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2015年12月10日(木) 典型的なカワウソタケ
 近郊の都市公園でソメイヨシノの老木にカワウソタケが群生していた。先月非典型的なカワウソタケを取り上げたが(雑記2015.11.5)、今回出会ったのは典型的なカワウソタケだ(a〜c)。重なりあったきのこにや周辺の材は胞子ですっかり黄褐色になっている。
 カサ表面に指先で触れてそのままスライドグラスに指を置くと多量の胞子が付着した。それを検鏡した。孔口のサイズや切断面の様子は従前のそれと変わらない。子実層やカサ肉の菌糸を見るとまるで骨格菌糸や結合菌糸があるかのように見えるが、いずれも隔壁をもった原菌糸だ。
 子実層托の菌糸を何ヶ所もバラしてようやく剛毛体らしきものを見つけた。いずれにせよ剛毛体はかなり少ないようだ。カサ肉の菌糸には細くて細かく枝分かれした結合菌糸のような特異な菌糸が多数ある。このタイプの菌糸は子実層托の菌糸には見られない。
 
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(a, b, c) 子実体、(d) 胞子、(e) 孔口、(f) 切断面、(g) 子実層の菌糸、(h) 剛毛体、(i) カサ肉の菌糸、(j) 隔壁がある、(k, l) カサ肉に目立つ菌糸:結合菌糸か?

 この肝心の時に必需品のブリキ製湯たんぽが二つダメになった。今朝ネット上で注文した。


2015年12月9日(水) ホウネンタケ:胞子がたっぷり落ちた
 宇都宮市の都市公園で倒木から出ていたホウネンタケを覗いてみた。孔口が紫褐色を帯びているが(c, e)、キノコの縦断面をみるとカサ肉も管孔も暗褐色で、紫色を帯びていない(d, f)。1時間ほどカバーグラスの上に放置しておいたところたっぷり胞子が落ちた。胞子は楕円形(i)。孔口は4〜5個/1mm(g)。菌糸構造は三菌糸型のようだが(j)、原菌糸がとても少なく、クランプの有無などは確認できなかった(j, l)。さらに、カサ肉の菌糸にはほとんど原菌糸が見られなかった(k)。
 
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 今朝はとてもよく冷えている。昨日が終日快晴だったから放射冷却の効果が大きかったのだろう。今日は朝食後に茨城県つくば市へ出発。帰りに日光市営の温泉に入って戻る予定。


2015年12月8日(火) フロキシンを使わなくてもわかるけれど・・・
 栃木市のみかも山公園から持ち帰ったキカイガラタケをバラしてみた。この時期まず胞子は見当たらない。観察するのは菌糸構造だけとなる。組織の微小片を切り出し、フロキシン・消しゴム法でバラした。対物40倍レンズでみると原菌糸は赤く染まる。どうやら三菌糸型のようだ(f)。倍率を上げると、原菌糸のクランプが明瞭になった(g)。薄膜のシスチジアがある(j)。
 フロキシンを使わずに菌糸をバラしても確かに菌糸構造はわかる(k)。しかし、低倍率だと原菌糸と結合菌糸を区別するのが難しいケースも多い。厚壁の原菌糸はしばしばまるで結合菌糸のように見える。クランプを持っていればまだしも、そうでないケースでは隔壁を見つけ損なうと、判断を誤ることになる。
 その点フロキシンを使えば、多くの場合原菌糸は赤色に染まるから、低倍率でもそれと分かる。さらに菌糸が無色(白色)透明な場合などはコントラストがはっきりするメリットもある。硬質菌の菌糸構造の判定には、やはりフロキシンを用いるのがよさそうだ。
 
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(a) カサ表面、(b) カサ裏面、(c) サンプル、(d) 裏面、(e) 断面、(f) 菌糸型、(g) 原菌糸、(h) 骨格菌糸、(i) 結合菌糸、(j) シスチジア、(k) フロキシンを使わず:三菌糸型とわかるが・・・、(l) フロキシンを使わず:原菌糸が見える


2015年12月7日(月) サカズキカワラタケ:原菌糸が非常に少なかった
 今の時期日光植物園やら憾満ガ淵周辺を歩くと、足元にサカズキカワラタケを多数つけた枝があちこちに落ちている。憾満ガ淵から持ち帰った標本を切り刻んで覗いてみた。例によってすでに胞子は全く見られなかった。丸い盃状のものには子実層はない(b, d)。
 裏面の孔口は2〜4個/1mm。切断面を見ると(f)、カサ表皮に下皮はほとんど見られない(f)。菌糸構造は三菌糸型だが(i, j)、原菌糸の含有率が非常に少ない。まるで骨格菌糸と結合菌糸(l)だけからなっているかのようだ。特に盃状のものでは原菌糸がさらに少なかった。原菌糸にはクランプがあるようにもないようにも見える(k)。
 
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[久しぶりの日光だいや川公園]
 日光市周辺はすっかり冬の気配となり都市公園の樹木もすっかり葉を落とした。足下は舗装された遊歩道以外の部分は落ち葉が厚く堆積して、うかつに踏み込もうものならくるぶしまですっかり落ち葉の中に埋もれてしまう。
 たくましくもいくつかの軟質菌がでていた。フユノコガサ(m)、シイタケ(n)、スギエダタケ(o, p)、ニガクリタケ(q)、ツチスギタケ(r)、ナヨタケ属のきのこなどだった。
 
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 昨日午後、菌懇会のGさんがやってきた。久しぶりに夜中の2:00頃まで三人で飲んだ。


2015年12月6日() チャカイガラタケ:ミイラを観察
 葉を落としたこの時期、広葉樹の枯樹にはチャカイガラタケがよく目立つ。白色腐朽菌だがこの時期にはほとんどミイラと化しているので、αナフトール・アルコール溶液を滴下しても濃紫色に変色することはない。材の腐朽型を試薬で確認できるのは、新鮮な子実体の時だけのようだ。さらにミイラ状態のきのこでは胞子を見つけられる可能性も低い。
 先週末に日光で見られるチャカイガラタケはやはりかなりミイラ化が進んでいた(a, b)。カサ表面もヒダもかなり崩れている。菌糸構造は三菌糸型で(g)、原菌糸にはクランプがある(h)。典型的な結合菌糸がをもっている(j)。カサ表皮の菌糸には原菌糸はほとんど見られない(l)。子実層上面には茶褐色の枝先の様な姿の菌糸がしばしば見られる(k)。
 
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(a) カサ上面、(b) 裏面、(c) 検鏡したもの、(d) カサ表面、(e) カサ裏面、(f) 断面、(g) 菌糸型、(h) 原菌糸、(i) 骨格菌糸、(j) 結合菌糸、(k) 子実層、(l) カサ表皮の菌糸

 昨日早朝車のフロントガラスが凍っていた。霜落としでガリガリやってから駅に向かった。2時間半後の都内は暖かく日中もかなり気温が上がり歩いていると暑いくらいだった。夕方日光に帰宅すると、駅前に停めてあった車のガラスが再び凍っていた。


2015年12月5日() ダイダイタケ:多数の大きな剛毛体がある
 先に見かけがダイダイタケによく似たネンドタケを観察したが(雑記2015.12.4)、ここではダイダイタケそのものを取り上げた。自宅近くの朽ちたクヌギの切り株に多数ついていた(a, b)。孔口は4〜6個/1mmで(e)、きのこの断面を見ると二つの暗色の境界層がある。カサ表皮とカサ肉の間とカサ肉と子実層の間だ。二つの暗色の境界層の間は比較的明るい黄褐色だ(d)。しかし何といっても特徴的なのは大型の剛毛体がとても沢山あることだ(g〜k)。基部の長いものがあったり(j)、大きさもいろいろある(i, k)。菌糸構造は一菌糸型だ。明色で子実層のように見えるものがあったが、担子器などは見つけられなかった(l)。胞子は全く見当たらなかった。
 
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[城跡のある杉の山]
 下野大沢駅の周辺ではもっとも高い山が城跡のある城山だ(m)。全山スギ植林に覆い尽くされた山で標高443m、麓から山頂までの標高差は150m。およそきのこ観察にはまったく不向きな山だがこれが侮れない。集落の名跡で毎日登っている人たちが多数いる。
 昨日朝の散歩で山頂を目指した(n)。どこまで行っても杉木立の中を登るのだが、途中で多くの人に出会った。山頂からの見晴らしはよく、昨日は雪雲に覆われていたが、女峰山(o)から高原山(p)までよく見晴らせる。眼下には自宅周辺の集落もよく見える(q)。きのこはニクウスバタケとニガクリタケ(r)くらいしかなかった。元旦の初日の出を拝むにはよい山に思えた。
 
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 今日はこれから東京まで行ってパンを買ってくることにした。友人と昼食をして帰宅する。


2015年12月4日(金) ダイダイタケのようにも見えたが・・・
 宇都宮市の都市公園でタバコウロコタケ科のきのこが目に入った(a, b)。ちょっと見たところダイダイタケに似ていた。広葉樹の倒木からでていて、カサの縁が明るい黄色で表面には細かなビロード状の毛が密集している(g, h)。しかしカサの中央付近はネンドタケを思わせる。
 孔口は4〜6個/1mm、菌糸構造は一菌糸型のようだ。剛毛体が多数見られる(k, l)。すでに半ばミイラ化しているらしく、どこを探しても胞子は見つからなかった。肉眼的にはダイダイタケのようにも見えるが、きのこの断面を見ると違っていた。カサ肉の色が全体的に暗色であること、上下二層の暗色の境界層がないことなどからダイダイタケではない。ネンドタケとしてよさそうだ。
 
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 昨日は異常に暖かい一日だった。日中散歩をしていて汗をかいたが、夕方から冷たい風が強くなった。今朝は昨日よりは気温が低いがまだ本格的な12月の寒さではない。


2015年12月3日(木) 自宅近郊の田園地帯にて
 6月に現在地に転居してから11月半ば頃までは、自宅周辺をじっくりと散策したことはなかった。そこで先月末頃から毎日、周辺の田園地帯を60〜90分間ほど歩き回るようにした。5分も歩けば田畑が広がる一帯に出ることができる。
 昨日午前中もコンパクトカメラを首にかけて城山の周辺まで歩いた(a〜f)。随所に市が設置した史跡案内板などもあり(d)、遠くには日光連山も見晴らせる(e)。踏切があっても1時間に1本ほどの電車にはなかなか遭遇できない(b)。随所にちょっとした広葉樹林もあるが周辺の林の大部分は杉林で、きのこの観察にはおせじにもよい環境とは言いがたい。
 1時間ほどの散歩の途中で出会ったきのこといえば、ニガクリタケ(g)、ヒメキクラゲ(h)、カワラタケ(i)、カイガラタケ(j)、アラゲカワラタケ(k)、モミジウロコタケ(l)くらいのものだった。
 
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 暖房機器として使っていた一階和室のエアコンが数日前に動かなくなった。連絡すると古い製品のため既に部品はないとのことで、昨日昼に新たなエアコンを設置してもらった。エアコンのシーズンオフのため、ほとんど待ちはなく直ぐに工事に来てくれた。


2015年12月2日(水) 久しぶりにコフキサルノコシカケを検鏡
 奥日光から持ち帰ったコフキサルノコシカケを気分転換にいじくり回してみた(a〜c)。そのうちの一つを糸鋸で切り出した(d)。いかにも多年生らしく子実層が複数みえる。採取した直後には孔口を撮影して(e)、胞子を見て(f)、そのあと放置したままにだった。新たに菌糸をほぐして三菌糸型と原菌糸のクランプや結合菌糸を再確認した(g〜i)。
 2007年8月に埼玉県さいたま市で採取した同種のサンプル(j)が残っていたので、これからもあらためて胞子をスライドグラス付着させて確認した。既に8年以上経過しているにもかかわらず、多量に胞子がとれてしかも比較的綺麗な画像を得られた(k, l)。
 
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2015年12月1日(火) 奥日光ハイブリッドバス運行最終日に
 奥日光の赤沼車庫から千手ヶ浜までを結ぶハイブリッドバスは例年11月30日をもって運休になる。運行最終日の昨日、始発のバスに乗るべく朝七時前に自宅を出発した。
 赤沼駐車場に到着すると車は数えるほどしかなく(g)、乗客はわれわれ二人を加えても十人に満たず、他の客はオオワシなどの撮影を目的の鳥屋さんだった。路面はすっかり凍り(i)、小田代原もすっかり冬景色で(k)、雪と氷に被われた西ノ湖周辺には誰もいなかった(l)。早朝は曇っていた空も午前九時過ぎにはすっかり晴れ上がり山がとても美しかった(j)。
 散策した周辺はどこも雪に覆われていて、地上生の軟質菌が出ていたとしても見えない。材上生の軟質菌にもまったく出会わなかった。硬いきのこでは、コフキサルノコシカケ、ツリガネタケ、カワラタケ、カイガラタケ、ツヤウチワタケ、チャウロコタケ等によく出会った。興味深かったのはハルニレの根元に「猿の腰掛け」ならぬ「猿のテーブル」ほどの大きさに広がった多年生の白色きのこ(a, b)と、立ち枯れの巨木の洞に出た真っ黒い大きなきのこ(c, d)だった。カバノアナタケの菌核(e)や大型のヒダキクラゲ(f)にも出会った。
 
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 来年1月9日と31日に行われるスライド会の日の宿を千葉県と神奈川県に予約した。希望のタイプの部屋は既にアキがなかったり、宿自体が満杯だったりした。


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