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重生するカサを作ったカミウロコタケ | |||||||||||||
カミウロコタケというと背着生のキノコといったイメージが強い。近くの雑木林で出会ったカミウロコタケは、大きな半円形のカサを重生させたり(a〜c)、80cmほどの長さで幅5cmほどのカサを作っていた(d〜f)。アラゲカワラタケのような姿で重生するカサを作るとは思ってもいなかった。両者ともカミウロコタケの証拠に、キノコの断面を切り出すと(g)、先端に多数の結晶を帯びた大きなシスチジアが見られる。子実層から突出したり、子実層の中に埋もれたりしている(h〜j)。KOHで封入してバラすと、封入直後はまだシスチジア先端の結晶が見られるが(k)、数分間放置すると結晶はほとんど溶けてしまう(l)。
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今日は千葉菌類談話会のスライド会・新年会がある。これから東武日光線に乗って千葉に向かう。今夜は千葉市泊まりにした。 | |||||||||||||
チヂレタケ:釈迦ヶ岳では異様な血色が | |||||||||||||
日光市の遊歩道ではいまだにチヂレタケのついた枝が頻繁に見られる(a〜d)。短毛の密生した柄のあるもの(b)ばかりではなく、ほとんど背着して柄のないものもある(c)。断面をみると毛被層の直下に境界層がある(e)。たぶんダメだろうとは思ったが、やはり胞子紋は落ちなかった。断面を切り出してみたが、うまく薄切りにはできなかった(f)。菌糸構造は一菌糸型でクランプがある(g, h)。担子器は豊富にあるが、胞子は見つけられなかった(i)。 少し前に高原山釈迦ヶ岳で出会ったチヂレタケは(j)、いくつもの子実体で子実層面の一部が血色に染まっていた(k, l)。カサの側からは血の色はどこからも全く見えなかった。きのこの内部からしみ出したとしか思えないのだが、赤色の部分の菌糸を顕微鏡でいくら見ても汁管菌糸や乳管菌糸のようなものは見つからなかった。 |
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ニセニクハリタケ:強烈なシナモンの臭い | |||||||||||||
栃木市の出流山満願寺の参道で倒木からニセニクハリタケがでていた(a〜d)。このきのこには強烈なシナモンの臭いがあり、そのためフィールドでほぼ同定可能とされる。乾燥するとやや色味が抜けた(e)。針は3〜4個/1mmで(f)、カサの縁の方には針はない(g)。一本一本の針を拡大すると、シスチジアがついていることがわかる(h, i)。シスチジアは頭部に結晶を密布している(l)。胞子は非アミロイドで(j)、菌糸構造は三菌糸型(k)。原菌糸にはクランプがある。結合菌糸を認めず二菌糸型とした図鑑もあるが、いずれにせよ一菌糸型ではない。
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プロパンガスの請求書を見て驚いた。昨年11月や12月の請求金額と比較して使用料で10m3以上、金額で6,000円以上も高かった。10月、11月と違ったことといえば、自宅の風呂を7〜8回ほど沸かしたことくらいだ。それ以前は月に1回ほどだった。一回自宅の風呂を沸かすと、プロパンガス代金だけでも600〜700円ほどかかることになる。水道料金は70〜80円ほどだろう。 冬場の日光で一回風呂を沸かすプロパンガス代は常識的には250〜300円ほどだろう。追い炊きのできない給湯方式で体を伸ばせる和式風呂(300L)と60度までしか上がらない給湯器のためなのだろうか。一方、二人で市営温泉に一度行っても、入湯料金とガソリン代は計450〜600円ほどですむ。となると、嫌でも日常の風呂は銭湯(市営温泉)に通うしかなさそうだ。 |
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ハルニレ巨樹の根元の大きなきのこ | |||||||||||||
奥日光では大樹の根元に特徴的な大きな硬質菌を見かける。この冬は雪がないのでよく目立つ。多年生の白色のきのこで、カサ上面にはたいてい蘚類のコケが生えている(a〜e)。大きなものではカサのサイズがゆうに1mを超える(a)。すっかりコケに覆われ尽くされてきのこの姿が全く見えないものもある。これまでは広葉樹一般に出るものと認識していたが、あらためて樹種を確認するとすべてハルニレだった。一部を切り出して持ち帰ってきた。 断面をみると何層もの子実層が重なっている(f〜i)。何年間も年を越してきた証といえる。孔口の数は4〜6個/1mm(j)、菌糸構造は一菌糸型でクランプはない(k)。Oxyporus属(シロサルノコシカケ属)のきのこだろう。子実層には厚壁のシスチジアらしきものがある(l)。外見はシロサルノコシカケに似ているが、もしそうなら頭部に金平糖状に結晶をつけた細長いシスチジアがあるはずだが、そういった構造物は見つけられなかった。子実層の部位を変えて検鏡すればそういったシスチジアを見つけられるのかもしれないが、持ち帰った断片には見いだせなかった。ニレサルノコシカケ Rigidoporus ulmarius としてよさそうだ。 |
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普通の年なら今の時期に戦場ヶ原や千手ヶ浜を歩くには、スキーやスノーシューが必要で、大樹の根元に大きなキノコがあっても雪の下になって全くわからない。 | |||||||||||||
大木の高い所の巨大な硬質菌二点 | |||||||||||||
一昨日の戦場ヶ原遊歩道では、大きな樹木の高い所から発生している巨大な硬質菌にいくつか出会った。これらのキノコがいったい何者なのか知ろうとすれば結構難儀する。背伸びをしてもキノコには手が届かない。よしんば届いたとしても硬くて一部を切り出すのが大変だ。以下の二つは種名にまでは到達できなかった。両者とも左右60cm以上あった。 上段のキノコは広葉樹の高さ4mほどの位置に着いていた(a, b)。2mほどの枯れ枝を見つけて、子実層と思われる部分を何度かつついて一部を入手した(c)。発生からかなり時間が経っているのか、子実層は真っ黒でとても脆い。孔口は2〜4個/1mm。どうやってほぐしても菌糸らしきものが見つからなかった(f)。何度やっても結果は同じだった。まったくのお手上げ! 下段のきのこはミズナラの高さ5mほどの位置に着いていた(g)。やっとのことで見つけた長い枯れ枝で子実層をつついてかけらをいくつか入手できた(h)。孔口は2〜4個/1mmだが、乱れた形の方が多い(j)。これは簡単にほぐせて、多数の剛毛体があることがわかった。菌糸構造は二菌糸型で、Phellinus(キコブタケ属)らしいことまでは判明した。でもそれまでだった! |
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昨日も異常に暖かな一日だった。マスコミによれば3月末から4月の陽気だったという。
[pm3:00追補] [オオカボチャタケの老菌だった!] |
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戦場ヶ原に全く雪がない! | |||||||||||||
昨日朝8:30頃に戦場ヶ原の散策と硫黄泉入浴を目的に奥日光に出向いた。異常な高温の正月で、いろは坂ばかりか戦場ヶ原に上がっても道路に雪が全くなかった。過去30数年間こんなことはなかった。湯滝駐車場に車を駐めて、遊歩道に足を踏み入れたが、北側の一部に雪が残ってはいるものの(a)、日向には全く雪がなかった(b)。戦場ヶ原から眺める男体山は晩秋の風景のようだった(c)。例年ならすっかり凍っている滑滝も秋とほとんど変わりない(d)。むろん中禅寺湖畔にも全く雪はない。散策にはスキーもスノーシューもいらない。スニーカーで十分だ。 カンバの高いところに遠目にもよく目立つ大きなキノコがついていた(e)。少し登って長い棒で突いて落とした。差し渡し30〜40cmにも育ったカンバタケだった(f)。ミズナラやモミ、シラビソの大木には巨大な硬い塊状のキノコがいろいろついていた(g; i, j; k)。いずれも背丈を超えた高さの場所で、子実層の一部だけをかろうじて採取できた。クロサルノコシカケは低い場所(h)やら高いところにもついていた。流れに倒れた樹木にはすっかり乾燥しきったサンゴハリタケも見られた(l)。 |
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湯滝周辺の戦場ヶ原遊歩道を2時間ほど散策したあと、湯本温泉に行って硫黄泉に浸かってから帰宅の途についた。いろは坂を降りると、日光宇都宮道路での交通事故のため神橋を中心に長い長い大渋滞となっていた。2kmほどの通過に50〜60分ほどかかりそうだった。渋滞列の中で待つのはいやなので、30Kmほど遠回りとなる峠越えの山道を選んだ。峠にはしっかり雪がついていた。他にも数台同じような大迂回をしている車がいるのを知って苦笑いだった。 | |||||||||||||
正月初ハイキング:篠井連峰 | |||||||||||||
宇都宮市の篠井連峰の榛名山と男山を歩いた(a, b)。今年初のハイキングだ。山稜付近にだけアカマツや広葉樹も混じるが、大部分が杉林ばかりの山径にうんざりした。それでも天候に恵まれ山頂からの展望はとても良かった(c)。出会ったハイカーは一組だけだった。 スギばかりゆえキノコはほとんど期待していなかったが、ニガクリタケはよく出ていた(d)。硬いキノコでは立ち枯れの樹一面のヤケイロタケが美事だった(e, f)。他にはアラゲカワラタケ(g, h)、ヒメシロアミタケ(i, j)、ヒメシロカイメンタケ(k, l)、カワラタケ、シハイタケだけだった。そうそう、わずかにシックイタケにもであった。やはり杉林では硬質菌も貧しい。 スギにつくキノコについてある種の傾向を感じた。日光市周辺のスギにつく白色のきのこといえばほとんどシックイタケばかりでヒメシロカイメンタケはあまり見かけない。一方、宇都宮市篠井の山ではたいていがヒメシロカイメンタケでシックイタケは圧倒的に少なかった。 |
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年末から市営温泉は長い休み。左足親指の痛みもひどく、温泉が恋しくなってきた。今日は雪の少ない戦場ヶ原を散策して、(市営ではないが)硫黄泉に入ってくることにしよう。 | |||||||||||||
ホウロクタケ:一年生から多年生まで | |||||||||||||
初日の出やら初詣など元旦の散策の途中ではシックイタケ、シハイタケ、カワラタケ、アラゲカワラタケ、カイガラタケ、ヒメシロアミタケ、スエヒロタケ、ホウロクタケに出会ったが、どれも採取はしなかった。以下のホウロクタケはいずれも昨年末に採取したものだ。 ホウロクタケは寿命の長いきのこらしい。一年生のものもあれば、三年以上も生きる多年生のものもあるようだ。きのこの断面を切断してみるといろいろ興味深いことがわかるので、ここでは子実層にだけ注目して、(a)から(d)の四つの子実体を眺めて遊んだ。注目すべきは(a'')、(b'')、(c'')、(d'')だ。これらをみると子実層が一層から多層になっていることがわかる。 (d)のきのこは立ち枯れの樹木に発生して子実体を作っていたが、樹木が倒れて次年からはその状態の中で新たな子実体を作ったのだろうか。子実層などが90度ずれている(d'')。 |
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[村社 春日神社に初詣] 初日の出参拝のあと、いったん帰宅してから改めて反対方向に初詣に向かった。山々を眺めながらJR日光線に沿っておよそ30分ほど歩くと春日神社に到着。訪れる初詣客は少なくいたって静かだった。元旦の散策は初日の出と初詣でおよそ10Kmほどになった。 |
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タバコウロコタケ科の異端児ミヤベオオウロコタケ | |||||||||||||
日光市の憾満ガ淵でミヤベオオウロコタケに出会った(a, b)。このきのこはちょっと見たところはキウロコタケ属のように見えるが、傷をつけても血色の汁はでない。子実層托をルーペで見ると暗色の棘のようなものが無数に出ていることがわかる(c)。断面をみると、カサ表面は褐色の毛で覆われ、子実層面からは棘が出ていて、両者の間には明色の実質菌糸の層がある(d)。 一般にタバコウロコタケ科のきのこでは、実質の菌糸が褐色であるが、このきのこの実質菌糸は無色ないし明色をしている。さらに剛毛体の大きさが異様に大きい。タバコウロコタケ属のみならず、タバコウロコタケ科を通してみてもかなり異色のきのこらしい。菌糸構造は一菌糸型でクランプはない。胞子紋は落ちなかった。担子小柄を備えた担子器は見つからなかった(l)。 |
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大晦日の昨日午後、歩いて近くのスーパーに行くと、広い駐車場が満杯で通路や道路まで占拠されていた。こんな光景は初めてだった。目的は初日の出に合わせて山頂で飲むワンカップ大関を買うことだったが、レジも沢山開いていて意外とすんなりと会計を済ますことができた。 これから城山に登り山頂でお神酒とともに初日の出を迎えることにしている。自宅からは懐中電灯を頼りに歩く片道70分ほどの散策コースだ。(雑記2015.12.26)
[城山山頂での初日の出] (am8:30追記) |
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