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まるでミネシメジのように見えるLactarius(チチタケ属) | |||||||||||||
金精山への登山道で採取したミネシメジによくにたきのこについてのメモ(a〜c)。数日間冷蔵庫に放置したままだったが、胞子を水封で見るとキシメジ科ではなく、ベニタケかチチタケの胞子のようだった(f)。そこであらためてメルツァー試薬で封入すると間違いなくベニタケ類の胞子だった(g)。現地では乳液は確認できなかったので、きっとベニタケ属だろうと思った。 ところがヒダの断面をみると、ヒダ実質はベニタケ属特有の球形細胞ではなく、チチタケ属のそれだった。ヒダの縁(h)にも側(i)にもシスチジアがある。シスチジアの形や大きさは縁でも側でもほぼ同一(j)。カサや柄の表面にKOHを滴下すると直ちに濃紫色に変色したが(d)、ヒダではほとんど変色しない。カサ表皮の菌糸は錯綜している(l)。なお、乳液は白色で僅かしか出ない(e)。また標準的な三試薬による呈色反応試験はやっていない。標本は観察した後に廃棄した。 |
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異型担子器と異型胞子をもつアカヤマタケ属 | |||||||
このところHygrocybe(アカヤマタケ属)によく出会う。まずは今月15日頃から日光だいや川公園に出続けているHygrocybeについてのメモから。 カサ頂部は尖らず、柄にもヒダにもヌメリは全くなく、ヒダは垂生気味の直生。ヒダ実質は並列型で(c)シスチジアなどはない。フロキシンで染めてKOHでバラしてみると、明らかに大小の担子器が混在している(e)。胞子紋からみた胞子にも大小が混在している(f)。福島県で何度も出会っているネッタイベニヒガサとは肉眼的にも全く異なる(雑記2009.8.4など)。 すぐ近くから出ているもう一株の幼菌は22日になるとほぼ成熟していた。それとは別に18日にこの幼菌からは20mほど離れた場所で、カサ径に比して柄の長いHygrocybeが崩れて倒れていたが、これも異型担子器と異型胞子をもっていた(同2015.8.19)。 |
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一方、金精峠の登山道で採取したHygrocybe(g, j)は、いずれもカサにも柄にもヌメリはなく、単一タイプの胞子(h, k)と担子器を持ち、両者とも胞子は非アミロイドで(i, l)、担子器は四胞子型。アカヌマベニタケに似た赤色のHygrocybe(g)の胞子はそら豆のような特徴的な形をしている。手元の「スイスの菌類図鑑」や「ヨーロッパの菌類図鑑」に該当種は見当たらない。 前述の異型胞子をもった種(a, b)もこれら二種(g, j)も既にどこかで報告されている種なのだろう。今はこれ以上探索するつもりはないので、他のモノグラフや論文類にはあたっていない。 |
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10日前とほとんど変わらず:奥日光 | |||||||||||||
ほぼ10日ぶりに奥日光に入った。天気予報では奥日光は雨。自宅を出発すると今市周辺から雨となり、東照宮前からいろは坂はずっと雨だった。ところが、中禅寺湖畔を湯ノ湖方面に走るとやがて雨は止み、曇り空となった。長いカサを持って歩いたが結局使うことはなかった。 ツノシメジは意外と成長していなかった(a, b)。カンバからは相変わらずムカシオオミダレタケが出ている(c, d)。外見はミヤマイロガワリに似ているが、管孔は垂生でニセアシベニイグチにも似たイグチも引き続きみられる(e, f)。でも、もっとも多いのはヒメベニテングタケ、カバイロツルタケ、クサハツ類、柄の長いイッポンシメジ属菌だ。 遊歩道の脇には、猫の舌(ニカワハリタケ)(g, h)、ザラエノハラタケ(i, j)、オオミノミミブサタケ、スギタケモドキ、ザラエノハラタケ(i, j)、オオカボチャタケなどが出ていた。また、湖畔ではトガリツキミタケ(k, l)が多数乱立していた。発生しているきのこはこの2週間あまり変化はない。 |
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都市公園はイグチだらけ | |||||||||||||||||||||||||
昨日午前中に近くの都市公園を散策した。きのこ観察だけでなく、左足の炎症による痛みが、革のチロリアンシューズに耐えられるかどうか試してみるのも目的の一つだった。駐車場でチロリアンシューズに履き替えて歩き出した。公園内はきのこが大発生で、特に大型イグチ類とテングタケ類、キシメジ科、ベニタケ類、アカヤマタケ属などが大量発生していた。 足の痛みのことはすっかり忘れて、次々に現れるきのこに見入ってしまい三時間以上公園をうろついてしまった。帰宅したら正午を過ぎていた。靴を脱ぐと痛みが押し寄せてきたが、歩行中は足の痛みを感じている暇はなかった。ということは、この靴で歩けるということだ。 以下にはそれらのうち、イグチ類の一部を列挙した。(a)〜(c)は微妙に異なる。ヒメヌメリイグチ(k, k')に出会ったのは久しぶりだった。美しいアケボノアワタケ(j, j')も多数でていた。 |
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公園の杉林では興味深いHygrocybe(アカヤマタケ属)がいくつも出ていた。 | |||||||||||||||||||||||||
ヒダハタケ:金精峠の登山道にて | |||||||||||||
金精峠の登山道脇で傷み始めたヒダハタケを採取した(a〜c)。胞子(d)は非アミロイド(e)だが、偽アミロイド(f)のものやら極端に大きな胞子(g)がかなりの頻度で見られた。持ち帰った時にはきのこ本体がすっかり崩れて、ヒダの切り出しは不可能だった。そこでなんとか形を保っていたヒダをスライドグラスに寝かせて縁を見た(h)。倍率を上げると縁シスチジアが多数みられた(i)。側シスチジアも多数あって、縁シスチジアと形も大きさも同じようだ(j, k)。単子器の基部のクランプの有無は確認できなかった(l)。
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「キノコのフォトアルバム」にこれまで「ヒダハタケ」として掲載していたきのこは、「ムクゲヒダハタケ Paxillus sp.」とするのが妥当と判断して修正した。 |
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またまたオオミノミミブサタケの胞子遊び オオミノミミブサタケが相変わらず発生を続け、胞子を盛んに噴出し続けている。そこで複数のカバーグラスに噴出された胞子をたっぷり付着させた。これをドライ(封入剤なし)、エタノール、コットンブルー、メルツァー試薬で封入して遊んだ。画像の倍率は対物40倍。 ドライの低倍率(対物20倍)では、画像は不明瞭だが胞子表面の縦筋はわかる(m)。しかし倍率を40倍に上げるとかえって曖昧になった(n)。このプレパラートに対して、カバーグラスの脇からエタノール(消毒用アルコール)を注ぐと途端に画像が明瞭になった(o)。コットンブルー(p)、メルツァー試薬(q)でも、胞子表面の縦筋は明瞭に捉えられる。KOHや水で封入した場合、胞子表面に合焦しても胞子の縦筋はあまり明瞭には捉えられなかった。30%程度の濃いKOHで封入して5〜6分ほど放置すると、ミミブサタケの場合と同じように、胞子の外壁が溶けだした(雑記2015.8.20、同2015.8.6、同2007.7.30など)。 |
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金精峠から金精山への稜線にて | |||||||||||||||||||
昨日は早朝から自宅周辺はどんよりした曇り空。中禅寺湖方面に車を走らせると、すでに今市周辺から雨になり、いろは坂もずっと雨。中禅寺湖まで上がると曇り空になったが、山々はすっかり雲におおわれて湖と空の境目が分からない状態だった。 金精トンネル入口の駐車場に車を駐めた。金精峠までは急傾斜の山道を標高差200mほど登る。歩き出した時は一面濃い霧の中。やがて途中から霧はすっかり消えて、眩しい青空になった。峠まで登ると金精山が指呼の距離にみえ、雲海の向こうには男体山が聳えていた。眼下にあるはずの中禅寺湖も湯の湖も全く見えない。下界は雨だったのだろう。 稜線を金精山近くまでを歩いたところ、きのこが豊富にあってなかなか進めない。フウセンタケ属もかなり出始めていた。何故か泥に汚れたきのこが多かった(c, i)。 以下は例によって出会ったきのこの一部だ。アシベニイグチ(a, b)、アメリカウラベニイロガワリ(c, d)、不明なイグチ(e, f)、ヤマイグチ(g, h)、キヒダタケ(i, j)、真っ赤なHygrocybe(アカヤマタケ属)(m, n)、黄橙色のHygrocybe(m, n)、トビチャチチタケ(o, p)、フサクギタケ(q, r)。 |
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高い山では台風の影響も早くから現れる。朝のうちこそ青空が現れたが1時間と持たなかった。am10:20頃には下山し始めたが、途中からすぐに一面雲に覆われた。雲の中は霧雨。昼ころに帰宅した時は曇り空だったが、やがて雨が降りだした。 | |||||||||||||||||||
無線LANから有線LANに切り替えた | |||||||
日光市に転居してから二ヶ月、この間ずっとインターネットが極端に遅く、しばしば不安定な状態が続いていた。どうやら主因は無線LANにあることは明らかだった。 光ケーブルの引込口は玄関脇にある(a)。各部屋は独立性が高く、壁か扉を加工しない限りLANケーブルを部屋に通すことはできない(ようにみえた)。そうなると選択肢は無線LANしかない。そこでいわき市でも使っていた無線LANルータを使うことになった。 ところがメインパソコンのある顕微鏡室(d)ではネット接続が極端に遅く、メールがしばしばタイムアウトになって受信できなかった。そこであらたにハイパワータイプの無線ルータを購入し、更に各部屋には無線中継器も設置したが、事態は期待したほどには改善されなかった。 借家なので扉や壁を加工することは許されない。そのため有線LANの使用は諦めていたが、つい最近になって部屋の扉の下には3〜4mmほどの隙間があって(c)、ここにLANケーブルを通すことができることに気づいた(雑記2012.11.12、同2012.1.29)。 早速ソフトタイプの黒色LANケーブルと車用の小さな配線固定具を利用して、玄関脇のルータから顕微鏡室までケーブルを固定した(b, c)。二階のパソコン(f)までは水色のケーブルを用いた(e)。配線はほとんど目立たない(b, c, e)。ネット環境は嘘のように改善された。 |
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亜高山帯や山間部ではきのこが豊富だが、都市公園ではきのこの姿は非常に少ない。 | |||||||
雨の夫婦淵遊歩道を散策 | |||||||||||||||||||
昨日朝、川俣温泉の先の夫婦淵のバス停まで車を走らせた。路線バスも一般車もここが終点で、これから先は加仁湯温泉や手白澤温泉などの送迎バスしか通れない。雨にもかかわらず夫婦淵の駐車場には首都圏からの車が多数駐車していた。 遊歩道を歩き出すと多種多様のきのこが出ていてなかなか先に進めない。結局二時間半ほどの間に800mほどしか歩けなかった。そこで出会ったきのこの一部を以下に掲載した。 猛毒のタマゴタケモドキ(a, b)、コテングタケ(c, d)、やけに色の濃いナスコンイッポンシメジ(e, f)、ヒダハタケ(g, h)、イロガワリ(i, j)、ハンノキイグチ(k, l)、オオミヤマトンビマイ(m, n)、アカヤマタケに似た黒変しないきのこ(o, p)、カヤタケ(q)、コゲエノヘラタケ(r)。 今年はアイゾメイグチとアオネノヤマイグチの当たり年なのだろうか。昨日もそうだが、この両者とオオミノミミブサタケには実によく出会う。他にもシロノハイイロシメジはじめキシメジ科のきのこ10数種、ベニタケ属、チチタケ属、子嚢菌にも各々10数種出会ったが、不思議とフウセンタケ属にはまったく出会わなかった。以上いずれも遊歩道脇で見たものばかりだ。 |
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休日というといつも渋滞する鬼怒川温泉周辺を、昨日はスイスイと走ることができた。 | |||||||||||||||||||
Tremella(シロキクラゲ属)のグニャグニャきのこ | |||||||||||||
中禅寺湖畔のブナ林で倒木に着いていたTremella(シロキクラゲ属)の仲間を持ち帰った(a, b)。この仲間は単子器の形(j, k)だけみるとExidia(ヒメキクラゲ属)の担子器と似ているが、胞子の形はExidiaのソーセージ形に対して、Tremellaでは類球形をしている(c, d)。さらに発芽の形式が両属は全く違い、Exidiaでは菌糸状になるが、Tremellaでは酵母状になる(e, f)。 キクラゲの仲間は胞子も透明、子実層や担子器も透明なので、水やKOHだけでプレパラートを作ると、コントラストが弱くて観察困難になる。そこで、一般的にはフロキシンで染めて観察することになる。胞子一つとっても水(c)とフロキシン(d)では見やすさがずいぶん違う。フロキシンで染めた時の胞子サイズの変化は統計上の誤差の範囲内にあり問題とはならない。 また胞子も担子器も大きいので、対物レンズ40倍で観察するのが全体像を捉えやすい(i)。ここではあえて油浸100倍を使って撮影した。何ごとにも例外があるらしく、このきのこでも、酵母状に発生(f)せずに、菌糸状に発生(g)するものも見られた。シロニカワタケとしてよさそうだ。 |
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アオネノヤマイグチが多数出ていた | |||||||||||||
昨日いつもの時刻に朝食を済ませてから中禅寺湖畔に上がり傘をさしてブナ林を散策した。昼前に自宅に戻ったが、湖畔はずっと小雨から霧雨が降り続いていた。 歩き始めてすぐに迎えてくれたのはドクツルタケ(a)とヤマイグチ(b)だった。やがてアオネノヤマイグチが次々にあらわれた(c, d)。中には束生しているものもあった。ついでクリイロイグチ属の代表的な二種であるアイゾメイグチ(e, f)とクリイロイグチ(g, h)があらわれた。 管孔がかなり虫に喰われた真っ黒なイグチ(i, j)は、現地ではクロニガイグチなのかオオクロニガイグチなのかわからなかったが、カサ表皮の構造が柵状被ではなく毛状被であることからオオクロニガイグチとした。クチベニタケも多数見られた(k, l)。 他にも、ヌメリニガイグチ、コウジタケ、アワタケ、カヤタケ、シロイボカサタケ、キイボカサタケ、アラゲコベニチャワンタケなども見られた。全般的にきのこの姿は少なかったが、秋のキノコであるムラサキアブラシメジモドキはじめいくつかのフウセンタケ属菌も出てきた。 |
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昨日は雨にもかかわらず観光客の姿がとても多かった。どこの駐車場も混んでいた。 | |||||||||||||
ツノシメジが出始めた | |||||||||||||
神奈川からやってきた客人二名と一緒に奥日光を歩いた。天気予報では終日雨ということでカサを持って歩き始めた。歩き始めは小雨模様だったが途中からはほとんど止んで、時折陽が射すこともあった。悪天という天気予報のせいか観光客は少なく静かな奥日光を楽しめた。 先の日曜日はみられなかったツノシメジに出会うことができた(a, b)。ヒメベニテングタケ(c, d)やヌメリニガイグチ(i, j)、ヒメコナカブリツルタケ、カバイロツルタケ、アワタケ、コウジタケ(k, l)、アシベニイグチ、ミヤマイロガワリは相変わらず多数見られた。オオミノミミブサタケも多数の株に出会えた(g, h)。ハナガサタケは泥汚れでお世辞にもきれいとはいえない姿だった(e, f)。 |
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帰路のバス停近くまで辿り着いたところで、背負っていたはずのザックがないことに気づいた。急いで遊歩道を引き返すと、ザックが一人寂しくミズナラの巨木に寄りかかっていた。 | |||||||||||||
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