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フユノコガサとケコガサタケ:2種のGalerina | |||||||||||||||||||||||||
同じ都市公園でフユノコガサ(Galerina heterocystis)とケコガサタケ(G. vittaeformis)が見られる。この二種はともにケコガサタケ属(Galerina)のきのこで、発生環境はもとより大きさや姿形がとてもよく似ている。きのこの会の同定会場などでもしばしば間違えられているのを見る。 両者の画像を並べて違いを整理してみた。上段にはフユノコガサを、下段にはケコガサタケの対応する画像を並べた。「子実体」(a, a')にはなるべく典型的なものを選んだ。「胞子」(d, d')は表面と輪郭の画像を合成した(左半:表面、右半:輪郭)。「ヒダの縁」(e, e')とはヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみた画像。「ヒダ先端」(f, f')とあるのは切り出したヒダの先端。「シスチジア」(g, g')はともに縁シスチジア。「托の菌糸」(h, h')とあるのは、子実層托実質の菌糸だ。 両者の肉眼的な目安としては、フユノコガサの柄は明色、ケコガサタケの柄は暗色だが、いずれも中間的な色合いの場合があり、カサの色や形同様に決定的な基準にはならない。 決定的に違うのは胞子とシスチジア、クランプの有無だ。フユノコガサの胞子には胞子盤がないが(d)、ケコガサタケの胞子には明瞭な胞子盤がある(d')。フユノコガサの縁シスチジアはフラスコ型で頂部が丸く膨らむが(e〜g)、ケコガサタケの縁シスチジアは便腹型から紡錘形だ(e'〜g')。さらにフユノコガサの托実質やカサ肉の菌糸にはクランプがないが(h)、ケコガサタケのそれにはクランプがある(h')。要は顕微鏡を用いれば、両者を間違えることはない。 |
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スエヒロタケがとてもよく目立った | |||||||||||||
雑誌とパンを買うために宇都宮市まで車を走らせた。市内の都市公園に立ち寄ってみると、スエヒロタケがビッシリつついた倒木や落枝がやたらに多かった(i, j)。中でも細い枝についたものはヒダのある面がとても美しい模様を見せていた(k, l)。 切株などにはカワラタケやカイガラタケをはじめ十数種類の硬質菌が見られたが、気まぐれにヌルデタケ(e, f)とカミウロコタケ(g, h)を撮影した。キヒラタケもあちこちで姿を見せてくれた(c, d)。他には野生のシイタケ(a)、スギタケ(b)、アシナガタケ、ニガクリタケなどが見られた。 |
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晩秋の日光だいや川公園を散策 | |||||||||||||||||||
昨日の暖かさは異常だった。終日曇り空だったが、午前中に日光だいや川公園に行ってみた。週末(11/21〜23)に行われる「日光そば祭り」の準備が始まっていて園内の会場予定地にはテントが多数設営されていた。園内には紅葉も一部に残っているが、舗装道路は別として、遊歩道はすっかり落葉に覆われて地上生のきのこが発生していても全くわからない。 落葉の比較的少ない開けた場所を歩いていると、チャヒメオニタケ(a, b)、ツチスギタケ(c, d)、フウセンタケ属(e, f)、ジャガイモタケの仲間(g, h)などが見られた。立ち枯れの樹にはチウロコタケの幼菌(i, j)やらシワタケの幼菌(q)、ダイダイタケの幼菌(r)などがついていた。 気まぐれに落葉をかき分けてみると、ヌメリイグチ(k, l)やらワカフサタケ属?のきのこ(m, n)などが出てきた。おそらく落葉の下には他にもきのこが出ていることだろう。興味深かったのは、コケの中からケコガサタケ(o)とフユノコガサ(p)の両者が出ていたことだった。いずれも外見はとてもよく似ているケコガサタケ属(Galerina)の小さなきのこだが、ミクロの姿は全く異なる。 |
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再挑戦した干し柿作りだが暗雲が垂れ込め始めた(雑記2015.11.11)。早々と再び青カビが発生し始めている(同2015.11.10)。昨日焼酎で柿の表面のカビを拭きとった。日当たりと風通しの問題だろうか。残念ながら今の住居に、日当たりと風通しのよい場所は全くない。 | |||||||||||||||||||
下野市の天平の丘公園にて | |||||||||||||
昨日は朝からよく晴れ上がったので、日光市から36Kmほど南にある下野市の天平の丘公園まで足を伸ばした。この公園には落葉が深く堆積してリター状になった区画が大きく広がっている。さらにこの区画には落枝や枯れ枝を随所にまとめて置いてある。 ムラサキシメジ(a, b)、エノキタケ(c, d)、ニガクリタケ(e, f)、アシナガタケ(g, h)があちこちから出ていた。コナヨタケによく似たナヨタケ属のきのこも数ヶ所でみられた(i, j)。落ち枝にはヒメキクラゲ(k)やタマキクラゲ(l)、アラゲキクラゲ、キクラゲなどが多数ついていた。 |
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さいたま市に居住していた頃には、自宅から32Kmほどの狭山緑地まで行くのに車で90分ほどかかった。今現在日光市の自宅から下野市の天平の丘公園までは36Kmほどあるが、車でおよそ50〜60分ほどの時間で行くことができる。首都圏と地方都市とでは交通事情は随分違う。 | |||||||||||||
シワタケ:子実層面が独特の姿 | |||||||||||
広義のコウヤクタケの仲間の大部分は一菌糸型の白色腐朽菌で、多くは非アミロイドの胞子をもっている。日光市の川俣温泉で採取したシワタケを覗いてみた。全体がゼラチン質からなるシワタケは半背着生で(a, b)、乾燥するとパリパリの軟骨質になる。カサ上面には白色の軟毛が無数に生えている(a, d, f)。子実層托は細かな網目状にシワがよっている(c, e)。一菌糸型で細長いシスチジアを持ち(g, h)、菌糸にはクランプがある(j)。原菌糸の壁はかなり厚い(i)。
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[野木町の白トリュフの仲間] 栃木県きのこ同好会の集まりの折に、毎年多くの白トリュフが出るという近くの公園に案内してもらった。若いコナラと桜が主体の明るい緑地で、桜の若木周辺にいくつもの白色系のトリュフが出ていた(k, l)。例年はもっと白くてずっと大きなものが出るという。塊の断面を切り出すと大理石模様が見える(m)。球形で棘をもった胞子が多数入っていた。この仲間の胞子は大きいので、対物20倍レンズ(n, o)で十分楽しむことができる。棘の長さなどを正確に計測したければ対物40倍レンズを使うとよい(p)。(cf: 雑記2013.9.27、同2003.10.1、同2002.12.29、etc.) |
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なんだろうか? | |||||||||||
中禅寺湖畔でコフキサルノコシカケのようにも大型のツリガネタケのようにも見える硬質菌が、ミズナラの倒木に群生していた(a〜c)。多年生のきのこで(f)、孔口は菌糸ですっかり塞がれているが(d, e)、切り出してみると5〜6個/1mm(g)、菌糸構造は三菌糸型で(h, i)、原菌糸がえらく少ない。胞子(j)はコフキサルノコシカケのような二重壁ではなく、ツリガネタケの胞子に似ているが、長径がツリガネタケ胞子の半分ほどしかない。
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[下野市と野木町にて] 昨日は終日雨だった。栃木県野木町に向かう途中、下野市の天平の丘公園に短時間立ち寄った。そこではキヒラタケ(k)、ニガクリタケ(l)、エノキタケ(m)、シダレハナビタケ(n)などが出ていた。そのあと野木町のTさん宅で行われた栃木県きのこ同好会の集まり参加した。Tさん宅の広い庭ではクリタケ(o)、スギタケ(p)、ムラサキシメジ、ハタケシメジ、ニガクリタケなどが見られた。参加者全員で歓談しながら楽しく昼食をとってから解散となった。野木町は暖かかったが、日光に戻ると空気が冷たかった。 |
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若いツガサルノコシカケ | |||||||
奥日光ではカサの差し渡しが50〜60cmほどに成長したツガサルノコシカケをよく見かける。久しぶりにモミの倒木についていた若いきのこを持って帰ってきた。何日間か雨が降らなかったにもかかわらず、きのこの成長部の表面には多数の水滴がついていた(a)。子実層托面は菌糸に覆われて孔口がよくわからない(b)。白色の弾力性がある部分にKOHを滴下すると赤みを帯びた色に変わり、やがて褐色に変わった。管孔部を薄切りにした面にKOHを滴下すると暗褐色に変わった(d)。若い菌にもかかわらずカッターでは縦断できず、ノコギリで切り出した(e)。菌糸構造は三菌糸型で(f)、フロキシンで赤色に染まった原菌糸にクランプらしきものは見当たらなかった。
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[宇都宮の都市公園にて] 宇都宮市の都市公園でよく育ったニガクリタケに出会った(g, h)。競輪場の近くで、松のすぐ下の芝のなかからチチアワタケがでていた(i, j)。他にも巨大なチチアワタケがでていたがややバクされ始めていた。また、桜の老木の根元にナラタケ類が密集していた(k, l)。 |
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昨夜から雨になった。今日は終日雨だという。これから栃木県最南部の野木町に出発だ。 | |||||||
結晶を帯びたシスチジアは見つからず | |||||||||||||
栃木市のみかも山公園で桜の立ち枯れにシハイタケ属(Trichaptum)のきのこがビッシリついていた(a, b)。かなり乾燥が続いていたがきのこの縁は強く内側に曲がることなくまっすぐに延びている。子実層托面には孔口が2〜4個/1mmほど見られる(e, f)。三菌糸型で(g)、原菌糸にはクランプがある(h)。結合菌糸(j)は骨格菌糸(i)より若干細いものが多い。子実層の周辺をいろいろ探した見たが、先端に結晶を帯びたシスチジアらしきものは見つけられなかった(k, l)。胞子は全く見当たらない。シロハカワラタケ T. elongatumとして処理しておくことにした。
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[滝ケ原林道のコンキタケと紅葉の大芦川渓谷] 日光市の清滝地区から滝ケ原峠を越えて小来川地区に至る林道には随所にカラマツ林がある。昨日朝その細い山道に車を走らせた。カラマツ林にはキヌメリガサが多数でていた(m〜o)。そのまま鹿沼市の大芦川渓谷に向かって車のほとんど通らない林道を下った。渓谷の紅葉は確かに綺麗だったが(p〜r)、林道の大半がスギ植林地で紅葉を十分に堪能することはできなかった。宇都宮市の駒場梨園のナシ「にっこり」はとても甘くて美味かった。 | |||||||||||||
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シハイタケ:ウスバシハイタケよりやや小ぶり | |||||||||||||
ウスバシハイタケを先に取り上げたが(雑記2015.11.11)、何処にでもよく見られる硬質菌といえばこのシハイタケだろうか。雨の直後(a)と晴天時(b)では見た目がやや異なるが、冬場になるとすっかりミイラ状態になってみすぼらしい姿を晒している(c)。昨日もあちこちで出会った。 観察に使ったのは10月末にみかも山公園で採取したミイラ状のもの(e)。カサ表面の毛は残っているが(f)、管孔部はかなり崩れていた(g, h)。なぜか紫色の子実層托面が少なく「紫(し)背(はい)茸(たけ)」の名に相応しくない。菌糸構造は二菌糸型で(i)、原菌糸にはクランプがある(j)。骨格菌糸は厚壁からなる。先端に結晶を帯びたシスチジアが多数見られる(l)。 |
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[中禅寺湖畔のブナ林と紅葉の鬼怒川遊歩道] 何日ぶりかで秋晴れの空となったので、昨日朝中禅寺湖畔のブナ林を散策した。裸になった樹の下、霜に被われた落葉を踏みしめてのハイキングで(m)、男体山が際立って印象的だった(n)。クチベニタケはまだ多数でていたが(o)、ナメコやムキタケの姿はまったくなかった。 am8:50にはいろは坂を下って鬼怒川沿いの遊歩道に向かった。会津西街道は紅葉最盛期でどこも美しい。首都圏からの車が多いのにビックリした。川治温泉に車を駐め、鬼怒川遊歩道を散策した(p, q)。きのこは既にほとんど終わり、ハナビラニカワタケだけが新鮮だった(r)。am11:00龍王峡の大駐車場は既に観光客の車で満杯だった(雑記2007.11.18)。帰宅後昼食。 |
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ウスバシハイタケ(Trichaptum fuscoviolaceum) | |||||||||||||||||||
日光市の憾満ガ淵遊歩道でモミの倒木に着いていた半背着生のきのこを持ち帰った(a〜d)。子実層は薄歯状で心持ち放射状に並んでいる(b, f)。胞子は非アミロイド。二菌糸型(m)で原菌糸にはクランプがある(n)。シスチジアの先端には結晶がみられるが(o)、KOHで封入すると結晶は解けてしまい(p)、5分ほど放置するとすっかり消えてしまった。担子小柄は見つけられなかったが、担子器らしきものを捉えてみた(q, r)。種の記載が目的ではないので、ここでは詳細は記さない。シハイタケなのかウスバシハイタケなのか迷ったが、宿主がモミであり、子実層が放射状に並んでいるように見えるので、ウスバシハイタケ(T. fuscoviolaceum)とした。
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干柿全滅はあまりにも悔しいので、再挑戦することにした。昨日鹿沼市の農産物直売所で新たに渋柿を少しだけ購入して再び吊るした。いわき市では毎年上手くできていたのだから・・・ |
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