棘がある。
 
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[出流山満願寺:遊歩道は9月の豪雨ですっかり様変わり]
 日光から出流山満願寺が意外と近いことを知った。昨日通勤ラッシュが終わった頃に栃木市の出流山満願寺に向かった。ほぼ1時間ほどで到着した。本殿は変わりないが(m)、奥之院への遊歩道は、今年9月の集中豪雨被害で様変わりしていた。ご本尊の十一面観音(石筍)(o)を奉った奥之院拝殿(n)までは何とか整備されたが、その先は荒れ果てて通行不可のままだ。
 最初気づかなかったが、奥之院の拝殿が建て替えられていた(p)。聞けば数年前に土台からすべて再建しなおしたという。ちょっと見た目には同じように見えるが、2006年当時の拝殿(q)と比べると確かにいろいろ変わっている。当時は石灰岩生のきのこを探してよく来た。昨日は石灰岩生のきのこは見つからず、ニガクリタケ(r)とカワラタケ以外のきのこはなかった。
 
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2015年12月24日(木) ヤケイロタケ:ヒメモグサタケより一回り小ぶり
 ヤケイロタケとは何とも妙な名前をもらったものだ。どうみたって子実層托の色は焼色には見えない。成長の最盛期にはきのこ全体に弾力性があって(a, b)、カサ裏面は中央部が暗紫褐色で縁は白色だった(c)。しかし、ちょっと古いきのこは中央部が暗色で(d, e)、持ち帰って数日もするとすっかり黒色になっていた(f)。さらに乾燥すると縁が内側に丸まって、野外で見た時とはまるで様相が異なっていた(d)。一晩放置しても胞子紋は全く落ちなかった。数日前家の近くで出会ったヤケイロタケはやけに白かった(g〜i)。しかし持ち帰って半日もするとカサは褐色を帯び、子実層托は暗色になっていた(j)。孔口などの様子はとくに変わらない(k, n)。
 同じ属のヒメモグサタケと比較すると全体に小ぶりで肉も薄い。さらにカサ裏面が極端に黒く変色してしまうことも、ヒメモグサタケとは随分違う。孔口は5〜6個/1mmで(k, n)、カサ肉と管孔部との間には黒い境界線があり、ちょっと古くなったり乾燥すると境界線と管孔は同じように黒色になってしまう(l, m)。菌糸構造は一菌糸型で大きなクランプが沢山ある(o, p)。子実層部を見ても明瞭に担子器とわかるものは見つからなかった(q, r)。胞子も見つけられなかった。
 
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 昨日午前中に鹿沼市の岩山に立ち寄った。岩山とはれっきとした山名で標高こそ382mだが、歩いてみると実際に妙義山を小規模にしたような岩峰が延々と続く。目的がハイキングではないので、途中まで行って引き返したが、変化に富んだ山歩きを楽しめそうだ。


2015年12月23日() ヒメモグサタケ:弾力性のあるきのこ
 例年晩秋から初春の頃、見なかったことにして通り過ぎてきたきのこがいくつもある。今シーズンはそれらをいま少していねいに観てきた。その一つ、持ち帰ったヒメモグサタケを久しぶりに観察した。若い子実体は柔らかく、指でつまむとジワーっとへこむ。
 2003年までにこのきのこを何度か観察しているが、観察データなどは2004年夏のハードディスクのクラッシュですべて失っている(雑記2006.5.19同2004.8.1同2004年7月下旬)。このときはヒメモグサタケも含めておよそ650種ほど生態・観察データのすべてを失ってしまった。そのためヒメモグサタケについても、パソコン再構築後の2004年11月14日に川崎市で新たに撮影した子実体の画像しかなく、観察データは残っていない。そこで今回あらためて顕微鏡も使って観察した。菌糸構造は一菌糸型で、大きなクランプが多数みられる。胞子は得られなかった。
 
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[栃木市の太平山を散策した]
 昨日午前中栃木市の県立太平山自然公園で冬晴れの散策を楽しんだ(m)。太平山は341mの小さな山だが山頂近くからは市街地を一望できる(r)。きのこはほとんどなく、出会ったのはニガクリタケ(n)、シックイタケ(o)、アナタケ(p)、カワラタケ、カイガラタケ、シハイタケくらいだった。アラゲニクハリタケのように見えたきのこ(q)は、検鏡するとどこにも菌糸にクランプがない。低倍率でクランプのように見えたものは倍率をあげてみると分枝を始めた菌糸に過ぎなかった。
 帰路に寄った西方町の道の駅で食べた新蕎麦は美味かった。
 
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2015年12月22日(火) 大きく育ったクロサルノコシカケ
 もう何年も前から中禅寺湖畔でクロサルノコシカケを見てきた。当時撮影しておけば成長の様子がわかって面白かったのだろうが、残念ながら同一子実体を継続して撮影してはこなかった。あらためて10月からいくつかの子実体を撮影したり、それらの一部を切り取って検鏡してみたりした。上段の画像は今年の10月27日に撮影したもの。下段は11月30日に撮影したものだ。両者とも別の場所で大きく育ったもので、上段の株は左右の幅60cmほど(a)、下段の株は40cmほどある(h)。一部を採取するにもノコギリで切り出すのに結構な時間がかかった。
 きのこの発生した広葉樹はともにかなりの大木でいずれもミズナラのようだ。両者とも子実体の断面をみると子実層が10以上ある(d, i)。孔口の数は4〜6個/1mmで、胞子は採取できなかった。菌糸構造は三菌糸型のようだが、フロキシン・消しゴム法でばらすと、菌糸が細かくバラバラになってしまい、結合菌糸なのか骨格菌糸なのか判然としないものが多かった。
 
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[バリアフリーの市営温泉:最近やや躊躇]
 先に市営温泉のことを書いたが(雑記2015.10.24)、最近いささか困惑している。ご多分に漏れず日光市でも認知症の高齢者が増えた。彼らが時折浴槽やその周囲でお漏らしをする。浴槽内での失態が判明した時は、いったん浴槽を閉鎖して消毒と清掃をすることになる。再び浴槽に入れるのは数時間後になる。時間帯によってはその日の営業は終了となる。洗い場の周辺や浴槽外でのお漏らしに対しては、従業員がデッキブラシで洗い流して部分的に消毒するだけのこともある。現場に遭遇した客の多くはたいていあきらめて直ちに引き上げる。
 転居以来ほぼ毎日市営温泉を利用し、自宅で風呂を沸かしたのは六〜七回しかなかった。入浴料が安価なので自宅で風呂を沸かすのと金銭的にはほとんど変わりない。ふだんほぼ毎日利用してきたのは距離的にも近いバリアフリーの温泉だ。しかしこの半年ほどの間に、何回か上記の現場に遭遇した。風呂場から出る前にしつこいほど上がり湯をかぶる人が多いことをつねづね疑問に感じていた。わかるような気がしてきた。
 これからは日常は自宅の風呂を利用し、週に一、二回ほどやや遠くの市営温泉に行くことになりそうだ。そこは観光客も多いがバリアフリーではなく認知症の高齢者の入浴は少ない。


2015年12月21日(月) ニクウスバタケ:菌糸型がよくわからない
 雨降りの翌日など宇都宮市の都市公園を歩くとあちこちでニクウスバタケがよく目立つ(a〜c)。先日も一部を持ち帰って放置していたところ、すっかり乾燥して丸まってしまった(d)。子実層托面の薄歯は長さが2mm前後ある(f)。薄歯の先の方を薄切りにしようと試みたが、上手く切れなかった(g)。したがって、子実層面もはっきりしない(h)。菌糸のタイプは三菌糸型と思えるが(i)、結合菌糸の分岐が意外と少ない(k)。原菌糸にはクランプがある(j)。子実層には大きな薄膜のシスチジア様のものが見られる(l)。
 
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[終日快晴のよく冷えた日:朝の散歩]
 マスコミによれば昨日の朝はこの冬最も冷えたという。さらに朝から雲一つなく自宅近くの道からは終日女峰山(m)と男体山を仰ぐことができた。散歩道では高さ(深さ?)12cmを超える霜柱が壮観だった(n)。寒さの厳しい日光でもイノシシの被害がひどくなっているという。自宅の周辺でも各所に檻(o)や罠が仕掛けてあり電気柵も広範囲に使われている。
 散歩途中で出会ったきのこといえば、エノキタケ(p)、ヤケイロタケ(q)、カミウロコタケ(r)、カワラタケ、アラゲカワラタケ、カイガラタケ、シハイタケ、チャカイガラタケなどだった。
 
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